山椒魚の半蔵、敗北

激しい雨が橋を打つ。☔

雨隠れの里

その中央。

倒れた巨大な影。

砕かれた頭部。

沈みゆく召喚獣。

山椒魚

そして。

その前に立つ少年。

うちはオビト

拳にはまだ残っている。

黒い火花。

黒閃

橋の向こう。

鎖鎌を握る男。

雨の支配者。

山椒魚の半蔵

半蔵は沈黙していた。

長い間。

そしてゆっくり言う。

「……あり得んな」

忍たちが震える。

「半蔵様が押されている……」

長門が呟く。

長門

「オビト……」

弥彦も息を呑む。

弥彦

「本当に人間か?」

半蔵は鎌を回す。

シャァン……

鎖が鳴る。

「だが」

「伝説はそう簡単には終わらん」

印を結ぶ。

地面が震える。

「水遁」

川の水が持ち上がる。

巨大な水の渦。

橋を飲み込む。

「水龍弾の術!!」

水の龍が咆哮する。

オビトへ直撃。

長門が叫ぶ。

「オビト!」

しかし。

水の中。

影が走った。

次の瞬間。

水龍が真っ二つに裂ける。

バチィィィィッ!!

黒い閃光。

三度目。

黒閃

オビトが水の中から飛び出す。

拳。

半蔵へ。

ドン!!

半蔵が鎖鎌で受ける。

だが衝撃が爆発する。

地面が割れる。

橋が沈む。

半蔵が初めて後退した。

忍たちが凍りつく。

「半蔵様が……下がった」

半蔵は息を吐く。

「……見事だ」

目が細くなる。

「小僧」

「名をもう一度聞こう」

オビトは答える。

「うちはオビト」

半蔵はうなずく。

「覚えておこう」

そして言う。

「だが」

鎌を構える。

「お前はここで終わる」

半蔵が消えた。

瞬身。

背後。

鎌が振り下ろされる。

オビトは振り向く。

写輪眼が回る。

写輪眼

拳。

半蔵の腹へ。

半蔵の鎌。

オビトの拳。

同時に当たる。

その瞬間。

世界が静止した。

雨が止まったように見える。

黒い火花。

バチィィィィィィッ!!

四度目。

最大の衝撃。

黒閃

ドォォォン!!

半蔵の体が吹き飛ぶ。

橋を越え。

地面へ叩きつけられる。

土煙。

静寂。

雨の音だけが残る。

忍たちが動けない。

やがて。

煙が晴れる。

半蔵が倒れていた。

鎌が地面に転がる。

伝説の忍。

忍界の支配者。

山椒魚の半蔵

完全に敗北した。

長門が呟く。

「……勝った」

小南が震える。

小南

「半蔵に……」

弥彦が笑う。

「すげぇな」

オビトはゆっくり歩く。

倒れた半蔵の前へ。

半蔵はかすかに笑った。

「見事だ……」

血を吐く。

「うちはオビト」

「お前は」

「忍界を変える男だ」

目が閉じる。

雨が降る。

雨の国を支配していた男は。

この日。

敗れた。

そして。

橋の上。

暁の三人が立つ。

弥彦

長門

小南

弥彦が言う。

「終わったな」

オビトは空を見る。

雨はまだ止まない。

だが。

雨の国の歴史は。

この日。

確かに変わった。


〆栞
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