※元帝光中&秀徳マネージャー
※キセキの世代が大学設定(赤司、緑間、マネージャー同じ学校)
※「www」など多用します。
※作者は4年大学進学してない為イメージです。実際と異なる箇所が多数あるかと思います。

2限目から始まる時間割の日であった。
1限がつい先程終わりのチャイムを告げ、大多数はまた移動途中なのかスッカスカな教室の適当な席に着席し、休憩時間をスマホアプリを眺めてぼんやり時間を潰す。やがて教室が賑わい、私の席周辺が埋まり始めた頃に前から声が掛かった。
「やあ、名字」
「赤司おはよー。んで緑間、それは?」
「ラッキーアイテムなのだよ」
斜め右の座席に座る赤司と、私の真ん前を空けて斜め左に緑間が座る。いや、実際は私の席の前は空いてる訳では無く、そこに緑間のラッキーアイテムが鎮座している。
「…トーテムポール…」
「何なのだよ」
「いや見えないから!私の視界トーテムポール一杯だよ前の先生はおろか黒板も見えないよ!何なのだよじゃないよ!?嫌がらせか!?」
「ふっ」
「赤司笑うな!」
今日のラッキーアイテムはトーテムポールらしい。相当大きなその物体は恐らく緑間の胸辺りまであろうか?椅子の上に置いているせいで後ろに座っている私は全く前が見えない。中学の時からずっと思っていたが、緑間真太郎のラッキーアイテムの規模が大き過ぎる。
これでは授業どころでは無い為、彼に通路側の席に移動して通路に置くか足元に寝かせろと催促するのだが「通路は人が通るから迷惑だろう」やら「足元に置いて蹴飛ばされたら困る」やら正論紛いな屁理屈を並べて一向に移動させる気が無い。授業の妨害は良いのかと突っ込もうとすれば間が悪く授業が開始され、でかかった言葉を飲み込んで仕方無くこの状況を笑いに変えようと無音カメラを起動し、現在の視点を撮影した。
名前『ねえちょっと見てwww』
高尾『え、待って何それwwwwwうけんだけどwwwww』
名前『今日のラッキーアイテムなのだよって言いながら持って来たwwwしかも私の席の前に置くとか何これいじめ?wwwww』
高尾『ドンマイ(★ゝω∂)b⌒☆』
名前『(o゚Д゚)=◯)`3゜)∵』
高尾『うっはwwwwww』
コミュニケーションアプリを起動して撮影した写真を早速高尾に送りつける。暇だったのか講義の合間に携帯を触っているのかは知らないが、すぐに既読が付いて言葉を交わす。世間話に花開いた所で、高尾から唐突にこう連絡が来たのだ。
高尾『あ、今度そっち潜入させて貰うわwww楽しそうだしwww』
こうして緑間真太郎をからかおうの会が開催される運びとなった。

「おーっす、久しぶりだな」
「久しぶり〜元気だった?」
「めっちゃ元気よ!」
ほんの数ヶ月前までは学ランか指定ジャージを着ていた高尾は、今は洒落た私服に身を包み緑間にバレないよう帽子を被っている。正直後ろ姿であればバレないのでは無いだろうかと思う程に様変わりした彼の隣に並び、緑間が受けているであろう教室まで移動した。
「…うん、あまり面白い事になんねーな」
「後ろの席に座ったからじゃない?」
1限目の授業は既に着席している緑間の後ろの席に座ったのだが、彼が後ろを振り向く事も無かった為特に面白い出来事は起こらなかった。少し期待外れだと言わんばかりの表情を浮かべる彼に、「次は前の席を陣取ろう」と提案して2限目。
「名字、おはよう」
「おはよー赤司、後緑間も」
「ふん、時間ギリギリなのだよ」
「えー何?心配してくれてたの?」
「してないのだよ!」
赤司と緑間が並ぶ座席の前を素早く陣取れば、赤司が先に私に気づいて挨拶をしてくる。高尾には気づいてるのか気づいてないのか分からないが触れてこない為、高尾は帽子を深く被りながら緑間の座席の前に座り、私は赤司の前の席に着席した。
あくまで相手から気づいて貰おう!というコンセプトの為触れられないのは有り難い。鞄から教材を取り出してルーズリフ1枚を高尾と共有した。
”まじ全然気づかないのなwwwうけるwww”
”私服だから気づかないんじゃない?”
”正直すぐ気づくもんだと思ってたわwww”
授業中は私語厳禁。例え声を潜めても全体が静かであれば耳障りになるものだ、ルーズリーフでコミュニケーションを取り時たまノートを取る。
”ちょっと帽子取るわwww”
”ok”
あまりにも気づかれてなさそうなので高尾が帽子を外した。
「…む」
「ングフッ」
いつも授業中は静かにしろと騒ぐ緑間が声を漏らしたのだ。多分、多分気づいた。用意周到な事で高尾がコンパクトミラーで緑間を確認している。肩が震えて声を出さないまま爆笑してる彼を見る限り、恐らく緑間は高尾に気づいたのだろう。すぐさまルーズリーフに書き始めた文字を目で追った。
”しんちゃんきづいた”
”めっちゃこっちみてる”
”やば笑いとまらないたすけて”
ミミズみたいな細く弱い線で書かれた文字をなんとか解読すれば、まあなんと愉快そうな事で。体を震わせて声を抑える高尾を見た私は、ノートを取ってる合間にルーズリーフに言葉を書いた。
”沸騰する前のヤカンみたい”
「フホッ」
変な声を上げて机に突っ伏し撃沈した高尾に、周囲の視線が一気に集中した。あ、すいません。

「高尾!!!」
「ヒィーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
「何なのだよ!!!」
「駄目だ今じゃ転げた箸でも笑うぞこいつ」
授業が終わった瞬間に緑間が高尾に詰め寄り、緑間の顔を見て大爆笑をする高尾。控えめに言ってカオスだ。後数分は笑い袋のままであろう高尾とそれに憤怒する緑間を放置しながら教科書などを鞄に押し込んでいく。
「ああ、矢っ張り高尾君だったんだね」
「あ、やっぱ気づいてらした?」
「名字と挨拶した時にね。」
緑間は全く気づかなかったと言うのに、さすが赤司様だなと思いました。
あれ、作文?