体制
流れている噂を確認する為か、度胸試しか、私達という危険因子を排除しようと企んでいるのか、絶え間なく銃や鉄バッドなど殺傷能力の高い武器を持つ人が来るようになった。頼られる事は嫌いでは無いのか、愚かにも攻撃しに向かって来る大人に中也は異能力を使って反撃を加えてくれ、自信満々に来る人間は大抵尻尾を巻いて逃げ、残りの人は中也の逆鱗に触れその場で殺される。今日も早朝から2人という数少ない人間に襲撃され、全員が寝ぼけ目のまま後片付けに取り組む。寝起きの機嫌がすこぶる悪い中也に、異能力で潰された人間の残骸を見て、これは臓器売買に使えそうにないと放置する。成人男性の死体の重さもそれなりにある上、まあ骨が向き出てしまって血が流れるそれを自分で運ぶ事は出来るだけしたくないので、既に睡眠に入ってしまった中也が起きたら任せようと考え、死体の近くに落ちている拳銃の弾を確認し、まだ弾数が残ってそうなのでこれは使い回そうと一緒に調達していた近くに居た子に渡す。ふわあ、と欠伸をしながら武器を持ち、拠点に向かう彼女の背中を見送りつつ所持品で金になりそうなものを探し、金にならなそうなものはその場に放置だ。まだ眠気が抜けきってないのか、立ちながら寝そうな子、拠点で既に眠りについてる子ばかりで、目が冴えてしまったのかちゃんと意識を保ち、もう1人の死体を確認してる子に声を掛ける。
「そっちは収穫あった?」
「全部駄目っぽーい」
「そっか、じゃあ一旦切り上げよう」
「だねー、まだ2時間は眠れてたのに…もー朝早く来ないでよ、ねっ!」
朝に襲撃され彼女もそれなりにイラついていたのか、死体になった人間だったものを蹴り飛ばす。勢いをつけたせいかそれなりに痛かったようで、いてて、と蹴り上げた足を抑えるのを見て「何してるの」と声を掛け肩を貸しながら、拠点に戻って自分の寝床に就いた。
「んで、どうしたんだ?皆呼び出して」
「うん、今回は今の体制について疑問に思う事があったの」
今までは、私がほとんど作戦や意見を出し、それを伝えて決行していた。その時は全員が全員助け合ってなんとか勝利を収めていたのだが、今は作戦を出さずとも中也が反撃に出れば終わってしまうのだ。今の体制を続けていけば、きっとじり貧だ。もし中也より強い人間が居たら?部が悪い異能力を持つ人間が来たら?その場に中也が居ない時に襲撃されたら?中也が強すぎるあまり、他の子達が「襲撃されても大丈夫だろう」という甘えが出てきてしまってるのだ。何なら「心配しなくても大丈夫だよ」と銃で武装しない子も出てくる始末である。中也だけに頼り切りの今の状況では何かしら起こった時、統制されていない私たちは、作戦の伝達もままならないまま混乱の中敵に殺されて終わりだ。
「誰かに頼り切りでは駄目だと思うんだよね、お互い。」
「確かに中也が異能力者って明かしてからたるんできてるよな、俺たち…」
「た、確かに…」
「ここで思いついたんだけど、意見を出し合って相談する、まあいわゆる評議会?みたいなの授けない?」
「評議会?」
「そう。中也に頼らない戦い方の意見を出したり、襲撃された時の改善点とか出し合うの。コミュニケーションも取れるし、自分の反省も出来る、いざという時に提携もしやすいと思うんだけど、どうかな?」
「それいいな!」
「さんせー」
「俺が居れば良いだろ」
「それが駄目なんだってば」
多方面から気の緩みの自覚、私の意見の賛同が上がった。中也だけが口を尖らせて反対をしていたのだが、それが1番の議題なのだからすぱっと却下する。良かった、これで少しは今の状況を改善出来るだろう。良い方向に向かえればいいな。第一回目の評議会のテーマを出し合おうとわいわい話し合っている彼らを見て、既にテーマを決めるという評議会になってるのではないかと思いながら大盛り上がりな所水を差すのも悪いと思い、自然と笑みになるのを抑えもせず、その話に加わった。