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青を基調とした半円にキラキラとした雪のイルミネーション。
どうやらここが“映え”スポットらしい。期間は11月下旬から1月くらいまで。その他のシーズンは季節の花々が一面に咲いているらしい。
ここは、葵にとってどんな縁がある場所なんだろう。
公園で出会う前の、所謂「出生の地」の思い出か何かなんだろうか。それともこうして端末でなんとなく画像検索を掛けたんだろうか。
調べたとしても随分マイナーというか、なんというか。こことわかっていなければ調べないだろう。
洸太はぼんやりと寝転びながら、そんな辺鄙なことを考える。
この、自分の「地元」からは結構距離がある。県の本当に端、なんなら県境かもしれない。
当時転校してきた弁当屋。この画像の場所から少し都会のここへと引っ越そう、というのはわからなくはない。
…雪とか降るかな…。
ほぼ北関東だ、多分この辺とは天気予報を見る場所も違う。
でも天気予報欄でいうとすれば…暑さで有名な場所が近いかも、そちらを見そうだが未知だな…。雪だのなんだのだったら、免許取りたてだろう自分、果たして生きて帰って来れるのだろうか。
「デートぉ…」
思わず口から漏れる。
ぶっちゃけ、今自分がどういう感情なのかわからない。デートスポットだなんて…あまりに直球すぎるそれを受け止めきれない気がするも、初ドライブ、しかもハードル高そうな場所だなんて、こんなときに冒険心も湧いたりして。
誘われた際、「お、おう…」と微妙な反応をしてしまった。どう受け取ったかな、葵は…。
胸にパタッとスマホを置き、暗闇を眺める。
ここのところ、ハッキリと色々なことが急速に動き始めた。
いままでの自分の日常なんて、良く言えば“ことなかれ”、悪く言えば“怠惰”。
ただただ今日が来て明日が来る、当たり障りのない“普通”を過ごしてきた。
17年、もう少しで18年程度の人生を振り返る。
多分、余程変わったり変えたりしたのは葵との出会いと別れと再会、それと高校受験くらいなものだ。そして次にはまた大学受験が待っている。
高校受験の際、家族は自分に気を使っていた。最近それがカムバックしているのを感じるが、前ほど張り詰めていない。
葵とはまた離れるのだろうか。
葵が変態オヤジの事業をそのまま継ぐならばそうだろう、自分はまた更に都会へ進学するつもりだ。
あの変態最悪オヤジは金持ちだ、即事業を継がせるよりも案外…本格的な専門の大学…美術大学とか…あいつの単位を知らないが教室にいる頻度を考えると、例えば都会に出たとしても、専門学校等に進学する可能性もある…。
…そういえば、進路の話なんてしたことないな。
似た色を眺めていると気持ち悪くなると言っていた、そうなると美術大学なんてキツイかもしれない。
洸太は再びスマホを翳し、色弱、と検索した。
頭のどこかで別の何かを考えている。たまにそれを自覚することがある。ぶつけた尾てい骨の痛み、それは刺激のようなものだ。
…眠れない。
理由はわかっている。だけど、あのスカート姿を見て昔の気持ちを思い出したり、トイレには多分、始めは二人でいたはずだ、ぐちゃぐちゃな思いでもうわからないけど、尾てい骨の刺激。
別にその痛みだけがこうして、あらぬ反応に作用している訳じゃないけど。
いつの間にか18禁を探している。これは最低かもしれないと、右の蟀谷付近によぎるのはどうしてだろう。
モヤモヤ、モヤモヤ。不完全燃焼どころか燃焼すらしないまま、あの時の葵の姿が過ぎる。それだけは覚えていて。
寝落ちしていた。
…朝はいつもだるい。今日は金曜なのに。
しかも、充電が70パーセント。そわそわする。
それより…と覚醒して安心した。夢精はしていないらしい。前日に抜いたのが良かったのかもしれない。
…学校行ったら充電しなきゃ…いやホームルームにはコンセントを抜かねばならない…ダルいな…、ダルい。休み時間の度とか…逆に減りが早いだろうしどうしようかな…。
しかし、まぁ。正直そんなに使うこともない。
金曜日なら、まぁ女が連絡を寄越してくるかもしれないし、クラスのグループチャットがうるさくなるかも。
面倒だ、ダルい。
いつからこんなに消極的になったのだろう。
始めからだったのかもしれないし、葵へ意識を傾けてから妙に疲れているのかもしれないけど…。
学校、まぁ行くか。
高校に入ってから同じ言葉をずっと思い続けていたが、そういえば最近自分の中でニュアンスが違う気がする。
それが良いか悪いかといえば半々だ。それだけはハッキリしている。
こんなに何かを意識したことがなかったんだろう、と考えながら準備を始める。
じゃあ今までの生活って、なんだったんだろうな。
歯を磨く手が止まる。
何か、何か意味を見出すためにわざわざ離れた高校を選択したんじゃなかったっけ。
自分は随分、贅沢だ。なんで、こんなことを考えているのだろう。
今、もしかして自分がわからないんじゃないか。
鏡を見て思う。
見慣れた顔がゲシュタルト崩壊しそうになりデジタル時計が目に入った、やべ、急がなければ。
家を出る際、スマホの充電は98%になっていた。
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