こんにちは、偵察中、町外れの倉庫から会話が聞こえてきたので異能力を使い、猫になって接近した途端間近で爆破に巻き込まれ外傷が激しく現在入院中の名字名前です。
あんなに近くで爆破した事は人生初めてで驚いた。同僚の小言とはまた別の耳の痛さやらなんやで一時は耳が聞こえづらくなるわギプスや包帯で身体を固定され動かせないわ少しでも動かした途端身体中は痛いわもう勘弁願いたい。自分でもよく生きてるなと思う。
思いも寄らぬ長期休暇に心躍る事も無く、ただ復帰した後どれだけ自分の仕事が残っているのかとても不安だった。これが仕事ありません!怪我もありません!長期休暇だ!とかだったら裸踊りの1つでもしてるだろうが。
それにしても
「暇だ…」
そう、今現在私は暇を持て余してる。入院して結構経つので怪我の具合は当初に比べたら耳は完全元通りに聞こえるようになり、身体はある程度動かせれるようになる位にはマシになったが、何処か行くにしても未だ完治してない足は動かしづらく、行動を制御され動かずに時間を潰そうにも特にこれと言った暇つぶし要素がある訳でもなく、1人部屋の為話し相手も居らず、唯一時間潰せそうなテレビはテレビカードというものが必要らしく、病院内のどっかにあるカードを買いに行かなければ見れない。テレビカードを買う為にナースコール押すのもあれだし、ただただぼんやりベッドの上で何もせず過ごすのみとなった。
外からはさんさんと太陽の光が輝き、空気の入れ替えの為に看護師さんが開けてくれた窓からはそより、そよりと心地の良い風が入る。今日程外に出る事にうってつけな気候は無いだろう。午前に行った検査で看護師さんが私を車いすで運んでる時、通りすがった休憩所に設置してあるテレビをチラ見したらニュースキャスターが「今日は外出日和です」と言っていた。
「外に出たい…」
元々外に出る事は好きだ。数少ない休日も特に用事は無いが外に出る事が多い。他の会社より比較的多いであろう給料を外食などに費やすのが好きなのだ。よく行くレストランで注文した事のない料理を頼んだり、行ったことのないお店に入りおすすめの料理を食べたり、それなりに充実してる事だろう。それに、外に出る事によって新たな発見があり、それに触れるのも好きだった。仕事でも、同僚のように永遠とパソコンに向かい続け室内で過ごすより、多少危険が伴うがたまに外を出て自然を感じる方が息抜き出来るし。実際は偵察をしているからそんな呑気には出来ないが
「お外出たい」
さすがにこの身体で1人で車いすに乗り、外に出たら怒られるだろう。鬼のようにカンカンに怒る同僚が目に浮かぶ。
いや、だが同僚は来る可能性というのは少ないのではないだろうか?有り難い事に見舞いは不定期に来てくれて話し相手になってくれるが、それでも基本的に夕方の時間帯だ。前回見舞いに来てくれた時、仕事もこれから忙しくなるとぼやいていたしこんなお昼時に来る事は無いのでは?よし、思い立ったらすぐ決行。時間は待ってくれない
「いざ行かん向かうは外へ!」
車いすが置かれてる方に身体を寄せるも、足が動かしづらいから腕だけで移動しようとするがなんとも上手い事行かない。あまり端に行きすぎると落ちるだろうし、加減が難しい。
悶々と悩んでいると、コンコンとドアがノックされた音が聞こえた。看護師さんが何か用事でもあったのだろうか、これは外に出ろと神様のお達しでは無かろうか?車いすに乗せて貰うの手伝って貰おう
「はーいどうぞー」
「失礼します、坂口です。入りますよ」
「えっ」
ガラリと音を立てながら同僚は扉を開けた。不自然にベッドの片側に身を寄せ、車いすに手を伸ばす私と目が合った。天は私を見放した。よりにもよって来ないであろうと高を括っていたあの同僚が見舞いに来たのだ。内心冷や汗ダラダラ掻きながらこれから言われるでろあう小言乱舞を想像し、頭が痛くなった
「名前さん」
「はい」
「何をしようとしていたんです?」
「え、いや、」
「何 を し よ う と し て い た ん で す ?」
「そ、外に出ようと…」
「お一人で?」
「はい」
「正座…は出来ないのでちゃんとそこに座りなさい」
「ういっす」
めちゃくちゃにこやかな顔でこちらに詰め寄る同僚に、あ、これ絶対長引くやつやと確信した

この後車いすに乗せて貰い病院内であるが外に出させて貰ったのでやはり同僚は私に甘いと思った