……ん。久しぶりにメールなんて届いたな。ってそりゃそうか、普段は受け取れねえ場所にいるんだもんな。

 いやあ、今日は本当に晴れてよかったよ。ちょっと前まで雨予報だって聞いてたからさ、心配してたんだ。だって結婚式って人生の大事な門出の日だろ? そんな日に雨なんて降ったら残念だよな。しかもその主役が大事な親友と、大事な幼馴染となれば尚更だ。俺の願いが通じたのかね? なんちゃって。

 おっ、式が始まる。実は俺誰かの結婚式に参列するのって初めてだからどうも落ち着かないんだよね。そわそわしちゃう。あ、松田の母ちゃん発見。すげー緊張してる。本人より緊張してんじゃないの? あれ。

 なるほど、最初からふたりで出てくるのね。はは、あの顔は陣平ちゃんちょっと緊張してるなぁ。んでかざねはっと、おおーさすが、肝が据わってるね。……それにしても本当、ウエディングドレス姿綺麗だな。ちゃんと俺の口から似合ってるって言ってやりたくてたまらないよ。写真もいっぱい撮りたかったな。……今更だけど本当に、惜しいことした。マジで今更だけどな。

 指輪の交換、ちょっと手震えてない? みんなは気づいてないかもしれないけど、俺の目は誤魔化せないからな、松田ぁ。でもま、ずっと好きだったかざねとついに結ばれたんだし、緊張するのも無理ないか。いやほんと、ここまで長かったわー 俺が知ったのが大学ん時だからそれから何年経つ? ほんと、こうなってよかったよな。途中色々あったけど、奇跡みたいだ。正直もうちょっと早くくっつけよって思ってない訳でもないけど。ま、結果オーライってことで。

 そんで次は誓いのキスね……。こればっかりはちょっと俺、冷やかしよりも恥ずかしさが勝ちそうな気がする。ふたりをよく知ってるからこそというかなんというか……でもかざね、こう言うの恥ずかしがりそうなのによくオッケーしたな。前にも式上げたくないって話した気がしたし。もしかしなくても陣平ちゃんにごり押しされたのかな。うん。想像できる。松田ってそういうとこあるからなあ。
 ……うはは、なるほど、おでこにキスねぇ。これで手を打ったのかなって考えたらなんか可笑しくなってきちゃった。

 それにしても人多いなー みんなふたりの幸せを願ってくれてんのかと思うと、俺まで嬉しくなってくるよ。できればこんな風じゃなくて、ちゃんと出席したかったのは山々だけど……ま、こればっかりはね。うわーめっちゃ写真撮りたい。ぶっちゃけもう何枚か撮影はしてるんだけどね。一緒に映りたかったな。もし今一緒に映ったら……うん、はっきり言うのはやめとこう。

 あ! 今陣平ちゃん、隠れてキスしただろ! 誰にも見られてないと思って! やるじゃん、俺はばっちり見てたけど! うわー、かざね顔超真っ赤。こっちまで照れちゃうよそんなの。……っといけない。照れてる場合じゃなかった。そろそろ俺も帰らなきゃだし、最後にこれは言っておかないとね。

「おめでとう、かざね」

 ……あれ。こっち振り返った。しかも2回も。もしかして聞こえてる? マジで!? おーい! かざね! ウエディングドレス、ちょー綺麗だよ! 陣平ちゃんも! 今日はいつにも増して男前じゃん! ……駄目だ。これは聞こえてない。なんだ、さっきのだけサービスだったのかな。まいっか、一番大事なこと伝えられたからそれで。

「ありがとう、萩兄」

 ……こちらこそだよ、かざね。松田とめいっぱい幸せになって。松田も、かざねのこと頼んだよ。もう絶対手離したりすんなよな?
 そんで来るんならなるべく遅くこっちに来て。ふたりともな。そうじゃないと俺追い返すから。全力で。

 何十年も経って、ふたりとも爺さん婆さんになったら……その時会おう。いろんな話聞かせてくれよ? 俺、楽しみにしてるから。