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…ラブホ女子会って、こういうことかな…。
昇の思考が少しずつ現実的になるのを待たず、「はい」と促してくる加東のノリにすら従う。
まだ、5割は非現実。
玄関に入れば「めっちゃラブホじゃん」と思わず口から出た。何割かわからない。
本当に本当のラブホテルだった。
外装からわかったが、ファンタジックなやつではなくシックな感じの、大人の男女が使いそうな感じの、家具の色が統一されている系の。
しかし何がなんでも、ラブホテル。
見渡さなくてもすぐ目についた風呂場は開放的、バラでも浮かべそうなやつで……。
急にぐっと、背中に熱い体温を感じた。
加東が昇のジャケットを両手でちょんと摘まみ、寄り掛かったようだった。
「…加東?ちゃん?」
「…昇先輩」
声が籠っている。
どうしたもんかと向き直りまず、顔を見ようと両肩を掴んだその拍子に、加東はがっつりと懐に入ってきた。
「……ん!?」
「今日だけ、ちょっと…」
妙に湿ったい声で言い顔をあげた加東の目は潤み、表情は火照っている。
小さな声で「お願いです」と言ったのが聞き取れた。
「…は、え、」
「抱いてくれませんか……?」
非常に、まるで死にそうな声だというのにはっきり聞こえた加東の言葉に「は!?」と驚きを隠せない。
「何言ってんのお前、」
「お願いです…」
「な、」
「ずっと…そうなりたかったんです、昇先輩」
「えっ、」
またすっぽりと、丸まって懐にしがみついてくる後輩に「待て待て待て、酔いすぎだってば」とは言うが、いや、これは逃げるべきなんじゃないかと動こうとしたが、再び「…お願いです、」と弱々しく言われ、昇は僅かに油断してしまった。
相手が押し倒そうとしたその力と、自分がドアから出ようとした力が喧嘩したらしい、ついでにアルコールも加勢したようだ。
足が縺れて尻餅をつく。
間近、天井というよりかは加東が昇を見下ろし「昇先輩」とけしかけてきた。
「ひぇっ!?」
変な声も出る。
「…卑怯ですよね、僕」
「…ん…っ?」
「昇先輩が彼女と別れたのをいいことに」
行き場のなかった右手が、がっつりと繋がれてしまう。
「でも、」
加東は少しだけ上体を起こし、髪を耳に掛け小さく息を吐いた。
自分の黒ネクタイをくいくいっと緩め、しゅるっと抜く艶やかな姿…。
……し、縛られたりしてこれ…っ!
「好きだから」
昇の予想は外れ、加東はそのネクタイを乱雑にぶん投げた。
「ちょっと……」
そして伏し目にすぐ下、股間あたりを恥ずかしそうに眺める。
「嫌だと思うんで…目でも、瞑っていてくださいね」
「は!?」とも言う間もなく、加東は昇のベルトをカチャカチャやり始めた。
「ちょっと待て、」と言うのも、あまり聞き入れてない様子。
そしてあっさり、ふにゃっふにゃで萎えきった自分のソレが出て来てしまう。
羞恥で頭に血液が登る。この状況、本当にヤバイんではないか。
「昇先輩は、彼女とどんなセックスしました?」
だなんて、天使には非常に似つかわしくない言葉を吐いた加東は、自分もベルトを外し、細身のパンツに手を掛ける。
一瞬何故か、ボーッとしたように間を置いたが、すぐに尻を少し浮かせ、後ろだけ下げた。
「僕もお酒で萎えちゃってるんで」
にへら、という笑顔。
ナニコレ。
いつもみたいに可愛くなんて見えないなんなら超怖いんですけどと昇が思っている最中、加東は側で乱雑になっていた鞄へ手を伸ばし、明らかなるローションのボトルを取り出した。
待って、そんなんビジネス鞄に入れてたの!?
起こる現象ひとつひとつに着いていけない。頭がまわらない。
ただ、血圧のようなものが完全に下がっていってるのだけがわかる。
「いや、ほんっ…、何っ、」
大して言葉すら発せない昇に構わず、加東はそのヌルヌルした液体を手に取り、「冷たっ」と、恐らくはケツに塗ったくり始めのだった。
後輩、加東の目は、更に熱を帯びていく。
「…昇、先輩、」
「…なん、」
オーバーサイズのシャツを掴み、まるで自分の股間を隠すように「見れないよぅにしま…」と、少し呂律もまわらず言っている。
「目、閉じて…て」
「へ、」
「悪く、しないから…」
てゆうかこれ、そっか、マジに押し飛ばして逃げないとヤバイだろうと思い付いた瞬間、加東のヌルヌルの手が股間を包む。
言われなくても「うぅっ……」と、自然に目が閉じた。
ヤバい、なんなんだこれは。
触れられれば、脳内にはそれなりのアドレナリンは流れるのだが、酒もかなり入っている。
若干、僅か、気持ち、少しは反応もしなくはないが、やはり萎えっぱなしの状態。
「……っか、かとーっ!」
声すら情けない。
「…すみね、」
「っ……はっ!?」
「澄音って名前なんです」
はぁ?知ってますけど!
と言う前に、腹に手が置かれ加東の体重が掛かる。
そして何か、肉に挟まれぬちゃぬちゃと、まるで絞るように力を入れてぎゅうとしごかれ始めた。
多分、素股だ。
その刺激はまた、他とも違う、一気に快感を自覚するほどで、こんな、こんなことで…と昇の理性が葛藤する。
もう訳がわからなかった。
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