SPIRIT WORLDもしも花宮双子弟がいたら
霧崎メンバーと探索なう。このメンバーでのやり取りにも慣れた頃、あたしは先程見付けた自分の頭上にある、ある物に手を触れる。
「こんな物持ってきて何の役に立つんだよ」
「さあ?カッコいいからいいじゃん」
「これで着物着てたらサマになってたよね」
隣のマコマコに呆れたような視線を寄越される。あたしは結構気に入っているので全然気にならない。後ろにいるかずやんも気持ちわかってくれてるし。
その時、あたしの前を歩いていた健ちゃんと康ちゃんが足を止めた。
「? どしたの?」
「…何かいる」
健ちゃんの言葉に視線を前に向けると、廊下の奥の方から歩いてくる影を発見。足音は近付いて来ていて、暗がりでぼんやりとシルエットしか見えないが怪物かとあたし達は構えた。
だがいつもならこの時点で既に腐臭が漂ってきてもおかしくないのに、全然臭わない。怪物じゃないのか?とあたしが首を傾げていると、あたし以外の五人が吃驚したように息を飲んだ。
「なっ…お前…!?」
「花宮弟!!」
…パードゥン?
「……真?」
マコマコの声とザキの声が廊下に響く。その声に気付いたであろう影があたしからもハッキリ顔の見える位置に来ると、マコマコにそっくりな美形がお目見えした。驚いたように目を瞬く彼はやや眉の形がマコマコより麻呂っぽくないと思った。
「は?弟?ブラザー?」
「…オレの双子の弟だ」
「ふーん……へええええええええ!!?」
「うっせえ!!」
目ん玉が飛び出るくらいに驚いてマコマコを見ると煩いと頭を叩かれた。そのやり取りをしている間にマコマコ弟は近くに来ていた。
っていうか双子の弟!?原作の家族設定では確か母のみじゃなかったっけ!?どうなってんの!?
「何でお前がいるんだよ」
「わからない。気付いたらさっき向こうの廊下に寝ていた。側に鼻息の荒いおじさんがいたから気持ち悪くて逃げてきたところだよ」
今までの探索で廊下に倒れている姿なんて見ていないし、さっき気付いたっていうならさっき来たって考えるのが妥当かな。視た感じ怪物ではないんだろうし、人間で本当にマコマコの弟だと思う。
じっと見つめていると視線に気付いたマコマコ弟がこっちを見てニコリと笑った。い、イケメンだ。
「初めまして、ですよね?花宮
実です」
「おお、好青年。山口そらです。別に敬語いらないよ。この子もマコマコみたいにゲスいの?」
「もう一回殴られてえのか?」
あっけらかんと隣のマコマコに尋ねてみると無表情に拳を握るのでちょっと後ずさる。それを見て実君はクスクスと笑った。
「真が僕のゲスさも吸い取ったくらいだよ」
「じゃあゲスくないんだね!」
「自分でゲスさがねえっていう奴の事鵜呑みにすんなよ。こいつも中々腹黒いぜ」
マコマコの言葉に他の四人がうんうんと頷く様子を見て、腹黒いんだなと確信した。実君は苦笑している。あれかな、天然的な腹黒い的な。
「ところで、この状況はどういう事かな。全く状況が掴めないんだけど」
困惑した様子が見て取れなかったけど、やっぱりわけのわからない所にいる現状を飲み込みにくいらしい。マコマコと健ちゃんが説明する傍ら、かずやんとザキと康ちゃんで固まって話をする。
「ねえねえ康ちゃん。実君は霧崎のバスケ部なの?」
「いや、霧崎ではあるが男子バレー部だ」
「おお…!同志!!」
バレー部と聞いて自分の繋がりを感じ話に悪いって無理矢理握手をしに行った。話がわからず疑問符を浮かべながら吃驚していたけど、笑顔で握り返してくれた。
「話の腰折ってんじゃねえよ!」
「そらさんハウス」
「犬じゃないんだけど」
二人にシッシとされてチーンとなりながら三人の所に戻る。かずやんが頭を撫でてくれた。惚れそう。
「成る程。じゃあ山口さんがキーパーソンなんだね」
「キーパーソン…!何かカッコいい!」
「単純だな」
「みのるんって呼んでいい!?」
「はは、お好きにどうぞ。そらさん?」
「キャー!」
ザキの声なんて聞こえましぇーん。実君改めみのるんの言葉にあたしがきゃっきゃはしゃいでいると、康ちゃんが何かに気付いた。
「また何か来るぞ」
「ん?…う、」
その言葉を拾ったあたしが視線の先に向けると、みのるんが来た方向からゆったりとした足取りで近付いてくる影。そこから漂う腐臭にあたしが顔を歪めると、みのるんも顔を歪めた。
「さっきの…」
「え?言ってたおじさん?…キモいね」
確かに鼻息が荒い、ハァハァ言ってる。段々近付くおじさん怪物にみのるんが顔を逸らした先にはあたしがいて、あたしの頭上を見て目を瞬かせた。
「そういえば、今日の僕のラッキーアイテム般若のお面だったな」
「え?…コレ?」
冒頭にあったあたしの頭上にある、ある物とは般若のお面。あたしのお気に入りです。
「たまたま今日はおは朝を見たんだよ」
「成る程。あ、じゃあこれがラッキーアイテムなら…」
あたしは頭に付けていた般若のお面を取るとみのるんに付けてあげる。これで顔が隠れる寸法ですね。ラッキーアイテム早速役に立ったね。流石おは朝。
「…そらさんの髪のいい香りがする」
ちょっとみのるん変態気質あるんじゃないかと心配になった瞬間。
何処ダ…何処ニ行ッタ僕ノエンジェル…
「絶対あれみのるんの事探してるよね」
僕ノ…アア…僕ノ
背筋をゾワゾワさせるような気持ち悪い声にあたしが反応しているとみのるんは本当に怪物の言葉がわかるんだと感心していた。お面の下で目を丸くしている事でしょう。
「じゃあ代わりにマコマコレッツゴー」
「ふざけんな」
みのるんの代わりにマコマコを差し出そうとしたがその場に踏ん張り嫌がるマコマコ。そんなやり取りをしていると、怪物はマコマコに気付いた。
アッ!僕ノ…エンジェル…ジャナイィィィ!!偽物!!エンジェルを何処ヘヤッタァァァァァ!!
「めっちゃ怒り出した!」
マコマコとみのるんはほぼ一緒の顔だ。唯一眉毛が少し違うのと纏うオーラが違うだけで直ぐに違うと見極めた怪物は、怒りに任せて突進してきた。
「「ギャァァァァァ!!」」
「どうする?」
「戦うしかないでしょ」
あたしとザキが叫んでる間にかずやんと健ちゃんがそれぞれバットとナイフを構えた。だがそれよりも怪物は早く、一瞬にしてかずやんと健ちゃんの間を通り抜けてあたしの前まで突っ込んできた。
「ひぎゃああ!?」
何処ダ僕ノエンジェル!!
ぶつかりそうになった瞬間、マコマコが横から怪物の腹を蹴り上げ、すかさずみのるんがあたしを抱き寄せて回避してくれた。み、みのるんもマコマコ並みに筋肉質だ鼻血出そう。
「くたばれクズが」
「女性に怪我をさせるつもりか」
双子の息ピッタリさにあたしは感動しました。
「弱点は?」
「…股間!!」
「…また何処視てんだよ」
「不可抗力ですけど!!」
康ちゃんに弱点聞かれたから答えただけですけど!!視たくて視てませんけど!!
いつの間にかあたしのフライパンを持っていたザキが背後からフライパンで股間を殴り上げ、断末魔を上げて金の粒子となり消えていった。
「本当に聴こえるし視えるんだね」
「まあね」
みのるんに体を放されながら質問に答える。般若のお面を頭上にずらしたみのるんは、あたしを見下ろしながらふわりと笑った。
「じゃあ、僕も真達みたいにしっかり守らなきゃね」
改めて宜しくお願いします、と言ってあたしの頬に軽くキスをしたみのるんのキャラが掴めずあたしはまたちょっと困惑した。マコマコは複雑そうな顔をしていた。まあ弟のほっぺとは言えキスシーン見たんだから微妙だわな。
満月様、最後のリクエストお待たせしました!
おは朝ラッキーアイテムは弟君のラッキーアイテムとさせて頂きました。楽しんでもらえると嬉しいです。
素敵なリクエストありがとうございました!
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