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『Ceux qui ont perdu leur coeur sont difficiles à respirer.
(心を亡くした者は、息がしにくい)
Parce que le trou s'est ouvert dans coeur.
(心に穴が開いてしまっているからです)』
あれからどれだけ僕らが歩いたかはわからない。
『Ce trou fera tremper l'eau dans les poumons un jour,
(その穴はいつか肺を水で浸し、)
Vais perdre la lumière.(光を失うでしょう)』
窓の外は雨が降っていた。少し寒い。
古宿でしばらく過ごそうと、少し疲れた僕らはあれから数日、ここにいる。カレーのパトカーが街中を走っている。ということはまだ、カレーから抜け出せてはいないのだろう。
『Un pécheur qui n'a pas de lumière brillante,
(輝く光のない罪人は、)』
ここは薄暗く、ほの暗い、廃墟のような古宿だった。
何か、恐らくは聖書だろうか。無感情に垂れ流す、隣に寝転がっている裸のユカをみれば、うつらうつらとしている様で。
背中から腰辺りに流れる金の髪が綺麗で。だけど今日は、太陽が照っていない。
『Un jour…』
僕らはユカのしなやかな腰を抱きよせ、身体を抱き締め、その紡ぐ唇の中へ泳いで、呼吸を忘れそうになる。
『à la fin de l'errance, tombera en enfer.
(いずれさまよい、暗闇へ堕ちて行くでしょう)』
妖艶に、しかしまだあどけなさが残るユカが愛しい。僕の情欲、彼女の色情がこの世界を汚していく。
いくら君に近付こうとしても、飛ぶように求め、指を這わせてその輪郭を見ても、僕はまだまだ辿り着かない。君の綺麗な碧眼が濡れ、砂漠に柔らかな花が咲くように、温い感触の君の感度がここにあったとしても。
「ケイ…、あっ、」
僕は君に溺れていくばかり。首筋から足から、性器から、腕から、熱を感じて抱いていたとしても、僕は地を這うように、這うように、
「Aie,Aie…!」
触れていた指は性の味。それにキスをしてから顔を歪めるユカの額を撫でてあやす、「Bisou Magique…(痛いの痛いの飛んで行け)」。
耳元で囁けばユカは飛んで行く。僕だって、同じ沼に行くはずだけど。
最近涙を浮かばせては「ケイ…」と、僕の名を呼び項を抱き締めて眼を瞑ってしまう。
僕は君に届いているのか。
眠ってしまったユカを抱いては一息吐く。
この蜘蛛が這った空白の太陽に僕の心は染みを作るように、痛くなる。
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