学園に戻り、学園長に魔法石を手渡す。
「エッ!?本当に魔法石を探しにドワーフ鉱山へ行ったんですか?」
「「「へっ?」」」
「いやぁ、まさか本当に行くなんて…」
本当に持って帰ってくるとは思ってもいなかったようで、退学手続きを進めていたとしれっと言う学園長。
こ、この男…!グリムとエースが学園長に向かって叫ぶ。
化け物と戦った事を伝えれば、詳細を聞かせて欲しいと言われて学園長室まで移動し、事のあらましを説明した。
「お…おお…おおお…!!!お〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!!」
「何だこいつ」
「いい大人が突然泣き出したんだゾ!?」
「この私が学園長を務めて早ン十年…ナイトレイブンカレッジ生同士が手と手を取り合って敵に立ち向かい打ち勝つ日がくるなんて!」
別々の寮生ならまだしも、同じ寮生なんだから別に共闘するのは可笑しくないのでは?
「貴方には間違いなく猛獣使い的才能がある!」
「いやにざっくりだな…」
なんか、もっとこう、断言してくれても良いのでは?と思うのだが…まあ魔法では無いただの私の素質だから断言出来ないか。
「ナイトレイブンカレッジの生徒達はみな闇の鏡に選ばれた優秀な魔法士の卵です。しかし、優秀がゆえにプライドが高く、我も強く他者と協力しようという考えを微塵も持たない個人主義かつ自己中心的な者が多い。」
共闘する事自体、この世界は相当珍しい事らしいのだ。それにしても、自分の生徒なのに散々な言いようだなこの学園長
「きっと貴方のような平々凡々は普通の人間こそがこの学園には必要だったのです!」
「あ”?平々凡々?この私が?」
「貴方は間違いなくこの学園の未来に必要な人材となるでしょう。私の教育者のカンがそう言っています。」
いや、必要な人材じゃなくて良いから。さっさと元の世界に帰れたらそれで良いから。
「2人の退学を免除するとともに、貴方にナイトレイブンカレッジの生徒として学園に通う資格を与えます!」
前言撤回、私超必要な人材。
「ですが、ひとつだけ条件があります」
提示された条件。
私は魔法を使う事が出来ない。そして、モンスターだからこの学園に入学する事が出来ないグリム。
グリムと2人で1人の生徒として、ここの在籍を認められた。
「ナイトレイブンカレッジの生徒の証である魔法石をグリムくんに授けましょう」
本来であれば、魔法石がついたマジカルペンというものを授けられるようだが、彼は首輪として授けられた。
あの魔法石って何だ?後で聞けるなら聞いてみよう。
「キミがしっかり手綱を握って、騒ぎを起こさないよう監督するように!」
「あはっ!すげーじゃん、オマエ。入学したばっかで、もう監督生になっちゃったわけ?」
「監督生?」
「なるほど。お前たちの寮に寮生は2人だけなのか…つまり、学園長にグリムの監督を任されたお前が監督生って事になるんだな」
「前代未聞なんじゃねーの?魔法が使えない監督生なんてさ。」
いや、監督生って何かまず先に教えてくれ。こちとら学校生活は初めてでよく分からないんだ。
「監督生くん。貴方に、これを預けましょう。」
「何ですか?これ」
「ゴーストカメラと呼ばれるものです。」
「はぁ。」
随分前に発明された魔法道具らしく、被写体の姿だけではなく、魂の一部も写し取る事が出来る、特別な魔法がかけられているらしい。記憶の断片とも呼ばれてるらしい。
何だそれ、魂抜き取られないか?
「この魔法のカメラの面白い点は、撮影者と被写体の魂の結びつきが深くなると写真に写されたメモリーが飛び出してくるところです!」
「魂の結びつき…」
「撮影者が被写体と親しくなることにより写真が動画のように動いたり、実体を持って抜け出したりするようになるんです。面白いでしょう?
「怖ッ…」
私はこのカメラで、学園生活の記録を残す事を命じられてしまった。ただ、報告書代わりとしても使えるらしいので、案外悪いものだけでも無いかもしれない。うん、グリムのシャッターチャンスは逃さないでおこう。
話が終わった私達は学園長室から出て、肩を並べて歩く。
明日から生徒になるのか。1日遅れてしまった分の勉強しないといけないなぁ…まあなんとかなるだろう。
他愛の無い会話をしながらハーツラビュル寮の2人と別れ、グリムと並んであのオンボロ寮に戻った。