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 真里がシャワーを浴びている最中に俺は、彼女の荷物を全てごみ袋へ投入した。
全てと言っても彼女はこの家にほとんど物は置いていなかった。何着か買ってやった服といくつかの食器だけだ。
 時間なんて、10分もいらなかった。

 食器は小夜用に取っておくとして、あとは真里と小夜の服を入れるのに、小さめのタンスみたいな収納ケースでも買おうかな。

 パンツ一丁で出てきた真里は一言「終わってんの?もしや」と驚いていた。

「終わった。粗大ゴミのでっかい袋に入れたんだが半分もなかった」

 真里に袋を見せると腕組をして関心顔をする。

「絶対時間掛かるだろうと思ったんだけどな」
「捨てるのに?」
「うん」
「別に」

 別に捨てられなかったとかそういう訳じゃなかった。ただ、昔からの物臭が祟ってここまで来ただけだ。

「てかお前いつまでその格好なんだ?」
「え?照れちゃう?」
「うん、はい。照れちゃうから服着ようね風邪引くよ。小夜の前でやったら本気で殴るからな」
「過保護だなぁ。耐性付けさせとけよ。いつか小夜だって男と」
「それ以上言ったら斬る」
「怖っ!待って!まだ使う!」

 そう俺が脅すと真里は焦ったように服を着始めた。始めからそうすればいいのに。

「あんた、案外束縛タイプだろ…」
「束縛タイプだったら浮気されねーよ」

 そう答えれば、「こりゃ失礼」とふざけた感じで返される。

「袋もったいないから、他に捨てるもんねーかな…」
「てか、服しかないならそれ売っちゃえば?」
「あー、それいいな」
「じゃぁさ、その袋一緒に持ってって、俺のもついでに売っちゃう?」
「名案じゃねぇか」
「よし、じゃぁ予定変更」

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