無題 2012.7.9
退屈だな。
がらんどうの空っぽになってしまったかのようだと彼は言った。
ベランダから夕日を見て言った。
「死んでんのか生きてんのかの境界線は多分、ここなんだ」
先程から独り言なのか、私に話しかけているのかがわからない。
もし話しかけているのだとすれば、なぜ、初めて話す私なのだろうか。
教室にこんな時間まで残っているのは私たちだけだ。だとしたら、話しかける理由はただ一つ、そこに私がいたからに過ぎない。
「なぁ、飯島」
「は、はい…」
思わず眼鏡が曇るような勢いだ。やはり、私にずっと漏らしていたのか。
「世界の境界線も、それなんじゃないかと思うわけだ」
少し長めの髪が揺らぐ。風の中に彼は、なにを見ているのだろうか。
ただ、彼の言葉には、憂いやら諦めやら、だけども希望なんかが入り混じったカオスをみる気がしたから。
「君は、死にたいの?」
愚問でしか返せなかった。
彼は一度ベランダから私に振り返った。ホリゾントカラーのような赤。それが彼の言う境界線。
少し楽しくなったので、私もベランダに出て手すりに凭れてみた。
眠くなりそうなほど、日常だった。
「死にたくはない」
「生きていたいの?」
「それも違うな」
がらんどうの空っぽ。それと戦うにはまだ、私たちは若すぎるのだろうか。
「他の人とかってさ、どうやってこの虚無に耐えるのかな?」
「虚無は…
そこに何か詰め込むことが出来ませんか?」
「え?」
彼が、やっとわらった。そんなおもしろいこと言っただろうか。
「それが、自分の世界じゃないですか?」
「前向きだね」
「でもっ!
私は…、私がもしも神だったら」
こんな世界を創ったのは、私なんだ。
言葉が詰まったを、今度は真剣な眼差しで見て彼は言った。
「お前、面白いな」
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