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言われた通りに検査キットを持ってきた平良の手から即それを奪い、新は検査キットの口をデコピンする。
白手を外した新の手が若干腫れていることに「まさか…」と、圧倒されたままの平良に「ほれ」とキットを返した。
「……反応、あり…」
「おぅ、そうだろ?」
「……パクられたくて来た…訳じゃないな…」
新はやっとでタバコに火をつけ「見てわかんだろ」と手を見せる。
「……あ、あぁドパミンか…」
「あぁ、そこまでじゃないがやってみるか?でも、あのイカレ闇医者に電話済みなんだわ」
「………つまり、」
「ちょーどイカレ闇医者がな、お前ら政府に物申したいらしいぞ」
「ヤな予感しかしない…同僚を」
「まま!たまには付き合えよムカつくから」
「は?」と状況把握を拒む平良の肩を組むと、顔をジロっと見られた。
多分、体温が高いのだろう。
「おまっ……待った待った大丈夫なのかそれ、」
「大丈夫だったらイカレ闇医者のとこなんか来ねーよ。しかも、マトリとなんて」
並木が明らかに平良を睨んでいるが、何も口にしない。
「つまり、アレルギーってこと……で合ってます?」
「そゆこと。だから言ってんだろ、ウチは薬はやらんと」
「…なるほど……そこは理解したが」
「本気で知らなかったわけ?」
「節税対策でテキトーに株持たされてペーパーカンパニーの責任者にさせられた若い衆認識だった…」
グサッ。
んのやろ…と新が吠える前に「てめぇぶっ飛ばすぞこのクソマトリ!」と並木が吠える。おかげで「はいはいはい、恐喝しない…」と自戒出来た。
「お前自覚持てな?俺ら一般的にはおっさんだぞ?大差ねぇんだから」
「……あれ、いくつでしたっけ江崎さん。俺も年齢非公表なんですが…慧か、もしや」
「さぁ?
ま、俺もお前も社会人としちゃぁやっと、だけどな。生まれた年号が違うだけで」
そういえばなんだかんだ、今までこんなに話しをしたことはなかったかもしれない。
「…てゆうか、つまり慧もいれば確かに…精製等にも関われない…と言いたいんですかね?」
「そこは関係ないな。節税対策の責任者程度だ、お前程ズル賢くないよ。つまり……はははっ!物理的にお前とは違うよなぁ、わかりましたかマトリさん」
「………っぜぇ、根に持つなよ全く嫌な奴だな…」
「勿論口外厳禁で。知ってんのはお前くらいだ、一発でバレるからな?親父は甘くないぞ、俺を殺るなら飛ぶ準備しろな」
俺の首はここだ。
さて、何を思うだろうか。
「……この人大丈夫なんですか、えっと……柳瀬さんでしたっけ」
「………はぁ!?ちげーし」
「吠えんな」
ぐぅ、と黙った並木に振り向き目で語る。悪いな並木。
「お宅とは切れん縁になりそうだが、そろそろ簡単に呼び付けないで頂きたいなぁと言う話で」
「…今回は確かに…。
いや待て、危ね…お前からヤクの反応が出たことに間違いはないんだが、」
「デジャブかよ。始まりもこんなんだったよな。
まぁ数日で意味がわかるだろーよ。潔白も証明できるしいいぞ?そんなに食いつくならあの同僚を俺につければ?叩き上げてやるよ」
取り敢えずと、病院に入ってすぐ、さっと前に出た並木が受付で「オリバーせんせーを」と言えば顔パスだ。特に受付の券もなく「…どうぞ」と通されたのは、明らかに大学側。
「…ラボの方?」と平良の顔に疑問符が浮かんでいるようだったが、金髪天パ長身のカナダ人を見て「あっ、」と、どうやら「うわっ」を飲み込んだ反応を見せた。
「……コーローショーはコレだったのかアラタ」
「へーい」
腫れた手を見てササッとポケットから注射器を出したオリバーは、新の袖をグッと上げ注射器を刺した。
不意打ちだ。
しかし「…言えよクソ医者ぁ!」と目を背ける新を全く見ず、オリバーはドパミンを打ちながら「座れセーイチ」と指示を出す。
打ち終われば仕方なしと新は診察台に座る。
並木がオリバーのデスクの中から勝手に絆創膏を見つけ貼っているのも構わず、オリバーは平良に一言「オマエらはどーかしている!」と急にエンジンを蒸した。
「しかも、オマエだったとか日本の医療終わった」
「………オリバー医師、いつも慧がお世話に」
「オマエの元ベッドバディの寛解に時間が掛かったのはオマエらがマリファナを許可しないからだ。アンフェタミンとメタンフェタミン許可しているのに狂ってるのか」
「…ベッ……っ!」
「ふはっ、」
並木が思わず笑ってしまったようだが「笑ってんじゃねぇ!」とムキになる平良に次は新も「ふっ、」とつられてしまった。
「アンフェタミンとメタンフェタミンについては誤解ですからね、それ。医師免許に関わ」
「誤解じゃないだろ!オマエら島国の猿のクセに調子乗ってやっすい医薬品ばかり作りやがって、登るなら木にしろ木に!自然の葉っぱの何が悪い!自然を大切にしろ!
いいか!?鎮痛剤や麻酔薬にどれだけ」
「それを言ったらマリファナもちゃんとあるだろうって!」
…暫く平良には虐められてもらおうと、新は並木の指示通り絆創膏を押さえながら「じゃ、帰るわ」とトンズラすることにした。
「アラタァ!また金払わない気か!」
「大丈夫その人持ってるから。いままでのツケ分で連れてきてやっ」
「はぁ!?待てよちょっと何言って」
「セーイチなんて使えないよアラタ!」
「商談には丁度いいぞ?
あ、あと2人ほどかな…セーイチが患者を紹介してくれるから金になるぞ。セーイチくん稼いでるからモーマンタイだよ」
「それ聞いてないよ!カルテも」
「セーイチ、さっきカルテ送る言ってたダイジョブ。患者の話はそいつがよく知ってるよろしくセーイチ」
「ふざけてんのか江崎!」
「ふざけてんのはオマエらお上だ!」
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