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そして。
俺たちは帰る前にホームセンターに寄った。
「やっぱまぁ、物ぶっ壊したんは後味悪か。モヤモヤしとうない。壊したもん、買うて帰ろ」
「でも敷居跨ぐなって」
「ええやん。家ん前に俺が置いて帰るばい。ついでに昴センスでおしゃれにしたろう」
「あぁ…」
そう言って太一は笑った。
よほどあの家。太一にとっても嫌だったらしい。
「まぁ、センスないよな」
「昴、」
「ん?」
「にしゃぁ、しっかしばあさん、ホンマに手ぇ切るんか?」
「ああ。もうええわ。
…情なんてものは、遥か昔にもう、なかった気がする。あれに俺は、人生を」
「わかった、やめよう。昴は、昴でいて欲しい」
あぁぁ、もう。
「太一ぃ〜!」
「なんやねん」
「かっこいぃ〜」
「女子かにしゃぁ、眼鏡曇っとーと」
「もう俺太一の嫁になりたい」
「いるやろお互いぃ!」
「あれ嘘やしぃ〜」
「途中で気付いたわアホ!」
俺は真樹にネコの抱き枕を買った。何故か聞かれたのは洗いざらい話した。
「そげな大変なやつなんか」
「そうそう。これあったら寝れるよね、俺がいなくてもさ」
「そやねえ…てか、ホンマは付き合うてないんかそれ」
「ないない」
まあ真樹と俺はどんな関係と言われたらなんとも言えないけどな。
親友よりは、互いを知らないんだと思う。家族なんかもっての他、もう少し緩いし、当たり前ながら恋人でもセフレでもなく。ただの友人、よりは共鳴しているらしい。
「太一、」
「なんや」
そんなことを考えて、結局駅の駐車場まで来た。他愛のない話をしながら、こうして。
「…なんかさ、よく中学の頃、いたずらしたり、まぁライブ一緒に行ったりしたよな」
「なんや今更」
「うん。
いまの気持ちは、それみたいだなぁ、とか染々思ってな。あの高揚感の名残って言うかさー。
丁度ライブくらいの時間を共に過ごしてるしな。だからかな」
「言うことがいちいちキザやなぁ」
「あっ」
それ。
「真樹に…、そのさ、バンド野郎にも言われたよ俺」
「ほぅ、そうか」
「なあ太一。
明日18時、DIVE city Tokyoに来ない?駅で行ったら…確かなんだっけ宇宙ステーションみてぇな名前の駅なんだが」
「なんやそれ」
「明日で俺と真樹、同居終わるって話なんだ一応。明日ライブがあってさ。それまで泊めてって言う約束だったの」
「…偉く排他的やなぁ。けどまぁ…」
太一は言葉を飲み込んだ。
だから、この駅を見た、いまから地元を離れる少しの哀愁は笑顔に代えて、素直に言いたい。
「一緒に久しぶりにハコ行きてぇなとか、そんなん。
チケット貰っとく。一応…2枚」
「…気が向いたらな」
「うん、そうだな」
「昴」
「ん?」
「また会いたいな」
その言葉の意味。
「…そうだな」
名残惜しい。
しかしまた前は向かなければならないなと。
全て終わったわけではないけど。
それから新幹線の時間まで、少し早いが俺は、太一に礼を言って軽トラを後にした。
さぁ、帰ろう。
東京へ。
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