2
模様は暗転して薄オレンジのネオンが生々しい。
彼女は健やかに隣に寝ていても、
例えば、デパート上の小さな遊園地でだってそう。ある一定で突拍子もなく、光を見つければ耳を塞いで叫び出すのです。
「キィエアアアア」
俺はこれに抱き締めて、「大丈夫ですよ」と、何度何時応えて来たのかわからない。その度に彼女は冷静になって言うんだ。
「どうかしている」
本当にその通りだと思う。
だけど君はいつだってそんなとき俺によがるではないかと。
俺にはそれが煩わしく。
鬱陶しくてそう、首を捻って殺してやりたくなることがあるけれども。
だって仕方がない。君はそう、頭が悪いから。
どんなに泣いていたって
「クソ野郎、あんたなんかっ、」と詰ったって
俺を結局捨てられない。
あの同級生と共にしでかした俺の後遺症に君はずっと怯えて、恐れて俺と共にこんなことして気が狂ってしまったのかと。
それが甘美で楽しくて。
あぁなんて。
どうしてあの時君は俺を殺してはくれなかったのかとまた、バックグラウンドを聞くような気がする。
ねぇ、どうして君の中にあった俺の命は。
ホームランバッター、センターバックオーライ。
どうして。
なんでいなくなっちゃったんだろう、2ヶ月目にして。
それなりに俺は。
だから仕事も探そうかなとか。
母親の墓参りにも行った、無くなってたんだけどそんなものは。
「|入間《いるま》くんのと付き合うことにしたの。だから…」
なんだって言う?
と言うか知ってるさ、入間と付き合ってたのなんて、あんた、だいぶ前から、
「だから貴方とはもう。
この子も、だから入間くんの」
あぁバックグラウンドが聴こえるよ。
入間が居ぬ間に陽炎のように、そして。
どうして気付いたらこうなっていたんだろう。
別に謝る彼女はどうでもよかった。
入間のクソみてぇな、懐かしすぎる紳士面だってどうだってよくて。あの、急降下前の吐きそうな背中の圧迫だって、お前のしてやったりな面だって、もういいさ。
ただ結果、なんで泣きながら二人で、ベットの下で、俺の視界にはチューブが見えて、天井白くて空気が透明なのか、こんな虚無感はわかんない。
あと少しで植物人間。
よくわからんが入間はいなくなって。
彼女は結局俺のところに来た。
結局俺のところに来た。
嘔吐、発熱、フラッシュバック、意欲減退、不眠障害。どうでもいいけど彼女は残った。
ただそれから気が狂ったようだ。箱から出ようが毎日毎日白昼夢に狂ったように求める情欲は煩わしい。首を絞めて、殺したいほど、愛しい。
どうして俺なの。何故なの。俺はあれから君をこれほどまでに。
「キィエアアアア」
愛せない。
愛せない。
安定しない、不安定要素を残したままな。
わからない君なんてどうして愛せるというの。
「大丈夫、落ち着いて、外だから、中に、」
「うるさいうるさいうるさい!」
俺の気持ちがわからない君になんて。
「どうかしてるなんて言ってごめんなさいだから、立って、みんな見てるから」
デパートの意味わからん遊園地で待ち合わせようなんていう純粋無垢な、
水色のワンピースを着た君に俺の気持ちなんて。
「ちょっと、待って、ちょ、」
わかるわけがない。
急降下するこの景色すら、いまやもう、朧気でしかなく。
- 3 -
*前次#
ページ: