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「…そう!
…保険がどうで…ジイさん助けてなんて、おかしいっしょ、いくら錯乱してても。
錯乱しててもそれだけは言えたんすよあの子」
「……齋藤の後処理も早かったよな…いやまだ確定してないが。ふーん…」
坂下は再び早歩きで戻り、帰ってくる。
「保護者連れてくるって言ってきた」
そして早足で先に進む先輩に着いて行く。
「…急ぐが話を整理しながら行くぞ、出来そうか?寝てなそうだけど」
「…朝方少しは」
「お前の興奮度合いも大分キてるがまぁ、いーわ向かいながら憶測抜きであれからの話をしてくれ、拾うから。
海江田、着いたらまずケータイ拾って来いな。
俺は警察として面が割れてるんだよな…今朝の今だし…っと、0時は回ったのか」
時計をふと見る。ホントだ、意外と時間が過ぎていた。
自然と、運転席には坂下が乗り「は〜い、俺が知ってるあれからを@A形式で話していきまーす」と主導権を握られる。
「@海江田USBの裁判記録のみが不自然にロストA海江田パソコンは現在警察が解析中、修理をついでに頼んだせいか100万吹っ掛けられましたBそちらではライブ配信エロサイトのアカウントに青木透花らしき人物がいた」
「先程確認したら透花本人でした。蝶のタトゥーとカテーテル痕で」
「はいじゃあそれCね。
D海江田帰宅の際に透花と会い現在透花は日赤に搬送済み、ちなみに入院の有無は現在検査中にて検討中とのこと」
「…なるほど」
「血液と粘膜検査は出来た。肝臓値が低い。過呼吸の範囲内で酸素濃度も低いがまぁ、正常。
CTとMRIとレントゲンは、PTSDかなんかが発症中らしくまだ出来ていない。
検査結果は睨んだとおり、ケタミンの過剰検出あり。この時点でまず明日からサイトを潰しに掛かる、てので終わりそうかなと思っていました、透花自身は身体的状況として急性中毒の可能性が否めない、故に入院有無はまだわかりませ〜ん」
「……そうなると山ノ井健三は」
「常習性はありそうだがまぁ…難しいよな、数日で取り敢えず引っ張らないとな。しかし…サイトを潰したところで当の透花がじゃぁ、「レイプされました」とでも言わなきゃ引っ張れませんが…。
明日伝える予定だったが……DNA検査結果の前科者調べたいんだわ」
「…なる…ほど?」
「B型とO型……透花はちなみにA型だったがマイナス。珍しい」
「どこに売っても高値だな…」
「はい、話を戻すよ。えっと何番まで言ったっけ」
「Dです」
「おー、案外冴えてんな。じゃE。透花だかジイさんだかの保険の話が出ましたぁ、F海江田が紀子に社用携帯を壊されました。G、海江田は俺の同期の腹黒野郎に頼み事をしました、内容は聞きたくありませ〜ん!」
「H…えっとじゃぁ…平良さんを介した知り合いに色々ヤバ…有益な情報を提供してくださいと頼みましたら、その見返りに坂下先輩と俺の腎臓か25万かと恐喝されてい」
「俺の腎臓は選択肢に入れないでください」
「…I……ついさっきです。平良さんに連絡したら、透花が救急車で指定した『花村病院』の地主はその…平良さんの知り合いに聞いて頂けたようでした」
「……はい、そんなもん?」
「です」
坂下はふう、と一息を吐き、安慈は安慈でタバコを取り出し火を点ける…。
柄にもなく、手が震えていた。
「…上手くやる予定でした」
「そりゃな」
「平良さんに言われましたよ、だから出世出来ねぇんだよって」
「あ、そういうネガティブメンヘラムーブいらないんで」
「……怒ってますよね」
「だーから、ネガティブメンヘラムーブいらねぇんだよ。は?怒るも何もねぇしただ、だから焦りすぎだっつったよな!?
……と言おうと思ったけど、俺一昨日の時点で「あ、こりゃ早く終わるかな」って少し思ってた」
「え?」
「だってあの家限界じゃん、見りゃわかるじゃん。
そもそも、こう言っちゃなんだが団地一個潰れてて、関係者出てる時点でな、前例がある訳で」
「……確かに」
「仕事ナメてた?腹括って自ら戦場に赴いたんじゃなかったの?」
「……」
「それとも急に感傷的になった?」
「…なんとも言い返せません…」
「次考えねぇとな、即。俺よりお前の方が計算高い性格だと思ってたんだけど?本能で動く動物のクセに」
「……えぇえ、そんな言います?」
「実際、だから俺より先に平良に言ってたり?パソコンぶっ壊してたり?してんだろ?」
「…あ、パソコンはマジで本当に自然の原理でぶっ壊」
「自然に使ってたらぶっ壊れねーから!」
「噛み合わないなぁ…」
「お前な、それお前な。復旧の目処は立ってねーからな」
「っすよね〜…おかげで昭和の刑事スタイル、足で稼ぐになりそ〜…」
「でもこれで早まったのは事実かな。
いいか?警察にはテキトーに恩売っとけ。どーせ先に動いたのはこっちだ、極秘任務として大大大至急で許可取るべきだ」
「となると、うーん、冴えてきた。
最早サイトとか紀子のSNSはそっちでやってもらう方が流れがいいかな…」
「ツキが来たな。頭下げてくんのはあっちなんだよ、あの頑固ジイさん見習えや」
「確かに、確かに」
坂下はナビを見ながら「つか日赤より花村の方が近くね!?」と言った。
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