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「…凄く軽蔑した目で見られて…。けど会えなくなっちゃうしよくわからないから「わからない」って答えたら、「汚い」って…」
もうダメ出ていかない。
先生が首筋ではぁはぁ息を掛けて舐めるのも、母親の嘲笑も、いますべてが目に浮かぶようだけど、視界もぼやけて息も湿ってしまった。
暫く無言だったし、涙を殺そうと俺もはぁはぁするのだが、「…そっか、」とマーサは頭を撫でようとしてやめ、背中に手を回してくれた。
「…いや、ごめん俺も一気に来て半ば混乱してなんて言ったらいいか…」
「いや、いい、」
「でも」
「だからいいよ、」
別に嫌じゃなかったのに。行き先が凄くセンチメンタル、だったのか。しまってたけど気まずそうな先生の顔とか、何より母親の冷たい表情とか。
「…楓さん?」
「…ごめん、」
「まぁ、俺に関係ない話だった」
「へ?」
見上げたらマーサは、色々含みがありそうな表情ではあるが、笑ってくれて。
「こう言っちゃおかしいかもだけどね。楓がもう何年?凄く悩んだんだろうし。けどまぁ、いや、衝撃はあるしもう一度聞きたい話じゃないけど、まぁ俺に関係ないと蓋をしてみる、これでどう?」
「…え?」
「蓋開けっぱだと俺は変に気を使う、いや使って良いかもわかんねぇし、その度に楓がそれを思い出すのもなんか癪だし。ごめん俺案外大人じゃねぇから。まぁ一度は聞きました、でもいい?悪いけど」
「え…、うんいいんだけど…」
嫌じゃないの?なんて聞けるわけでもなく。
「…その、」
「けど、まぁさ、」
抱き締められ、力強くくるっと天井とマーサの余裕無さそうな顔が見えて。
泣いたあとの目尻を舐めるようにヒゲをじょりじょりされた。
「…抱いていい?ちょっと気が狂いそうなんだけど…だからなんかあれなんだけど、疲れてる?」
「…まあそれなりに」
「じゃ入れないから」
「…却って疲れないのそれ」
「抜いたる抜いたる。けど悪いけど長いかも」
「…まぁ」
それは相当長期戦だし明日とか…まぁ俺は年中休みだけど、大丈夫かしらと現実を捕まえる。
「…マーサ、明日は」
「飯くらい作るよ、日曜だし」
「…んー、」
「楓、」と切なそうに湿って言っては首筋に息と、舌が這って、ただ言うわりにはそれもあまりなくただ頭を抱えて「好きだよ」「いや、なんなら愛してるよ」「…よく耐えたね」と言葉ばかりが降り注ぐ。
「…うん、」
「楓、もう好きヤバい射精」
「ナニソレ」
「爆発したい俺」
「ん、まぁさ、」
「…たまにはヨシくんって聞きたい」
「なんで、可愛いじゃん、マーサってヨシくん」
「はぁ、萌える〜!ヨシナリ、ヨシナリパターンボイスを!」
「よしよし、ヨシナリくん」
「くぁっ〜!」と言った真麻の性器が熱く硬くなり、俺の性器にすりすり当たりまくるのに気遣いを感じて「ふふっ、」と笑ってしまう。可愛い年下。けどすりすり、それに感じてしまう俺の方が多分心酔してしまっている。
「…んん、当たってる」
「知ってる当ててる」
「…でも入れないんでしょ」
「入れちゃうかも」
「んん、そうして、ぐちゃぐちゃに」
「…ゴムはする気です」
「いいよぅ」
染まりたいのに。
「解けちゃうからぁ、ダメなんです、」と真麻が言う。やっぱり「んふふ、」と笑ってしまって。
「…溶かしてやるよ、」
「そういう男気は魅力的だけどダメ」
「んー、」
「二人の合意が必要です」
「んー…」
「わかったら意識飛ばさないでゆっくりね」
「んんっ、はぁ、」
少し離れて見る真麻が優しかった。
でもそれからキスで、溶かされてしまっているのだからもう、いいかと思えてくる。あぁ、真っ白で、そこにじわりと入ってくる宇宙のような色、一瞬で灰になる流星もある。あぁ、このまま死んでもいい、暖かいから。溶かしきってブラックホールは何を飲み込むの?
自分か、と意識もそぞろに広大な快楽へ放たれる。時々泣きそうになって、夢中で、自由で、幸せ。全部溶けて、アルカロイド。まだまだ、ゆっくり足りていない。
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