恋の魔獣がやってくる R18



R18となります
ご注意ください








「俺がいつまでも照れてばかりだと思うなよ」

あれ?やりすぎちゃったかな?
私だって恥ずかしくないわけじゃないけど、人に見られない部屋の中でくらいイチャイチャしたかったんだもん。抱きついたり膝に乗ったりして甘えてみた。若くんは恥ずかしがって嫌がるだろうけど本気で怒ったりはしないから大丈夫だと思って。

「自分からちょっかい出しておいて駄目とか言うなよ?」

若くんに抱きしめられた。確かに今は顔紅くなかった。すごく真剣な顔でちょっと怖くなった。乱暴に何かされるかと思ったけど、仕種は優しかった。意地悪言いながら態度は優しいいつもと変わらない。
きっと今私の顔は紅いだろう。細く見えるけど筋肉で引き締まった身体に抱きしめられるだけでドキドキが止まらないのに、さらに大好きな香りで嗅覚を刺激されて気絶しそうだ。引かれると嫌だから言わないけど、若くんの匂い。匂いに包まれていると意識がとろけてしまってだんだん恥ずかしいだとかそんなのはどうでもよくなってくる。
若くんの肩越しにうさぎのぬいぐるみが見える。私がプレゼントした。俺はガキじゃないとか文句言いつつちゃんと飾ってくれている。でもどうしてよりによってベッドの枕元なんだろう。机の上でいいのに。なんか勘違いされてそうで恥ずかしい。首の白いリボン、私があげた時はつけてなかったよね?ちなみにそのうさぎは私じゃなくて若くんをイメージしたんだからね?ひよこがよかったけど気に入ったのが見つからなくて…

「余所見するな」

声にはっとする。こういう時に限ってどうして無関係のこと考えちゃうんだろう。今の状態が嫌なわけじゃない、むしろ嬉しいのに。
背中に腕を回すと、唇が近づいてそっと重なる。

「う…うさぎが見てる…」

「なんだよ? …ああ、つぐみツーか」

「違うよ、若ツーだよ」

反射的に言い返したけどツーってなに…
ていうかやっぱり勘違いしてたんだ。

「は?なんで俺なんだよ」

「そのつもりであげたんだもん」

「もう名前つけたから無理だ。…あいつがうるさいから仕方ねぇ、つぐみツーちょっと目ぇ瞑ってろ」

私から離れた若くんは優しく言ってうさぎを伏せる。

「なにその優しい声」

「自分にヤキモチか。おもしろいな」

「だから私じゃな…」

声は吸い取られるように飲み込まれていった。


いつもと同じに見えて実は違ったのかもしれない。ベッドに押し倒されてから気づいた。
若くんは私に気を遣って遠慮がちで、その優しさはとっても嬉しいけど、たまには理性飛ばすくらいになってくれたらいいなと思ってた。なんなら多少強引でも大丈夫。
追い回された舌を吸われて、同じことをやり返すと満足してくれたような雰囲気をなんとなく感じる。

「ん…」

ちゅ、とあとをひくように唇が離れる。唾液の糸が繋がっていて、まだ離れたくないって言ってるみたいだった。
セーラーを裾からたくし上げた手がブラのホックを外して指先は肌の上を滑る。慣れたつもりでも恥ずかしいものは恥ずかしい。唇が跡を辿ると身体が震えた。触れる舌先は熱い。もう片方のふくらみは手の中で弄ばれている。汗ばんでいるのは私の肌なのか若くんの手なのかわからない。
強引な方がいいと自分で言っておいてなんだけど、そんな音立てて吸われるとぞわぞわして逃げたくなってくる。

「ほら。離れるなよ」

逃げ腰の身体を片手で引き寄せられた。こういう時だけ力の差を見せつけてくるのはずるいと思う。
スカートをまくる手は太腿を撫でショーツの中に忍び込む。指でぬるりとなぞられて濡れていることをわからされている気がした。

「…嫌がられてなくて安心した」

「嫌がるわけない…っ、」

唇ごと食むようなキスに身体の芯が疼く。こそばゆいようなそれを我慢できなくて、早く解放してほしかった。
同時に外側の突起をこねられる。

「ぁ…」

過敏になっていたそこを刺激する指の動きに導かれてあっという間にイッてしまった。でもまだ燻ってる感じがしてもやもやする。

「ん、ぁ…っ、」

気づいているかのように、長い指が私の内部に入って気持ちの良いところを探ってくる。正直、自分じゃよくわからない。なのに若くんだと身体が反応する。
ぞくっと感じた瞬間に腰が跳ねた。もちろん若くんにも伝わっていて、吐息で笑う気配がする。
指はその部分を引っ掻くように蠢き、指が増やされて狙った箇所にこすりつけるように抜き差しをされる。

「や…、あぁっ――」

残っていた快感が引き出されていくのを感じる。びくびくと震えながらまた達した。

若くんは身体を起こし、ネクタイの結び目に指をひっかけてもどかしげに解いた。そのままワイシャツも脱ぎ捨てた。漂う匂いで私がまたくらくらしてるなんて知るはずもない。余韻も手伝って再びもやもやしつつ、気だるい身体を起こす。
お互い中途半端に脱げかけの服を脱いだ。ショーツだけちょっと躊躇ってたら脱がせてくれた。
彼がゴムを付けるのを横目で見ながら、初めての時からずっと気になっていることを聞いてみた。

「……なんか、おっきくない?」

「なにが?」

「なにってその、若くんのそれ」

「…!そういうことをわざわざ言うな!この状況じゃでかくなって当たり前だろ」

なぜか隠している。私まで恥ずかしくなって視線を逸らした。

「…じゃなくて、もともとの大きさがって意味」

「普通だろ」

「そうかなぁ…弟のしか見たことないけど、けっこうおっきいような…」

「弟のっていつ見たんだ」

「弟が低学年の時お風呂で」

「それと比べるのがおかしい」

「そうかなぁ?」

「しつこい。他の奴の見たことないのに何基準なんだよ。本当は見たことあるとかじゃないだろうな?」

「ないよ」

話がおかしな方向に飛んだ。ほんとにないんだから慌てる必要ないんだけどなんとなく気まずい。

「……いや別に…あるならあるで……正直に言っていいんだぞ。俺は…些細なことにこだわる…器の小さい男じゃないんだからな……」

「ないってば。勝手に決めて動揺しないでよ」

「動揺なんてしてない。俺はお前が好きだ…その気持ちは変わらないと言いたかったんだ」

いやいや明らかにしてたじゃん。でもめずらしく好きって言ってくれたから、してないことにしてあげる。

「うん」

抱きついてキスしようとしたら先を越された。負けず嫌いだなぁもう。
絡まる舌がさっきより深くて激しくて、呼吸が苦しくなってくる。そっちに気を取られてたら腰を抱えられ、押し倒された。

「やっ、」

広げた脚の、濡れた入り口を先端でなぞられると声が漏れてしまう。突起にも塗りたくるように擦られるとイッてしまいそうで身を捩った。
その感触を覚えたのは、押し付けられたものがなかなか入らなかった最初の頃がきっかけだった気がする。

「こういうの好きだよな」

「な…なんで…」

「お前の反応くらい確認済みだ。俺をなんだと思ってる」

私を見下ろす顔。意地悪な笑みを浮かべる、ドヤ顔みたいな表情すら愛しくてたまらなくなる。
若くんは自覚ないみたいだけど、一旦スイッチが入ると堂々とえろくなる。
二人で恥ずかしがってたら何もできないから別にいいんだけど…手に負えない。

「焦らされるのが好きなのか?」

「ち、違…っ、や…だめ…」

言葉の通り触れるか触れないかくらいの弱い弱い刺激が掠める。
たったそれだけに誘発されてイッてしまったけど、次の瞬間には物足りなさが襲ってくる。若くんを求めて手を伸ばした。
その手で私の膝を掴まされさらに開くように促される。

「そんないやらしい顔するな。もっといじめてやるつもりだったのに俺が余裕なくなった」

大きなものがぐっと入り口を押し広げて入ってくる。やっぱり大きすぎると思う。いまだに慣れないこの衝撃。呼吸するだけで存在を感じてしまい呼応して中が収縮している。

「ぁ…、若くんでいっぱいになっちゃう…」

「隙間なく繋がれていいだろ」

深く侵入した先端が中を擦るたびに甘い痺れが走る。しっかりとしがみついていないと落ちてしまいそうな錯覚に陥った。濡れた音が激しくなり、耳元に聴こえる荒い息遣いが男を露骨に感じさせて身体の奥がきゅっと熱くなる。

「あ…あっ、ぁん…っ」

我慢できずに零れた声に唇が押し付けられ、ぴちゃっと舌が潜り込んでくる。息ごと絡め取られそうだった。
湧いてくる恥ずかしさも、流れる汗も、すべてが昂ぶりを手伝っている気がした。

「…もっと…、いいか?」

「え…?」

なんのことかよくわからないままでいると、上半身を抱き上げられて膝にまたがる格好になった。
自分の重みで繋がりが深くなり、奥を押しつぶされるような感覚に襲われた。自分で自分の身体を支えられるようになんとか体勢を整えようとする。

「や――、っんん……」

「つらくないか?」

「うん…気持ちいい…」

つらいといえば気持ちよくてつらい。位置が変わると中で擦れる感触も変わる気がして。

「……、」

頭を引き寄せられて唇を奪われる。
しがみつくと、ゆるゆると身体が動き出す。確かな気持ち良さを捕まえたくて若くんを追いかけるように動いてしまう。
熱く硬い凶器に抉られるような強い快感を怖く思う反面で、面倒なことは何も考えず浸ってしまいたい気持ちになる。

「そうやって気持ちいいところ探してるんだろ…、ほんといやらしい奴だな」

「ぅ…」

「手伝ってやる」

てのひらで胸を揉まれ囁かれる。
もう無理だ…
意地悪な言葉に精神も愛撫される。体温で匂いが濃くなる。
すべてに煽られて、身体の内側から彼をもっと欲しがる。

「やぁ、あっあんっや、ぁ…っ――」

「…ッ、」

肌のぶつかる音がやけに大きく聴こえる。
私の中にいる彼が震えると同時にそこが温かくなったような気がした。
感じた瞬間にぞくぞくと背筋が震えて達した。



体力の消耗が激しいと猛烈に眠くなる。心地良い脱力感、大好きな人の腕に抱かれてこのまま眠りに落ちたい気分なのに邪魔するのは誰…

「んー…やめてよ尽…」

弟がまた私の顔にいたずらしてる…
――え?!尽?!
弟がいるわけないと気づいて覚醒した。
すると若くんの指に豚鼻にされていた。

「なんだ、起きたのか。もっとおもしろい顔にしてやろうと思ったんだが」

「もう……若くん……」

(自分で起こしたくせに)

「喋りながら寝るな」

今度は鼻をつままれた。

「ねむいよ……」

若くんの攻撃を避けるために寝返りを打って背中を向けた。
いつの間にか、枕元にうさぎが可愛らしく座っている。

(もう……この子は若くんだって言ってるのに……)

「寝る気満々だな」

そういう若くんはヤル気満々らしい。硬いものが当たっている。
嫌じゃないけど今は眠くて死にそう。ていうか寝させて。そんな思いも空しく背中から覆いかぶさってきたぬくもりに阻止される。
まるで甘えるみたいに唇が首筋を食む。
何気に、私より若くんの方が甘えるの上手くない?
わきの下から滑り込んできた手が胸を探る。抱き合った後の身体はぶり返すのが早い。

「つぐみ」

――ああ、結局私が負けるんだ。



20230712


戻る
 次へ
トップページに戻る
ALICE+