同僚はともかく、私の仕事は別段そんなに忙しい訳でも無い今日。いつも通り異能を使って外回りをしていた時であった。
「にゃ?」
ある三毛猫が私の前を歩いていた。特別な見た目をしている訳でも無く、そこら辺の路地に居てもおかしくない猫だ。
ただ、私はその猫を何処かで見かけた事がある気がする。頭をフル回転させてこの猫の事を思い出そうとするが、もう少しの所で思い出せない。路地裏や街中ですれ違ったのではない、幼い頃に、もっと近くでーーー
「にゃ?」
「「…にゃー!」」
そうだ思い出した、あれは恐らく大伯父だ。
場所は変わって喫茶店。
お互い異能を解いて人の姿で席に座っていた。
「おお童、息災か?」
「夏目おじさんこそお元気で?」
「まだまだ現役じゃよ」
「なら良かった!」
小さい頃、親戚の集まりか何かで出会ったのがきっかけであった。
彼の髪色は奇抜な髪色をしており、幼く好奇心旺盛だった私はよく彼に話しかけに行き、遊んで貰ったのを覚えている。
幼い頃から異能持ちだと知っていた私は、彼に異能力者だと伝えた。その彼も同様の異能を持っているときたじゃないか、私はよく彼の元に行っては猫になって探索したり公園に行ってブランコを押してもらったり、色々と遊んでもらっていた。
その時に異能力者と明かすなという事を教えて貰ったのだ。異能は公には存在してないものであり、ほいほい教えていたら私自身に危険が生じる場合がある。幼い頃はあまりよく理解していなかったが、彼の云う事はきちんと聞いていたお陰で普通の生活が出来たものだ。
ちなみに、私の異能力名は彼と同じだったりする。譲渡された異能ではないが、彼の異能を見ていたせいかその名前が定着してしまったというのが正しい。
「久しいのう、幼い頃は儂を探しに探していたというのに」
「もー私はそんな年じゃなくなりましたよ」
「幼子の成長は早いのう…」
「おじさんそんなに年いってないよね?」
「がっはっは、嬉しい事を云ってくれるのう!」
幼い頃の記憶は朧げであるが、それなりにお世話になっていたので昔とあまり変わってない彼に安心する。
「そういや、今は何をしてるんですか?」
「飼い猫じゃ」
「かいねこ?」
「飼い猫」
色々問題あるのでは?という言葉は飲み込んだ。
空白の時間を埋める勢いで色々な話をした。特務課は激務で忙しいやら若い者が楽をさせてくれないやら猫になってパトロールが大変やら最近出来た飲食店が気になるなどなど。飲食店については約束を取り付けた。
「大伯父さんもパトロールしてるんですか?」
「若い者が儂をまだ楽させてくれんのじゃ」
「へー」
「童、お主もな」
「え!私!?私頑張ってますよ!」
「もっと頑張って儂を楽させてくれ」
「えぇ〜社畜は安吾だけで善いですよ」
目の下に隈をこさえ、げっそりとした表情になった社畜の私を思い浮かべる。うん、私には似合わないし同僚だけで善いや。「私はそのままが1番輝いてるので」大伯父にそう云えば頭を叩かれた。
政府に戻り、報告書を書き上げる。特にこれといった事件などを目撃はしていなかったが、同じ猫になる大伯父について報告した。とは言っても茶をしばいたなど言えるはずも無いのでただ会ったとだけの簡易的な記載であるが。
後日、その報告書を読んだ同僚がバタバタ焦った様子で私の肩をつかみ「夏目先生にお会いしたんですか!?」と物凄い形相で云われ、大伯父である事を伝えればその場で卒倒した。疲れすぎよ、安吾。私は彼を引きずって仮眠室へ連れてった。
はたまた後日、大伯父は相当なんか凄い人だと聞かされ、次は私が卒倒した。
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