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「ノーベル!お前何言ってんだい教授!」
「動揺しすぎておかしくなってるよ南沢さん!」
「ちょっとちょっと鶫さん俺もそれ凄い逃げたい」
「はぁ?」
ラリったような葛西の「はぁ?」に雨川はそうだ、変態ノーベルはそういやさっきの将棋、息抜きお忍びでやったんだ、つまり根詰めているイコールイライラしている。さらに答えを2で割ればあり得る、やられるかもしれないと危機が頭をよぎった。
「嫌なの真冬」
「当たり前ですよね俺別にネズミじゃないですし」
「じゃぁ男の子?」
「えっ、ナニソレ」
「女の子だね、俺にしない?」
結論、溜まってやがるのかこの変態は!けどもう少しあるんじゃないかお前と雨川が思っているうちに、後ろからだらっと、葛西が雨川に凭れるように抱き抱えた。
「あっ、」だの「えっ、」だの生物学から聞こえてくる。箱も雨川の視界に入る。
そして耳元で「俺は真冬に嫌な思いさせないよ?」と、吹き掛けるような声がすれば「ひっ!」と縮むばかりだ。
「あんな童貞じゃ満足しないだろ真冬」
「まっ…ちなさい、待て!さっきぃ、バイセクシャルじゃないって、言ったよね!」
「言ったよー?」
「じゃぁさ、」
「可愛けりゃなんでもいーんだよ」
「は、え、はぁ?」
「俺が女にしてやるって」
「なん、で!」
「この野郎いい加減にしろノーベル!」
南沢が怒鳴った。
葛西はふらっと南沢を見つめた。
「あぁ?あんだよ童貞」
「真冬から離れろこの変態!」
童貞は否定しないんだやっぱり。
そう的外れが、雨川の焦った頭に流れたときに、南沢から腕を引っ張られ葛西から脱出した。
案外葛西はあっさり離れたが、南沢のそれは痛かった。思わず雨川が「痛っ、」と洩らせ南沢は雨川から手を離し、葛西の箱を取り上げる。
「それだけは本当に殺すぞ葛西」
その低い南沢の声に葛西は腕組をして「けっ、」と吐き捨てた。
「なんで」
「当たり前だろ、平成のクセに道徳がないのかお前」
「道徳なんて科学で立証できない」
「…何言ってんだこの、」
「俺はお前と言ってること大差ないと思うけどねぇ、」
そこで押し黙った。
違う、そうじゃない。だけどなら、ホルモンがどうだからこうだ、しかも明確化しない自分はなんだ?
エゴでしかない。だが、それも…。
一息吐いてから南沢は「…雨川くん、」と言った。
「…君、自慰行為をしたことがあるか?」
言った瞬間全員一瞬固まってしまった。
理解するのに間があったのだ。そして誰もが「は?」と言おうとした瞬間に一番早く「は?」と言ったのは雨川だった。
「え、なにそれ」
「俺はな、」
「ないけど」
「あるぞ。沢山」
これはどこから突っ込むべきなんだ?
ズレすぎた論点にまず雨川が「は?」と聞き返す。
「男には年齢によるがまず切っても切れないものだよな?」
切っても切れない、に思考は一瞬邪念になる。
「え、急になんですか」
「…というか雨川くん、いまないって言ったよね」
「は、え、何これ、セクハラであってるのかこれ」
「微妙なラインだな」
「自分で言うの!?ねぇ喜多さん、」
「流石に教授になんて言おうか話次第だけど南沢さん」
「人情に任せます。
雨川くん、俺は沢山したことがあるぞ生きてきて」
「え、いまその情報って」
「君はなぜしない」
「ダメラインに入ってきましたよ南沢さん」
「なぜ…?」
「…雨川くん、女性は不浄だと言ったな。確かに小さい頃から君を見てきて我が家のことを考えたらそうだ、それはいけないことで汚らわしいことだよな。だが俺はするぞ、生理現象だからな」
…このゴキブリ童貞野郎は何が言いたいと言うのだ。
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