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店を閉めて余った時間でクリスマス会議をちらっとした。大まかなメニューは決まり、来週からやってみることにした。
それには発注先の手配やらなんやらがあるし、やはり出数を見たかったのもあってここ最近客層やなんとなくメニュー傾向を考慮した結果のメニュー編成だった。なのであまり負担もなさそうだ。
話題はそこから、やはり今年のプライベートでのクリスマスプランの話になった。
「おっさんどうすんの?」
「家で寝てる」
「いやどっか連れてってやれよ」
「ウチのはね、外出んの嫌いなんだよ」
「あ、じゃぁ俺が小さい頃やった遊び教えてあげよっか」
「光也のは怖いなぁ…何?」
「キャンプとかで使うランプあるじゃん?アレに黒い紙を敷いて針で穴開けてプラネタリウム創んの」
暗っ!
「怖っ!暗っ!お前いつからそんなネクラなの!?」
「なんだよ言わなきゃよかった」
そう言って拗ねる。意外とネクラって言葉堪えるみたいなんだよなぁ。
「でも…」
柏原さんは腕を組んで結構真面目に考え始めた。
「それ、いいかも」
「なんだよ、いまバカにしたくせに」
「うん。けどさ。
あいつ、なんかそーゆー日常喜んでくれるかな。うん、お前に聞いてよかったかも」
なんてガチに言われたら光也さんも「うーん、お役にたててよかったわ…」と、なんだかなんとも言えない曖昧な感じに返した。
ふとそんな、雰囲気がよくなった頃だった。光也さんのケータイに電話が掛かってきた。画面を見て光也さんは、一度外に出た。
仕方なく先に帰る準備と閉め作業を始めることにした。
しかしこんな時間に誰だろう。
10分くらいで光也さんは帰ってきた。帰ってくると、「悪ぃ悪ぃ」と言って閉め作業に取りかかった。
「こんな時間に珍しいな」
「まぁね…」
なんだかバツが悪そうに会話してる。なんだろ。変な感じだな。
閉め作業が終わって着替えているとき、「悪い真里、今日先帰ってて」と言われた。
「へ?」
「うん。ちょっと飲み行ってくるわ」
「光也、お前明日あるんだけど?」
普段なら絶対そんなこと言わないくせに柏原さんはやけに冷たく光也さんにそう言った。
「大丈夫だよ」
「お前さ…。坂本さんだろ」
そう言われて光也さん、あからさまに顔が引きつつった。あぁ、そう言うことか。
「なに?飲み行こうって?」
「前々からね、誘われてたけど…」
光也さんは仕方なさそうに小さく溜め息を吐いて柏原さんに名刺らしき物を一枚渡した。覗き込むと、『株式会社 |藤營《とうえい》出版 代表取締役 |坂本《さかもと》|義幸《よしゆき》』と書かれていた。
「へぇ…わりと有名な出版社じゃん」
「そこの社長がなんでまた。モデル?」
「んなわけないだろ。
ん〜…」
「ほらほら、お前は嘘が下手なんだから白状しちまえよ。この名刺お前と俺どっち宛?」
「名刺は二人分…。まぁ…。ここの特集を雑誌で書きたいんだって。だけどあんたそーゆーの多分嫌いそうだしなによりあの人のこと嫌いそうだなって。一応今日ちらっと言われたんだけど、話あんたに通す前に、多分俺がちょっと話でもして然り気無くかわすなり、真剣そうだったらちょっとあんたに相談しようかなって思ったの。あんただってそのままあの人が来たところで聞く耳なんて持たないでしょ?」
うわぁまたこの人は何してんだか。
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