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 まともに立っている高校生二人が気まずそう。一人とチビ一匹が異様である。

「なんじゃぁそりゃぁぁ!」
「えっ」
「なっ」
「センスなっ」

 最後一言で真樹を背負ったまま体勢を戻した西東に真樹は最早、「い゛っ」と舌を噛んだご様子。今日の真樹はどうやら、ナトリが言うように、厄日らしい。

「何してんのよっちゃん、うるせぇけど」
「え?何って?映画」
「はぁ?お前呼んでないけど」
「え、冷たくない?何それどゆことあまちゃん」
「え、てかえ?お前らも何?
まさか今観にきたとかふざけたこと」
「え違うの?」
「そう聞いたけど」
「はぁ?なんなの真樹」
「へ?よぅたん映画観よて」
「お前舌噛んでんじゃねぇかよバカ!
 あぁぁぁ、マジか、えぇえ〜…俺ん家のテレビでけぇからって調子乗んなよマジかよ、貸すって話だったんすけどあれハイビジョンで?嫌だわ〜。観せたくない人種1、2、3も居る〜」
「陽介然り気無くない自慢。そーゆー調子こいた君嫌いじゃないわ〜。
 買ったばっかなんだな。僕も知らないテレビと映画か。あげろあげろ。ほら僕たちうるせえから早く早く」
「ウザイ〜、あいつウザイ〜。俺ら三人には何の自慢でもねぇじゃん、死ねよVテン。超ド級AVじゃなかったらマジベースでぶっ壊すかんな全部」
「持ってねぇじゃんお前ら今何一つ。
 AVじゃねぇよ、なんで好き好んでバカ4人と素人生中出し見んだよ死ねよ変態」
「やだぁ、陽介お前そんな趣味だったの」
「お前よかましだろコスプレロリコン外人SM野郎。いいから入れ恥ずかしいわ全員死んでしまえクソッタレ」

 一之江と西東の知りたくもない性癖を知ってしまった不純高校生、ただただ、特にナトリに至っては「俺今日一番の飛び火」とぼやく。文杜に至っては「大人って燃えて死ねばいい」とやけっぱち。真樹はもう「帰りたいい、嫌だぁぁ」泣き言。

 そのまま4人(真樹はおぶられ)で一之江の家にどかどか上がり込み、勝手にソファには高校生3人が陣取る。

 ノリが大学生の様だな。
 家主、一之江は呆れてしまいながら冷蔵庫からビールを一本取りだし、開けて飲んだ。
 高校生3人集とガヤガヤやっていた西東も、ビールの音を聞き付ければ目を光らせて冷蔵庫までやって来る。

「…餌見つけた犬かお前」
「そんなんだよ僕もビー…あ、んだよあんじゃん冷酒。飲む飲む」
「あダメそれとっておきだから」
「はぁ?」
「映画に合わないよ、ほら、きっとそれ|久保田《くぼた》じゃなくてエタノールだよはい。丁度良いわ。ほらほら見るよ2本持って」
「あり得そうだから引き下がるわ」

 一之江は西東の両手に、白地に黒い星マークを持たせて無理矢理リビングに追いやる。「不味いヤツじゃんか」と言う西東の小言は黙殺した。

 どうやら最終的にナトリが左の背凭れ側、その隣に真樹と、右に文杜が座ったらしい。あれでは大人2人、座る場所がない。

「よっちゃん端だな。俺ソファーじゃなくていいや」
「俺端?」
「地味にでけぇもん。
 バカガキぃ。てか真樹ぃ。抱えられろ。よっちゃん端に座らせるから。お前ら3人で広々と俺のソファを使うな」
「えぇ〜、なんだよそのチャイルドシートみてぇな」
「じゃぁ寝ろ」
「わかったよクソ医者胃炎野郎!」
「可愛くねぇガキ…!」

 しかし振り返ってブスくれる真樹、地味に可愛らしい。それを見て西東が「けっけっけ」と一之江の背後を通りビール片手にナトリをしっしと退かしたのが見えた。
 察してナトリが左端に移動、流石長身同士、わかり合うなぁ、と感心して一之江は眺める。然り気無く文杜が真樹を間に挟んだのだけが卑猥だった。

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