10
10時には全員そろった。
「…そろったところで。今日は引っ越しで終わりそうだがまずは顔合わせと言うか自己紹介だな。
我々の目的、概要を話すと、先日起きたホテル立て籠り及び爆破事件、並びに大使館密輸事件の真相解明だ。
聞いていると思うがこれらの事件には7年前のテロ事件、“エレボス事件”との関連性が出てきている。厄介な事案だ。それぞれ気を引き締めていこう。
だがまず俺の方針は…。
事件解決は勿論だが、第一に、自分の身は自分で守ること。以上だ。取り敢えず自己紹介を始めようか。
人員名簿は取り敢えず俺が持ってるから役職順に俺が指名していきます」
皆一様に視線が集まる。今更ながら、年齢層が若いな。
「…まずは俺から。
ここの本部長を任された壽美田流星だ。所属は…厚労省だ。よろしく。
えっと、最初は伊緒」
「…はい」
少し不安そうだ。まだ泣いた形跡も残ってる。
「…箕原伊緒です。現場の…補助官に任命されました…よろしくお願いいたします」
役職がないし箕原と言う名字に、皆少し違和感がありそうだが、先日現場にいた人間はなんとなくを察したようだった。
「次、政宗。」
「はい。
副部長の厚労省、麻薬取締部所属、荒川政宗だ。よろしく」
「次、潤」
「はーい。
現場監督官の星川潤です。厚労省から来ました」
「えぇと次は…猪越さん」
「はい。
特殊専属鑑識官に任命されました、警視庁の鑑識官、猪越慧《いのこしさとし》です。よろしくお願いいたします」
「次は…山瀬さん」
腰近くまである黒髪の、まさしく和製美人なタイプの女の子が、落ち着いた少し低めの声で「はい」と返事をして立ち上がった。
「厚労省、麻薬取締部所属の山瀬藍蘭《やませあいら》と申します。こちらでは主に情報分析、処理担当を任されました。よろしくお願いいたします」
「次は、早坂くん」
「うぃっす。
厚労省麻薬取締官の早坂諒斗《はやさかあきと》です!よろしく!」
相変わらず元気だ。
「次は、黒田くん」
「はい。
警視庁捜査三課所属の黒田瞬《くろだしゅん》です。よろしくお願いいたします」
「次は…ん?これなんて読むんだ?」
「わかったぁ!私ですねぇ!」
鼻に掛かるような声。
ガチで昔の某女警察漫画みたいなセクシーというか下品というか若い姉ちゃんが立ち上がった。
「警視庁のぉ、捜査二課のぉ、卜霞《うらかすみ》でぇす。珍しいでしょぉ?卜でぇす。よろしくお願いしまーす!」
でも二課かよ。これは警視庁幹部とタヌキと高田を恨むしかない。
「…次は、瀬川くん」
「はい…。警視庁捜査一課の瀬川恭太《せがわきょうた》です。よろしくお願いいたします」
それに比べてなんて静かで…。
こいつはこいつでなんだ、線が細すぎるというかなんだ、女子か。というかショタっぽい。だけどなんだかほんわかした物腰柔らかそうなやつだ。大丈夫か。
とてつもなく波乱の予感の特殊捜査本部。俺は果たしてここでちゃんとやっていけるんだろうか。
そして…。
「最後。
こいつはまぁメンバーではないが、うーん、バンドで言うところのサポートメンバーだ。たまに手伝いに来てくれる。ユミル、よろしく。」
一番奥に座っていたグレーのスーツの、ヨーロッパ系の白人。
退屈だったらしい。あろうことか片手にスコッチを持っている。
昨日までスコットランドにでもいたのだろうかこいつは。
政宗も潤もよく知った人物だ。こいつの特性はわかりきっていたがちょっと油断した。二人以外がみんなヤツを凝視している。
「スコッチ美味いか?ユミル」
「やっぱり本場はさー、違うよね。美味かったよ。
あれ?終わった?」
見た目外人、言葉こんなん。みんなギャップにさらに困惑しているようだ。
「ユミルー。ちょっとボケてんじゃない?日本は仕事中は禁酒だよ」
「わかってるけど退屈なんだもん。いま何してたの?ジュンちゃん」
「…もういいよユミル。潤、悪いが先に引っ越し進めて。
えっとみなさんごめんなさい。彼は千種《ちくさ》ユミルくんです。ああ見えて日本人と言うか、フランスのハーフです。ほぼ日本語で会話してきます。ちょっと感覚ズレは、まぁ各国を飛び回ってる多忙なやつなので許してやってください。良いヤツではあるので。
さて、自己紹介が終わったところでそれぞれ引っ越し!」
それぞれが一度解散し、部署を出た。
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