降谷さん育成キット編 04


Side:furuya

「……朝か……」

窓から差し込む光で目が覚めた。

「……」

 ベッドから身を起こして周囲を見渡すが、数あるセーフハウスのうちの一つであるここはどこもかわらず生活感がない。あの家には、いろんなものがあったのに。
降谷零は最近、夢を見ることが多くなった。自分が小動物らしきものになってある女性に飼われる夢だ。
夢なのに体温を感じられたり食べたものの味を鮮明に覚えているくせに、どんなことをしたかはおおよそにしか覚えていないのだから、夢のクセにリアルでありながら非現実的だった。
 最初の頃はただの夢だと無視し、忘れていた。実際に夢なんてそのうち忘れることが普通なのだから時間がたてば何を見ていたのか忘れていったが、こう何度も見ていれば覚えてしまうだろう。
 不可思議だな、とは思ったことがある。連続して夢を見ることは可能だが精々二回ほどが限度だろう。だが不気味に思うことは不思議となく、むしろ心地よかった。今の生活では得られないような、暖かい生活に浸っていられるのがひどく心地よかった。
 だが、最近あの夢を見ていない。あの夢を、見れない。なるべく時間を作って眠るようにしても、関係の無い夢であったり熟睡して夢を見ないことがほとんどだ。……これが、普通なのだが。

「また、か」

 また、あの夢を見られなかった。
 愛おしそうに俺を見つめて、慈しむように撫でてくれるあの人に、会いたい。
 あの出来事を、ただの夢にしたくない。

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