九尾と六写眼

夜。

木ノ葉。

屋根の上でオビトが寝転んでいる。

空を見上げながら呟く。

「……でけぇチャクラだな」

感じ取っているのは

ナルトの中。

あの巨大な存在。

オビトはゆっくり目を閉じる。

次の瞬間。

瞳が開く。

青。

六写眼。

演算が始まる。

チャクラの流れ。

封印式。

精神層。

すべてを読み取る。

オビト

「なるほどな」

空間が歪む。

意識が沈む。

――精神世界。

暗い空間。

水面。

巨大な鉄格子。

その奥にいる存在。

九つの尾。

赤い眼。

九喇嘛。

九喇嘛

「……人間」

「なぜここにいる」

水面の上に立つ男。

オビト。

瞳は青。

六写眼。

九喇嘛の目が細くなる。

「その眼…」

「妙だな」

オビト

「お前が九尾か」

九喇嘛

「そうだ」

「そして貴様は誰だ」

オビト

「うちはオビト」

九喇嘛が静かに笑う。

「うちはか」

「面白い」

九つの尾が揺れる。

「だが」

「その眼は」

「写輪眼ではないな」

オビト

「まあな」

九喇嘛

「……六道の気配に似ている」

オビトは肩をすくめる。

「知らねぇよ」

その時。

水面が揺れる。

奥に小さな影。

眠っている子供。

うずまきナルト。

九喇嘛

「そこの小僧が」

「我の器だ」

オビト

「知ってる」

鉄格子の前に歩く。

九喇嘛の巨大な目がオビトを見る。

「人間」

「何しに来た」

オビト

少し考えてから言う。

「顔見に来ただけ」

九喇嘛

「……は?」

オビト

「あと」

九尾を指差す。

「ナルト」

「いじめんなよ」

沈黙。

九喇嘛

「……我が?」

オビト

「お前だよ」

「あんまビビらせんな」

九喇嘛の尾が揺れる。

そして

小さく笑う。

「クク…」

「面白い人間だ」

九喇嘛

「人間は皆」

「我を恐れる」

「貴様は違う」

オビト

「そりゃそうだ」

「別にお前敵じゃねーし」

九喇嘛の瞳が細くなる。

「……ほう」

オビト

「ナルトはいい奴になる」

「だから」

鉄格子を軽く叩く。

「仲良くしてやれ」

九喇嘛

「命令か」

オビト

「お願い」

九喇嘛はしばらく黙る。

そして言う。

「……貴様」

「本当に人間か?」

オビト

「人間だよ」

「多分」

その時。

眠っていたナルトが少し動く。

ナルト

「……ん」

オビトはそっと頭を撫でる。

「起きんな」

「まだ早い」

九喇嘛がそれを見て言う。

「貴様」

「この小僧を守るつもりか」

オビト

「当たり前だろ」

振り向く。

六写眼が光る。

「この里のガキだからな」

九喇嘛は静かに目を閉じる。

「……妙な人間だ」

オビト

「よく言われる」

オビトの姿が少しずつ消える。

精神世界から離れていく。

最後に言う。

「じゃあな」

「九尾」

九喇嘛

「九尾ではない」

目を開く。

「九喇嘛だ」

オビト

「へぇ」

笑う。

「また来るわ」

闇が閉じる。

精神世界が静かになる。

九喇嘛は一人呟く。

「……六写眼」

「六道に似た気配」

九つの尾が揺れる。

そして小さく笑う。

「面白い」

その頃。

屋根の上。

オビトが目を開ける。

黒目。

完全にオフ状態。

空を見て呟く。

「思ったよりいい奴だったな」

風が吹く。

木ノ葉の夜は静かだった。


〆栞
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