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寝室に戻りそれぞれが布団の中に入った。
「今回の依頼主さ」
「ん?」
「なんかさばさばしてるっていうかさ、何て言うんだろう。何かさ、『邪魔だから全部売っぱらってくれ』って感じなんだよなぁ」
「そう」
「まぁ他人がとやかく言えるもんでもないけどね。好きなやつテキトーに持ってってくれって言われたんだけどさ、俺で3件目くらいだから倉一個分あったがらくたが半分くらいになってんだとよ」
「それって、もはやあんま良いのないんじゃないの?」
「それがね、倉にあったやつは何となく値打ちはありそうなんだと。たださ、日本刀とか、なんか本当に色々あったから業者を分けてるみたいなんだよね」
「あぁなるほどね」
とか言いながら布団の中でごそごそしている。見ると体勢を変えたようで向こうを向いていた。多分そろそろ寝るのだろう。
「そう言えば葵ちゃん元気だったよ」
「ん…。それがあいつの取り柄だから」
「お迎えだけ行ったらあとはうちに卓郎と美紗がいるからなんとか大丈夫だろうってさ」
「明日葵のとこ行ってくるよ…」
そのうち肩が規則的に上下し始めた。覗き込んでみると、寝ていた。
もうしばらくは寝れそうにないな。ここにくるといつもの考え込んでしまうから。
あの日のこと。あの冬の日にあの時計は壊れた。
どうして関係に罅が入ったんだろう。多分二人の関係は、本当は物凄く危うい位置にある。だがそのお陰で何とかやってこれた。罅の入ったガラス扉みたいなもの。一本の罅、それに触れば割れて全壊してしまうから、ガムテープで傷を塞いでる。そんな、応急処置を十年少し続けている。
ただガムテープで繋ぎ止められるのは、そこに傷があるからだ。陽輝はたまに思う。もしも、あれがなかったら、俺達はやってこれなかったんではないかと。そう考えながら、否定をする自分もいる。そんなことはない、あれは呪縛だったんだと。
隣で寝ている紫苑が少し苦しそうに唸るから。布団を少し下げて顔色をみる。険しい顔をしている。悪夢でもみているのだろうか。
お前も俺も、結局同じくらいに苦しいのかな。
そう思ったら眠れるような気がした。お前と一緒、俺も悪夢を見るから。
だけど結局はしばらく眠れなかった。
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