ランドセルを背負って駆け出してきた大地が息を切らして笑う。その笑顔のまぶしさにあてられ、玄関にぼんやり突っ立っていた紬はまごまごとうなずく。答えようとするのに言葉がうまく出てこない。咽のおくで言葉を押しつぶしてしまっている内に、大地の母親の声が響く。
「大地、あんたあんまり女の子を待たせるんじゃありません!」
「わーってるってばあ!」
「紬ちゃん、いっつも大地がごめんねぇ」
大地のお母さんは大地によく似てる。玄関先まで出てきてにこにこ笑ってくれた。紬がぶんぶんと首を横に振ると、嬉しそうに笑う。大地にはよく厳しく怒ってるけど、ほんとは優しいお母さんだ。
紬がなんて言ったらいいかもたついてる内に、靴を履いた志島が紬の手首を握った。
「」
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