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 マーサなる来訪者はラフで、マーサ、のわりには男の日本人だった。
 染色感のある赤っぽい茶髪、体系的には程ほどの多分細マッチョ。迷うことなき日本人。

 それがラフにトートバックを肩掛けしているのだし、近い友人だろう。

 意外だと感じた。マーサになのか、志波になのか。
 暖かい笑顔で「同級生の…作田くん」と、一瞬名前に迷ったようだが、志波はマーサに俺を紹介をした。

「同級生?」
「うん、小学から中学みたい」

 マーサはそれからいつもやるような、そんな自然な動作で「はいよ」とトートバックを志波に渡してから「…小、中?」と、疑問を隠さずに俺に言う。
 …どうも、マーサの寝癖に気がいってしまう。

「どうも、作田です」
「…まあさです…?」

 挙動不審というか、俺が不審なようだ。

 まあさは志波をそんな目で見ては、「見崎くんっていう、共通の知り合いから聞いたんだって」とやり取りをしている。

「共通の?」
「みたい。俺は覚えてないんだけど、見崎くんは高校まで一緒だったらしい」
「そうなのか」

 一体、彼は誰なんだろう。

 ふとまあさは「早いな」と俺の真横にあった点滴を触ろうとするが、「逆流したんだよ」と志波が補足する。

「止めちゃった訳じゃないよ」
「…まぁ、」
「体温が上がったわけでもない。あまりにも遅かったから」

 まあさはそれに、何故だか少し気まずそうに俯いて点滴から手を離し、俺の向かいに座るついでに志波の額に触れた。

 「ホントだ、冷たい」と言うまあさと、何も言わずに微笑んでいる志波の二人の空気に俺は少なからず気まずかった。

 他者が介入しづらい呼吸感、空気をそこに見た気がした。

「あ、そうだかえで
 これ終わったら飲み薬に変えるって」
「え、聞いてない」
「大丈夫大丈夫。錠剤じゃないから。針ぶっ刺さなくて済むじゃん?」
「うーんそうか…。前回マーサが間違えて止めちゃったから?」
「…うん…?」
「あ、思い出さないでなんか。うん俺が止めたから」
「…今考えちゃったじゃんか、そうだよな。そんで、暖まって血流が良くなって逆流した」
「うんそう。わかった。ほら作田くんが着いていけないから」

 非常に仲が良いようだな。家族のようだ。
 新鮮だが違和感がある。あの志波がこうして友人と楽しそうにしているなんて。

「いや、気にしないで大切なことだろうから」
「サクタくん…」

 ぎこちなくマーサが俺を呼ぶ。
 それになんだか「は、はい」とこっちまでぎこちなくなってしまうが、案外マーサの表情は普通、それどころか冷めているようにも見えた。

「お見舞い来てくれてありがとう。どうして来たの?」
「え?」

 どうやら、俺は良く思われていないようだった。

「いや…、聞き方が悪いな。けど、地元から来たのかなとか、どうして今更来たのかなとか」
「…いや、病気になったって聞いて」
「あんた、楓がなんでここにいるのか、知ってんの?」

 言われてみれば、知らないけど。
 今更ってなんだろう。

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