『佐久間、お疲れ様!』

 部活帰り、サッカー部が終わるのを待っていた私は、水色の髪を揺らし校門へ走ってきた彼に手を振った。

「悪い、待たせたか?」
『ううん、私もさっき来たところ』

 さりげなくこう言うところを気にしてくれる佐久間が好き。優しいって思う。
 まぁ、いつもは意地悪なんだけどね。
 きっと、そんな佐久間だから私は好きになったんだ。
 行こっか、おろしていた鞄を肩にかけ佐久間と並んで歩き出す。
 彼は私に歩幅を合わせてくれる。

『ねぇ、今度さ……デートいかない?』

 この前から言おうか言わまいか迷っていたことを誰もいないし丁度いいから訊いてみた。
 すると佐久間は驚いたようで目を丸くさせていた。そんなに驚いた? そう言ってみたら

「あぁ、名前がそんなこと言うの滅多にないからな」

と言われた。
 そ、そうかな……言われて思い返してみたら確かに大抵が佐久間からで、私から誘ったことはあまりない気がする。
 だって、なんか恥ずかしいじゃない。

『……いやならいいよ』
「全然! むしろ嬉しい」

 そう言いながら満面の笑みを浮かべる佐久間は反則だと思う。
 一瞬にして顔に熱が集まるが夕日のせいにしておこうか。
 なんて思っていたら、いつの間にか佐久間の顔が目の前にあって、チュッと小さなリップ音が聞こえた。左手が佐久間の右手に包まれる。
 それがキスされたと気付くのに時間はかからなかった。
 夕日じゃ誤魔化しきれないくらい真っ赤になる私に、佐久間はまた笑った。

「やっぱり名前は可愛いな」

 照れ隠しにそっぽを向く私と手を繋いだまま歩く佐久間は、やっぱりかっこいい。



お待たせしました、佐久間で甘夢です。
結崎夜月様、リクエストありがとうございました。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします。
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