いちななみ

「わたしはーーーー!!今日ーーー!!みんなにぃい
いいたいことがあるーーーーーー!!!!!!!!」

「なぁーーーにぃーーー??(裏声)」
「いや自分でレス返してるじゃん〜〜〜!」

うっさい灰原ぁ!こーゆうのはね!ふんいきが大事なの、黙ってきいてなさい!
けたけた笑ってる同期をよそに、わたしは大きく息を吸い込んだ。


空は晴れ。
風が気持ちいい。
こんな日は愛しの彼に愛を叫ぶまさに叫び日和だ!


「同じクラスの―――!!ななみーーーーけんとくーーーん!!!」


「おぉおお!?」
「いやだからセルフレス〜〜〜!」

うっさい灰原ぁ!!じゃあお前がレスしてよ!!
と、思いつつも菩薩天女の如く優しいわたしはヒーヒー言ってる同期をよそに、
この無駄に広いくせに生徒教師含め過疎りすぎてる学び舎の一番高い所で愛しの彼に愛を叫ぶのだ。



「生まれる前からーーーーーーー!!!!だぁあああいすきでぇええええええす!!!!!」

「生まれる前から〜〜〜wwwwもっ、むり、ひぃいっww」

わたしの、ありったけの、七海を愛してるぞー!って気持ちを声に乗せて今日も叫ぶのだ。


「一緒に子供うもぉおおおおおおおおお!!!!(バァアン!!)「わっ!?…びっくりしたぁ、七海じゃ、「…酒々井………!」

七海じゃん、って灰原が言い終わらずにグイっと首の当たりを引っ張られて突然の引力にびっくりしたけど
大好きなにおいがふんわり風に乗って鼻に届いて顔面の筋肉死んじゃった?ってくらいわたしはきっとだらしない顔になってて、

「ななみぃ〜〜〜今日も愛してるよ?」

ハァアアァ………ってそれ5トンくらいある?って溜息を七海が吐き出したから
わたしは迷わずその5トンをさりげない深呼吸で吸い込んだ。
よし、七海から排出された二酸化炭素ゲット〜〜〜いぇ〜〜い!!ハッ!まって!もうこれ実質七海とキッスしたのでは!!???やばいどうしよ体温上がって来たァー!!

「え?なんで急に息荒いの禰寝ちゃん、きもちわる!」
「うるせぇよ灰原ぁ!愛の営みを育んでんだよ!七海と!!」
「辞めて下さい。」

全く貴女って人は。なんて
目頭抑える七海が今日もカッコイイ。好き。とぅんく。

「貴女ね…毎朝毎朝と、何ですか?鶏ですか?騒音被害甚だしいですよ?恥じらいという感情を持ち合わせて下さい。」
「七海、あのね。わたしの愛があふれちゃうの。ほら、排出しとかないと…」

七海の事、愛しさあまって押し倒しちゃったらまずいじゃん?
わたしたちまだ学生だし…ほら、その…赤ちゃんとか…できたらまずいし…

なんて、もじもじしながら七海を見上げたら
「…は?」

汚物を見るような目で見降ろされた。
無理
その顔

「好き…ちゅーしよななmぶぁっ!!?」
「っと、!ナイスキャッチ〜〜僕〜〜!」
「ちょ、灰原ぁ!どこ触ってんのよ!わたしの身体は七海だけのものよ!!」
「その七海から投げられたんだけど――」
「行きますよ灰原。授業に遅れます。」


そう言って七海はさっき乱暴に開けた扉に手をかけてわたし達を振り返った。

風に乗って七海の香りがする。

すき

すき、ななみ。

「…そう言えば。貴女、見えてますよ。」
「え?」


空は晴れ

風が心地いい朝の日。


なんだか言いごもる七海に可愛い上目遣いで首をかしげて見た。うん、かんぺき。

「…禰寝ちゃんなんで七海にガンつけてるの?」
「るっせ〜〜よ灰原ぁ!!ぶりっ子してんだよ!!」


ぶりっこだったの〜〜〜?ってひーこら笑ってる灰原をシカトしてわたしは七海に全力かわいい上目づかいで
なにがみえたのぉ?ってきゅるるんってした。

ゴミを見るような目で見降ろされた。

すき。
その顔もすき。
ご褒美でしかない。


くるんってわたしに背を向ける七海。

ぼそって聞こえた、「見えてますよ、毎度毎度。…下着、が…。」って。




空は晴れ
風が心地いい、朝の日。

わたしの日課は



みせいねんのしゅちょう


「え?見せてんだけど。」

雷が落ちたみたい、ってこの事を言うんだろうなーって。
ぴしゃんって硬直したと思ったら鬼みたいな顔で七海がツカツカ迫って来てちょっとどきどきしちゃったじゃん!!

「……汚らわしい…」
「うぶぶぶぶぶ!」


めっちゃ顔面掴まれてほっぺた潰されたから、
ついでに七海の手舐めといた。ぺろんって。

「……汚らわしい…」

バッて顔面解放されて、ポッケから綺麗に畳まれたハンカチ取り出した七海が手をごしごし拭いてからポイって灰原にハンカチなげてて、
え、それほしいんだけど?よこせ灰原。

「ソレ、処分しておいてください。くれぐれも、跡形もなく、処分しておいてください。」

そう言って七海は階段おりてっちゃった。



「おい灰原ぁ。それくれ」「んー、だめ。」


じゃあねー先行くねー
って灰原はハンカチを見せびらかすみたいにしてわたしを通り過ぎていった。あのやろー!!
まてこらよこせーーー!!

タンタンタン

可憐なステップで階段おりて二人を追いかけて、ふ、と。



「あ。今日から”主食は七海の溜息です”ってプロフィールにかこーっと」




青春してるわたしたち。まじ無敵。ってね!

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