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 君が観た景色、声、姿、全てを見たいだなんて僕は浅ましくも思う。

 どこかで、
これは破られた約束だと、その処女膜に触れた僕はあらかじめ知っていたような気がして怖くなる。君の中の記憶と僕の中の記憶は混じりあって、汚れあって、ぐちゃぐちゃに赤くシーツを染めて。

 だから、だけど。

 君は何て言おうとしたの、その秘密を知りたいんだと、戦慄して。
 深く深く足元が、雨の後のようにぐちゃぐちゃで、何もない所へ、堕ちてしまうような恐怖を抱えているんだ。

「ケイ、ケイ、」

 耳元で聞こえる無感情な君の声。
 夢か、世界の果てか、現実か。

「行く、行こう、早く」

 目を覚ませば暗い、蜘蛛の這った天井。
薄暗くて光もない。

「捕まる、早く、」

 あぁそうか。

 髪の長い、ワンピースのユカがその天井に入り込む。腹部が圧迫され、ユカが跨がってるのかと理解する。
 ユカの頭を撫でれば、部屋の外が騒々しい。

 そうか、逃げなきゃ。
 二人で。

 上半身を起こせば、ユカは自然と退いてくれて。毛布の横にくしゃくしゃになった僕の服がある。
 さっさと着替えて窓の外を見る。パトカーは、部屋の前ではないようだ。

「窓から出ようか」

 僕はユカの手を取り、促した。

 どこに向かうかなんて、分かるはずもないけれど。
 だけど。
 光を待っている。僕らは、きっと。

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