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「穏便にってのが無理じゃねぇかなこれ」

 屋上、前の階段。
扉を少し開けて覗いてみたやさき。

「てゆぅかぁ、あれ、なに要因なわけ?」

 爆弾が仕掛けられているらしい。
ガスタンクの下。
 そして。

『この女殺されたくなかったらぁ!』

 屋上の下に向かって叫ぶ犯人と、捕まえられた女。

 溜め息を吐いて流星は無言で何本目かのタバコに火をつけた。
 足元で揉み消されたタバコを見て「5本目」と潤がぼやく。

「てかあれ誰だよマジ」
「うるせぇなお前さっきから。ちょっと静かにしねぇか」
「あんなん撃っちゃえばいーじゃん」
「お前仮に公安だろ。誰だかわかんねぇから困ってんだろーが」

 そう。
実は捉えられている女。
 記憶が正しければ写真で見た、里中栄(30)より若い、20前半くらいのどう見ても、いかにも学生な女の子で。
 犯人、というかその女を取っ捕まえてる男。
 どう見ても20前半、いかにも学生、所持品ジャックナイフといった、
お前らなぜテロをやったんだよ、みたいな成りなのである。

「ねぇでもあれ犯罪だよクソ公安」
「いやそうだけど」
「共謀罪だよ」
「わかってるけど」
「じゃぁ撃っちゃえば?」
「お前猿なの?
 だってあの爆弾遠隔操作だよ潤」
「うんそうだっけ」
「でさぁ、
トクホンは隠密だよいわば忍者だよ?俺ら主犯に面割れてるんだよ一番!でも爆弾処理出来そうなの俺らしかいなかったんだよ?」
「うん、で?」
「でじゃねぇよ、今出てって相手方が「あ、壽美田と星川だ」ってなった瞬間だよ?こんな目立っちゃったよくわかんねぇテロ的状況でさぁ」
「ま、ばーんだな」
「だよね、そこわかるよね!?」
「じゃやっぱあいつばーんじゃね?お前そーゆーの得意じゃん」
「だから、バカなの?一応民間人だろっての!」
「でも共謀罪だよ」
「あーなんで!?なんでお前通じないの気持ちが」
「つうかさ、ほっとけば、あれ」
「は?」
「いやさぁ。
 相手多分素人だし。なんであんなんやってっか知らんが、まぁ命令されてたとしよう。
 多分取り押さえんの楽じゃん。
 その間に死ぬ気でお前が爆弾処理ってたらよくね?」
「は?」
「いや二回は?くるとムカつくんだけど」

あぁこいつ。
どうしてこんなときあれなの。
お前殺されかけたことあるよなぁ、バカなの?バカだけど。

「お前あの二人猿芝居だったらどーすんだ?
 あとは別所でそうだなぁ。
ユミルみてぇなスナイパーがレミントンでお前の頭どっかから撃ち抜いたらどーすんの?」
「死ぬ」
「よなぁ?俺さっきからそれ言って」
「わかった。こうしよう」

 名案、とばかりに潤は突然扉を開けた。そして外へは出ずに叫ぶ。

「おい学生ぇ、死にたくなかったら物陰隠れろ今すぐ!」

 銃を抜く。

「は?」

 3回目の流星のは?が出たところで。

「5、4、3、2、1ぃ!」

 潤はカウントダウンしながら5発も、逃げまどう学生の足元に撃ち込みそれから数発続き、見事、こちらまで学生二人を誘導するように走らせたかと思いきや。

 ドアを閉め、

ばーん。

くぐもった爆発音がした。

「はい、任務完了〜」
「ひぃぃ〜」

 学生、思わず悲鳴を上げ。
 最早ジャックナイフはどっかにいってしまったらしい。取り敢えず逃げようとする男子学生を潤は取っ捕まえ、流星は女に一応警察手帳を見せつける。
 潤、男子学生を一発ぶん殴り、 弱ったところで右手に手錠をかけ、めんどくさいので手すりに繋いで一言、「誰から言われてやったんだ?クソガキ」と尋問。

「いやぁ、あのぅ、」
「いくら貰ったの?」
「いいい、え?」
「潤、それは俺の仕事だな。はい、二人まとめて。
 まず君ら。交際は?」
「は?」
「えっ?」
「あぁ、なるほどな」

 潤、感心。

「し、してませんけどっ、」
「あぁそう、じゃ、俺がこの女抱いてもお前なんもねぇな、あ? 」

 爽やかスマイルで流星は言う。
 女、繋がれてる男、共に青ざめた。

「すみませんでしたぁ!」
「うわゲスっ」
「お前に言われたくないね万年発情期。大体お前あれ爆発したぞ。今頃きっとユミルがビビってんぞ」
「大丈夫だよユミルなら」
「まぁ今頃もっとヤバ気だろうからなあいつ。生きてっかな」

 「ヤバ気って…」とか言って潤がウケ始めた頃だった。潤が痛そうに腹を抑えていると、電子的な振動音が鳴り、流星思わず「うぉっ、」と、ケータイと間違えて銃を抜いてしまう始末。M18。ゴツさに学生、唖然。

 「あちゃうわ」と、ジャケットからケータイを取りだし「ん?」となる。

荒川政宗

 一体どうした。

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