INFINITY WORLD
みんなの勝利

 79対87。赤君、真ちゃん、峰さん、かがみん、テッちゃんの五人で残り2分半。
 警戒していたがやっぱりジュニアのパスが6番に通り、このまま点を入れられるというところであの子が動いた。

「覚悟しな。アイツらがここまで繋いでくれたからな。ラスト2分半、こっからは遠慮なく全開でいくぜ!!」

 守備力が薄いテッちゃんのいるサイドへ流れたボールが6番によって決められそうになるが、そこへ一気に追い付くのはゾーンに入った峰さん。その威圧と危険を感知して寸前でジェイソンに流れたボールが叩き込まれようとした。

〔終わりだ猿共!!ハッハァー!!〕

 パー子?笑い方に疑問を抱いたあたしは泣いても安定のKYです。

〔何がおかしいんだテメー。紫原はすげぇプレイをしてた。黄瀬もだ。それを散々馬鹿にしやがって…Strkyの時からムカつきっぱなしだが、完全にブチ切れたぜ…!!テメェらみてーなカスに死んでも負けるかよ!!〕

 そしてかがみんもここにきてゾーンに入った。やっぱり目が光っているのでわかりやすいですね。カッコいいぞ。あと英語も。
 ジェイソンは目を見開き、シュートはブロックされた。

 ダブルエースのゾーン覚醒で、勢いがまたつき出す。

〔ケリをつける!!いくぞJabberwock!!〕

〔ほざけ猿が!!〕

 一気に動き出した。赤君からのパスはテッちゃんを経由して峰さんに通り、ジェイソンが止めに掛かるが峰さんは上体を軽く捻りゴールの裏からシュートを決める。凄いなぁ本当に。何でアレが入るんだよって思うよね。

 そしてテッちゃんのミスディレは効果続行中で、幻影のファントムシュートが決まる。

「ファーーー!!」

「テツくぅぅぅぅぅん!!」

 完全に元気になったあたしが両手を上げて喜びを表し、さっちゃんは興奮してメロメロ。熱中症に気を付けてね。あたしが言えたもんじゃないけど。

 しかし、ジュニアは赤君をクロスオーバーとやらで抜き、からのローモーション。そしてダンクをかがみんのブロックを物ともせず叩き込んだ。

「ぐっ…」

「まさか…」

「え?何?」

 歯を噛み締める相田親子に疑問を投げ掛ければ、派手な技のストバスの動きから洗練された正統派、つまりオーソドックスなバスケットの動きに変わっているらしい。恐らくこれが本来のジュニアの力で全力なんだとか。
 リコぴんパパがジュニアはエリートかもって言ってたけど本当にそうなんだー。相当な高いプライドの持ち主なんだね。

 それでも負けていい理由にならないと峰さんがチームの鼓舞をする。互いが誇りやプライドを賭けた戦いになっている中で、闘志は消えるどころか更に火をつける。

 残り30秒でまだ4点差。一歩が縮まらないと焦り始めた時、ジュニアと対峙している赤君だけがまた静かだった。それに疑問を抱く真ちゃん。

 だけど次の瞬間、ジュニアに抜かれると思ったけど何かを英語で言った赤君は、今まで魔王の眼の所為で取れなかったボールを弾いた。

「待っていたのだよ。これで王手だ」

 そしてボールはすかさず真ちゃんに通り、3Pが決まる。
 何でジュニアのパスが取れたのとか思う事はいっぱいだけど、残り11秒、1ゴール。

「最後の勝負だ、勝つぞ必ず!!」

「「おう!!」」

「「ディーフェンス!!ディーフェンス!!」」

 会場が最高潮になり、勝敗がどう転ぶか見守る中でジャバは守りに入り時間稼ぎをするつもりのようで、上手く回されていくボールに固唾を呑む。

 赤君ですらボールが取れないと表情を硬くした。

 瞬間、ジュニアの手元から静かにボールが弾かれた。

「テツ君」

「「獲ったーーー!!」」

「いけぇ黒子ーーー!!」

 一瞬静かになって、さっちゃんの小さな声が広がった。テッちゃんはドリブルでゴールまで距離を詰めていくが、ジュニアが阻止しに掛かる。

〔ふざけるなぁ!!〕

「負けるもんか…!僕達は絶対に勝つ!!」

〔付け上がってんじゃねえよ猿が!オレに勝とうなんて100年早えぇんだよ!!テメェ如き一瞬で潰してや…〕

 テッちゃんの後を追うように姿を見せたのはあの二人。

「一人じゃねえよ、勘違いすんな」

「勝つのはオレ達だ」

「「終わりだナッシュ!!」」

 ダブルエースが声を張り上げる。テッちゃんは高くボールを投げ、ジュニアが阻止するように跳躍した。

「「決めろーーーーー!!」」

「いっけえええええええ!!」

 全員が声を張り、ダブルエースに最後を託す。
 高く跳躍したかがみんと峰さんは、二人でボールを叩き込んだ。

「「くたばれJabberwock!!」」

 そこでブザーが鳴り、一瞬声が止まったが大歓声に会場が包まれた。

《試合終了ーーー!!》

「うおおおおおおやったぁーーー!!」

「「VORPAL SWORDSの勝ちだーーーーー!!」」

 全員に今日一番の笑顔が溢れた。あたしはさっちゃんと抱き合い跳び跳ねながら喜びを表す。
 ハッと思い出したようにあたしはデジカメで拳を握りガッツポーズをするみんなを写真に収めた。後でみんなに送るべ。

「うおっしゃあああぁぁぁぁああああ!!!」

〔ふざけんじゃねぇ!!マグレだ!!マグレに決まってんだろうがこんなもん!!〕

「うえぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!」

〔もう一度やり直せば直ぐにわかるぜオイ…〕

「フゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

〔やめろシルバーみっともねえ〕

「うぃえあああああああああ!!!」

〔勝負は結果が全てだ〕

「おんどりゃああああああああ!!!」

〔アイツらの方が強かった。…それだけだ〕

「ウェイウェイウェイウェイウェーーーイ!!!」

〔…クッ……クソッタレがぁああーーー!!〕

「アイキャンドゥイッッッッッッッッ!!!」

〔〔うるっっっせえ!!!テメーはいつまでもよォ!!!〕〕

「「いい加減もういいわ!!!」」

 会場の歓声に紛れてあたしが一人でずっと叫び狂っていると、いい加減痺れを切らしたらしいジャバ全員から怒られた。そして身内である仲間からも怒られるという。解せぬ。喜んでただけなのに。

 こうして、Jabberwock対VORPAL SWORDSの戦いは見事日本のバスケの勝利で幕を閉じた。

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