織田作死ネタです

海が近くにある一軒家
洗濯機に回し少し皺になっているタオルをパンッと音を立てて皺を伸ばし、最後の洗濯物を干し終えた
ふう、と一息つき、家の中に入る。その左手の薬指にはシンプルな指輪がはめられていた。
夫―――元ポートマフィアの最下級構成員であり、最近名前が売れ出してきた小説家、織田作之助と二人で住むにはいささか広く、静かなこの家だが、私には居心地が良かった
作之助は庭に設置されている椅子に座り、海を見ている。
こういう時は息抜きか、行き詰まっている時だ。
私は作之助に近づき、一つの提案をした
「作之助、今日は暇?良ければ子供達の所に行かない?」
「ああ、最近顔出してなかったな・・・」
「ええ、たまには行かないとね。ささ、支度して行きましょう」
「そうだな」
短い会話を終え、準備を整え子供達の所へ向かう

目的地に到着した頃には丁度お昼時だった。
まずは親爺さんの所に顔を出し、会話を交えながら作之助はいつもの混ぜカレーを頼む。
私は普通のカレーを頼んだ。混ぜカレーは私には辛くとても食べれるものじゃない
それをいつもの無表情を少し緩ませながら平らげる作之助は素直に凄いと思う
先程からドタバタとせわしなく聞こえる足音を聞きながら、お互いカレーを食べ終えて二階へと向かい、ドアを開けた
「あ、織田作!!!」
いの一番に気づいたのは誰だったか、その後子供達は織田作に群がり、最近あった事を一斉に話し出すものだから落ち着かせるのに苦労していた
楽しい時間というのはあっという間で、そろそろ帰ると言うと渋る子供達を宥め、夕飯を適当に済ませ家に着いた時には辺りは闇で覆われていた。
「少し長居しすぎたか」
「でもとても楽しかったわね。ああそうだ、今度は子供達を家に招かない?」
「それはいいな。賑やかになる」
ここには大して広くも無いが庭がある。キャッチボール位なら出来るだろう、などと子供達を招いた時の事を考え笑みが零れた

そんな生活が出来たらな、と買い物を終え家路に就いている途中に思った
勿論、その左手の薬指には指輪は無い
その時、ふと破裂音のような聞き慣れない音が聞こえた気がして振り返るが、そこにはただの街が広がっているだけだった。
さて、早く恋人の家に行こう。今日は作之助の好きなカレーだ。きっと喜ぶ
モリモリとカレーを頬張る作之助を想像し、少し口角が上がりながら足早に帰る


その日から、作之助は帰ってくる事は無かった。