遺された最強

水面が静まり返る。

精神世界。

ナルトの内側。

そこに立つ三つの存在。

九喇嘛
うちはオビト
そして残滓として現れた

五条悟。

沈黙を破ったのはオビトだった。

「……は?」

五条は笑った。

『その反応すると思った』

オビトは額を押さえる。

「いや待て」

「ちょっと整理させろ」

九喇嘛が低く唸る。

「人間」

「説明しろ」

五条は肩をすくめる。

『いいよ』

『簡単な話だ』

水面に波紋が広がる。

『俺は死んだ』

さらっと言った。

オビトは眉をひそめる。

「知ってる」

九喇嘛が言う。

「ならなぜここにいる」

五条は笑った。

『保険』

『最強はね』

『死ぬ前に次を用意する』

オビトが腕を組む。

「それが俺?」

五条は頷いた。

『そう』

『君は特別だ』

オビトの目が細くなる。

「どこがだ」

五条は指を折る。

『まず呪力量』

『宿儺レベル』

オビトは肩をすくめる。

『次』

『術式』

『赤血操術』

『十種影法術』

『御厨子』

九喇嘛が唸る。

「三つだと?」

オビトは軽く答える。

「色々あってな」

五条は続けた。

『さらに』

『万華鏡写輪眼』

『陰陽遁』

『木遁』

九喇嘛が呆れた声を出す。

「……化け物か」

五条は笑う。

『だろ?』

そして言った。

『だから』

『六眼と無下限を渡す』

オビトは即答した。

「いらん」

九喇嘛が吹き出した。

五条が固まる。

『え』

オビトは普通に言う。

「術式多すぎる」

「管理めんどい」

五条は頭を抱えた。

『最強セットだよ!?』

『普通の呪術師なら人生かけても手に入らないやつ!!』

オビトは淡々と返す。

「俺、忍だし」

九喇嘛が笑う。

「気に入った」

五条はしばらく黙った。

そして言った。

『でも』

『もう始まってる』

オビトの目が動く。

「……何?」

五条は指を指す。

「目」

オビトが瞬きをする。

その瞬間。

視界が変わった。

世界が細かく見える。

チャクラ。

呪力。

空間。

全部が見える。

九喇嘛の体を構成するエネルギーの流れまで。

オビトは小さく呟く。

「……なんだこれ」

五条は笑った。

『それ』

『六眼』

九喇嘛の瞳が見開く。

「貴様」

「世界を見ているのか」

オビトは黙った。

情報量が異常だった。

だが

写輪眼がそれを処理する。

瞳の奥で

何かが回る。

黒い瞳の奥。

一瞬だけ

青い光が走った。

五条がそれを見て笑う。

『やっぱりね』

『融合し始めてる』

オビトが顔をしかめる。

「おい」

「勝手に何してくれてんだ」

五条は楽しそうだった。

『だって面白そうじゃん』

九喇嘛が言う。

「もし完成したら」

「どうなる」

五条は答えた。

『最強』

『本物の意味で』

オビトは深くため息をついた。

「……めんどくせぇ」

その時だった。

遠くから声がする。

「……んん……」

ナルトが目を覚ましかけている。

精神世界が揺れる。

五条が言う。

『時間だね』

オビトが聞く。

「まだ聞きたいことがある」

五条は笑った。

『また会えるよ』

『君が最強になった時』

残滓が消えていく。

最後に五条は言った。

『頼んだよ』

『次の最強』

光が消える。

精神世界が静かになる。

九喇嘛がオビトを見る。

「……妙な男だ」

オビトは空を見た。

「同感だ」

そして呟いた。

「五条悟」

九喇嘛が言う。

「その人間」

「強かったのか」

オビトは少し考えて答えた。

「……多分」

「俺より強かった」

九喇嘛が笑った。

「面白い」

その瞬間。

世界が崩れる。

ナルトが目を覚ました。

現実世界。

ナルトは目をこする。

「……なんか変な夢見たってばよ」

隣を見る。

オビトがいた。

いつも通り。

黒い瞳。

だが

ほんの一瞬だけ。

その瞳の奥に

青い光が宿った。



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