INFINITY WORLD
あたしと後日談

 その後。ジャバ達は100万を超えているキャバクラでの遊び金をきっちり自分達で支払い、帰りの飛行機の便も自分達でチャーターして支払って母国に帰る事になった。
 無理言って、勝ってご機嫌な(ので自分から離れない事を条件に簡単にOKしてくれた)リコぴんパパと来日イベントの仕切り屋さんについて行き、見送りに空港まで来た。

「ヘイヘイヘーイ。ジュニアくぅ〜ん」

〔…テメェかアバズレ猿女〕

「何か暴言増えてない?」

 何か余計な言葉増えたよね?気の所為じゃないよね?
 イラッとしながらも向こうもイラッとしているようなので笑顔を返した。ここからはリコぴんパパが通訳してくれるらしい。ありがたや。

「案外潔かったよね、君。あーだうーだ駄々こねてたジェイソンと違ってさ」

〔当たり前だろうが。結果が全てなのに、あれ以上あるかよ〕

 何か丸くなったように見える。そんなに負けたのがプライドやられた感じ?ジェイソンとか他は未だこっち見下して睨んでるけど。

〔…オイ猿女。ジュニアって呼ぶのやめろ。ナッシュでいい〕

「え?」

 何急に。あたしがポカンとしていると、ジュニアは鞄から手帳を出して走り書きで何かを書く。そしてべチンとあたしの顔に押し付けた。

「んぶ!!」

〔連絡しろ。お前ブスだし猿だが使えそうな時あるしな〕

「使える時って何だ。捨て駒にされそうにしか思えないんだけど」

 見れば携帯番号が書かれていた。何コイツ。あたしの事好きなの?ナンパ?今になって?
 ニヤニヤした笑みを向けると凄まれた。普通に怖いのでやめて下さい。

 いや待てよ?今まで散々ディスられてきてここでコロッと変わったって事は…あたしが連絡したら個人情報とか拡散してあたしを殺しに来るとか!?今までの仕返しをまとめて返すとか!?あり得るぞコイツなら…!!

 あたしが疑心暗鬼になって顔を歪めていると長い溜め息を吐かれた。何だ違うのか。

「…いや。まあジュニアでいいわ」

〔はあ?〕

「ジュニアはジュニアでしょ。ナッシュとか普通っていうか寧ろいい名前だし呼ぶのやだもん」

〔このクソアマ…〕

「まあ一応これはもらっといてやんよ。仕方なくこの美人でグラマーなそら様がね」

 オイコラ翻訳しながら笑ってんじゃねーよリコぴんパパ。「glamor…ブッフゥ!」じゃないよ失敬だな。
 青筋が更に増えたジュニアの横でジェイソンがニタリと笑った。

〔おい、オレのファミリーネーム呼びもやめろ〕

「やーなこった!シルバーって名前も何だかんだカッコいいから意地でも呼んでやんねーわ!バーカバーカ!」

〔オレに対してはそれかよこの猿女…!〕

「つかジュニアもだけどそっちこそ名前で呼べし!山口そらだよ知ってんでしょ!さっき言ったし何回も周りの子呼んでんだから!」

〔〔……〕〕

 今までの分嫌味を込めてべろべろべーと舌を出しながら言えばかなり顔の影が濃くなった。それを見てあたしもビビったし当然ハラハラしてた仕切り屋さんもビビってた。
 そしてあたしも流れで名前呼びを強要すれば、二人はフイッと顔を背けたマジ何なのコイツら。自分は呼ばせるくせにあたしは猿女で定着させるつもりかコラァ。

「じゃ。まあ改心したまえよ」

〔それ悪用したらぶっ殺すかんな〕

「大丈夫!Kurotterに呟くだけだから」

〔それを世間一般では悪用っつーんだよ!!馬鹿か!!〕

 中々ジュニアツッコミ員要素高いな。わざとやってるけどいいツッコミしてくれるわ。
 そして時間になり漸く彼らがぞろぞろ列を成して搭乗口へ向かう中、あたしは思い出したように声を掛けた。

「ああ!そうそう。今更言うのもあれなんだけどさ」

 みんな足を止めて振り返った。

「みんなに生霊とか幽霊いっぱい憑いてるから女遊びとか控えた方がいいよ。あとお祓いもお勧めするー」

 あ、みんな目が点になった。マジウケる。

〔ハァ?んなもん嘘に決まって…〕

〔いや…でも………写ってる…〕

「「……Oh my god!!」」

 自分達で撮った写真を見てジュニア以外が叫んだ。その反応も上々ですな。芸人目指せばよくね。










「ゆっくり休めた?」

『ええ。とてもいい気分で』

「それはよかった」

 後日、京都に戻った赤君に電話をした。試合の次の日が早速学校なので赤君やあっちゃんは県外に帰る必要があり、試合後はあっちゃんの手首の治療の為病院に行って時間がなくなったので本当に軽く打ち上げして解散となってしまって話す機会があんまりなかったからこうして話をしているんですな。

『そらさんもあれから熱中症は大丈夫ですか?』

「平気平気。ほんのちょこっと拗らせただけだから。それより試合中にごめんね。赤君呼んだり倒れたり…」

『いえ。それは気にしていないんですが…それより体調が悪い事に気付けずすみません』

「え、何で謝んの?あたしの自己管理がなってなかっただけだよ」

『まあそれはそうなんですが』

「あっうん」

 そこは違うって否定しないんだね。いや、正直なのはいい事だよ、うん。あれかな。心配させた分のちょっとした嫌味かな。
 まあお互いに気にしない事になって話を続けていると、赤君が少しだけ黙る。

「あれ?寝た?」

『…あいつが言っていました』

「あ、起きてた。ってかあいつ?」

 反応が返ってきたのでその言葉の続きに耳を傾ける。

『もう少しそらさんと話してみたかったと』

「…ああ!僕司君?」

『僕司?』

「ああこっちの話」

 癖で呼んじゃった。まあ赤君あたしが原作知ってるの知ってるし気にしてないだろうけど。
 でもそうかあ、嬉しいな。もうちょい関わってみたかったのはあたしもそうだけど、でもいい笑顔と凄い貫禄(威圧)で何でもズバズバ欠点とか直した方がいい所とか指摘しそうだから怖いっていう気持ちが無きにしも非ず。その点では若っっっ干ホッとした。でももっと話したかったのは間違いない。

「そっか、そう思ってもらえて嬉しいよ。あたしももう少しまともな会話してみたかったな。まあそれはあたしの所為なんだけど。…消えちゃったんだよね」

『…ええ』

「寂しくなった?」

『…そうですね。少なからず兄弟のような感覚はあったかもしれません』

 少し寂しげな声にあたしは上手く言葉を掛けられる自信がないので思いをそのまま伝える。

「いい事だね。大丈夫だよ、赤君の中にあの子は残ってるよ。眼だってそうでしょ?今の眼があるのは赤君ともう一人の赤君があっての事なんだからさ」

『…はい』

 伝わったようだ。声が明るくなったのを感じ取りながら他愛ない話を続けた後、何故かあっちゃんの怪我であたしが泣いた話に移った。何で。

『泣く時はオレの側で泣いて下さい』

 何でそんな流れになったのかはよくわからんけども、取りあえず赤君が相変わらずのイケメンである事は理解した。急にキメてくるの本当やめてくんないかな。心臓保たないわ。

 そのまた後日。あたしがジュニアに連絡先を教えられた情報を知ったみんなから質問攻めに遭ったり、連絡先を抹消しようとしたり、悪用するかと悪巧みしようとする人がいたのはまた別の話です。いつも大概こんなオチというかシメだけど。ご愛嬌って事で。










EXTRA GAME END.

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