影が動く

森。

木ノ葉の任務。

歩いている三人。

奈良シカマル
秋道チョウジ
山中いの

いつもの第十班。

チョウジが言う。

「任務終わったら焼肉行こうよ」

いのが頷く。

「賛成」

シカマルはため息。

「めんどくせぇ」

だがその時。

シカマルの足が止まった。

「……?」

何かいる。

木の影。

岩の陰。

空気が重い。

シカマルが目を細める。

「……なんだ」

見える。

何か。

歪んだ影。

人の形をしているようで

していない。

黒い塊。

ぐちゃぐちゃ。

それが三体。

ゆっくりこちらを見ている。

シカマルが呟く。

「……は?」

チョウジが言う。

「どうしたの?」

いのも言う。

「敵?」

シカマルが答える。

「……お前ら」

「見えてないのか」

二人が首をかしげる。

「何が?」

その瞬間。

黒い影が動いた。

ぐにゃり。

距離を詰める。

シカマルが叫ぶ。

「来る!」

影が襲いかかる。

シカマルは反射的に印を結ぶ。

「影真似の術!」

影が伸びる。

地面を走る。

影と影が繋がる。

捕まえた。

はずだった。

だが。

影が

すり抜けた。

シカマルの目が見開く。

「は?」

黒い塊が腕を振るう。

シカマルが後ろに飛ぶ。

「うおっ!?」

チョウジが叫ぶ。

「何!?」

いのが言う。

「シカマル何してるの!?」

二人には見えない。

シカマルは一人で戦っているようにしか見えない。

シカマルが叫ぶ。

「なんだこいつら!?」

黒い塊が笑う。

ぐちゃぐちゃの口。

人の顔のようなもの。

それが言った。

「に…んげ…ん」

シカマルの背筋が凍る。

「うわ」

「気持ち悪っ!」

影がまた襲う。

シカマルは地面を蹴る。

避ける。

転がる。

木を蹴る。

完全に戦闘。

だが。

チョウジは言う。

「……」

「シカマル」

いのが言う。

「……踊ってる?」

シカマルが叫ぶ。

「踊ってねえ!!」

黒い塊が迫る。

シカマルは息を吐く。

考える。

分析。

これは何だ。

生き物?

違う。

影?

違う。

エネルギー体。

触れない。

だが

攻撃してくる。

シカマルが呟く。

「めんどくせぇ…」

そして気づいた。

自分の影。

影の中。

何かが

反応している。

シカマルの目が細くなる。

「……影か」

影真似。

影縫い。

奈良一族の術。

影を操る術。

もしかして。

シカマルが印を結ぶ。

「影縫いの術!」

影が跳ねる。

槍のように伸びる。

黒い塊を刺す。

その瞬間。

「ギャアアアア!」

悲鳴。

手応え。

シカマルの目が見開く。

「当たった」

黒い塊が暴れる。

「ギギギギ!」

そして。

消えた。

残り二体。

だがその時。

森の奥から声。

「へぇ」

振り向く。

木の上。

立っていたのは

うちはオビト。

オビトが言う。

「見えるのか」

シカマルが睨む。

「……あんた」

オビトは木から降りた。

黒い瞳。

その奥。

一瞬。

蒼い光。

残りの呪霊が震える。

オビトが手を上げる。

「下がれ」

シカマルが言う。

「まだいる」

オビトは頷く。

「分かってる」

呪霊が襲いかかる。

だが。

止まった。

見えない壁。

空間が歪む。

呪霊が押し潰される。

「グギャアアア!」

そして。

消えた。

静寂。

チョウジが言う。

「……」

「今何が起きたの?」

いのも言う。

「さっぱり」

シカマルはオビトを見る。

「……あんた」

「見えてるのか」

オビトが答える。

「見えてる」

シカマルが聞く。

「なんだあれ」

オビトは言った。

「呪霊」

シカマルの眉が動く。

「……呪いか」

オビトが頷く。

「人の負の感情」

「それが形になったもの」

シカマルは空を見る。

そして呟く。

「……」

「めんどくせぇ世界になってきたな」

オビトが小さく笑った。

「同感だ」

その時。

遠くで声。

「オビトー!」

森の向こうから走ってくる

うずまきナルト。

ナルトが言う。

「任務終わったってばよ!」

そしてシカマルを見る。

「何してんだ?」

シカマルが言う。

「……呪いと戦ってた」

ナルトが固まる。

「は?」

オビトが言う。

「あとで説明する」

そして空を見る。

木ノ葉の上空。

薄く漂う影。

呪霊。

増えている。

静かに。

確実に。

世界は

変わり始めていた。



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