1.彼女が出会ったもの

なにせ、これまでの彼女の周りには、陰気な人間がそろっていた。
だから東京都立呪術高等専門学校に入学し、虎杖悠仁と出会ったとき、彼女は内心ひどく戸惑った。

もっとも、それが表情に出ることはなかっただろう。

彼女――時雨透子は、感情を表に出すことを、とうの昔に諦めていた。
もともと落ち着いた性格ではあったが、呪いが見える体質のせいで周囲と嚙み合わず、気づけば何も感じていないふりを覚えていた。

きれいだけど怖い。
そう言われ、距離を置かれることにも慣れていた。

――もう永遠にひとりでいい。

そう思っていた矢先だった。
虎杖悠仁が、遅れて呪術高専に編入してきたのは。

初対面から、何の屈託もない笑顔で話しかけてきた。
どれだけ素っ気なく返しても、距離を取っても、彼はまるで気にしない。

その態度は、釘崎野薔薇が入学してからも変わらなかった。
誰にどう扱われても揺らがない、その真っ直ぐさを見て、彼女はようやく理解する。

――ああ、この人は、そういう人間なのだと。

先に虎杖のことを好きになったのは、彼女の方だった。