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「…犯罪ならもっての他じゃないの、警察呼んで罰金よ罰金!」
「いやぁそれも確かにそうなんですけどそもそもこちら側も張り込みなんていうダークグレーを犯した結果なので…何が言いたいってこれは浮気の証拠ですが持って行くのはリスクがあるかと…」
「なんでっ!」
「相手が未成年だからですねぇ…。
 そもそも漫画喫茶に女子高生を呼び込んだところで、漫画喫茶はそういったことをするという前提の場所ではないのでこれも犯罪かも浮気かもわからない、という見解に至りますねぇ…」
「…は?」
「そこが面倒なところなんですよ」

 恵子は盛大に眉間にシワを寄せる。

「…まぁ、4回目ですが撮れたのはこの一枚、これを浮気として例えば片付けられたとしましょうか。貴方も配偶者でいまはあるわけだから、下手すりゃ旦那が逃げれば罰金になりますよね」
「なんで、」
「未成年者保護法ですかね。浮気立証という面目も曖昧ならば尚更ですねと…一応は一個人ですよ?旦那さんも恵子さんも」
「はい、で?」
「言うなれば浮気現場と分かれば少し道は拓けてきて」
「浮気じゃないの、これ、」
「まぁはいそうなんですが」
「音声は!?」
「…残念ながら立証出来ていない以上ただの児童ポルノですし、そうなると何故こちら側が所持しているのかという観点で不利になりそうだと、この子に関しては削除いたしました」
「はぁ!?
 大体、思うんですが未成年者保護保護って、この子だってわかっててやってるんでしょーよ!」
「いやまぁ、…正すのも大人の仕事ですし。
 例えばですけど、もしこの写真で離婚調停となれば、この子は未成年であるわけなので慰謝料は取れませんよね。まぁ旦那さんからその分貰うとしても、こちら側も、音声データなんてあれば単純にプライバシーの問題で慰謝料もんなんですよ。
 これはかなり無茶して撮ったんですけどねぇ…。
 そこに児童ポルノに引っ掛かる、となれば下手すりゃ恵子さんのマイナスにだってなりかねませんし」
「…どゆこと?」
「あ、それは音声データの話ですよ。
 写真は有力なんですが結局曖昧なんで…。こちらとしてはここまでが限界かもしれないと相談に来ました」
「…なによ、それ!」

 コーヒーは手に届く位置にはなかったが、俺が念のために貰ってきてやっていた砂糖とミルクが飛んできた。

「…他は無理だっていうの、」
「…俺ではどうにも…。まさか中に入っていくことも出来ないですしね」
「…確かにそうだけど」
「……一応ですね、補足しますと…。
 音声データについては実は、この子と接触し買い取る、という名目で削除をしたんですが」
「は?」

 あぁきたきた。
 「ですがね!」と即制す。

「…写真に関しての話も彼女には伝えました。彼女は、奥さんの都合よく使ってくれて構わない、と」
「…はい?」
「本来であれば青少年犯罪だというのも伝えまして、まぁ要するに、こちらに何も要求はしないでくれ、という風に話を進めるためにも音声データは消したわけでして…」
「…つまり私はどうしろと」
「まぁ本当のところいくらでも言い様はあるんですよね。未成年に手を出したから離婚する、でもなんでも。
 そこで再度確認ですが貴方は浮気の証拠を手に入れてどうしたいか、が論点かと、話を持ち帰って来たところで。
 大抵の浮気調査は結果、慰謝料の請求に使うのですがこの子からは取れない、というのはご理解頂けましたか?」
「…なるほど、そういうことですね」
「はい。
 で、浮気立証は最早ここまで手堅いと難しい。この子の話をしますと、恐らくはドアを相手が開けるのを待ったタイプの子だったから撮れた。援交サイトって様々あるようなんですけどね。女子高生だなんていうと例えば…自分から入っていっちゃったら条件が違う、怖い人がいるだとかね、やはりその程度の意識があっての行動だったわけでして。大人よりリスキーだからこそのこの子の自衛と言うんでしょうか」
「…はい」
「そうでもなければまああとは、多分旦那さんは慣れた相手を選んでいるんですよ。
 で、この手の“慣れた女性”というのは、最悪現場を押さえられて慰謝料を取られる可能性がある、という知識があるから、つまりはまぁ、二人で写り込む可能性があることをしないというか…互いに尻尾を出さないわけです」
「…つまり女子高生くらいしか押さえられないかも、てことですか?」
「ですね。あとは………これを俺から言うのは「無理矢理証拠を取った」と、奥さんにも不利になりそうなんですが、現行犯ですかね」

 あぁあやはり恐れていた事態に発展してしまったな。

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