INFINITY WORLD
あたしが観戦

『―――続いてスポーツのニュースです。本日、USAで大人気のストリートバスケットボールチーム、Jabberwockが来日しました』

 今日は休日保育の代休として、午後からお休みを頂戴した。家に帰ってテレビをつけると、お昼のニュース番組で丁度流れてきたニュース。バスケットボールの単語に反応して意識を向けると、丁度映像に移ったところのようで厳つくてでかい外国人の人達が空港を歩く様子が映し出されていた。

 何やらマスコミの人達が熱く語っているのを聞きながら、フラッシュの点滅が目に宜しくないので目を細めて眺める。
 みんな18歳前後とかパフォーマンスパネエとかNBA選手をきりきり舞いにさせる程の実力があるとか…そういや前に誰かが“きりきり舞い”ってどういう状況をいうのか改めて知りたくなって意味を調べたら“てんてこ舞い”って出てきて、次に“てんてこ舞い”を調べたら“きりきり舞い”って出てきて「だからその状況を説明して欲しいのに!」と思ったとか聞いたな。あれ話してたの誰だっけ。

 おっと話が逸れてしまった。昼食がまだなので手洗いうがいを済ませ、コンビニで買ってきたサンドイッチ二つとミルクティーを食しながらテレビを見つめた。

 なんかあの銀髪の黒人、英語だからわからんけど下品な事言ってそう。今夜オレとドウデスカ〜的な。あたしの質とは違うけど何か頭の中常にパーリナイ状態っぽい。本能のままに生きてそう。マジクッソ。あんな美人なアナウンサーのネーチャンナンパ出来るとか裏山お前そこ代われ。
 あれ、何だかあの人の肩ら辺に黒い靄が見えた気が…気の所為かな。

 おや?おやおや?何だか白人のイケメンが出てきたヨ。魔術師マジシャン、ナッシュ・ゴールド・Jr。ジュニア。ジュニアって顔じゃねえけどジュニアなんだな。オーケージュニア任せろ。何をだよ自分。

 そんなくだらない事を考えていたが、次のニュースに移るまでにまだ流れているVTRの奥に、何か見た事ある人の姿を見た気がして目を凝らした。

 あれ。あれれのれ。
 あれもしかしてリコぴんパパじゃね?
 間違いなくリコぴんパパだよアレ。

 …………マジでか!!テレビ出てるよあの人羨ましいいいいいいいいいいい!!あたしも出せ!!










「来ちゃった」

 玲央きゅん風に言えばハートだらけの口調。あたしはジャバなんたらの試合を観に会場に来ていた。日差しもあるので帽子とグラサン掛けてます。いい天気ですね。

 だって当日チケットもあるってジュニアが言ったってアナウンサーが言ってたんだもん。何か言葉おかしくなったけど言ってたんだもん。

 無事にチケットを購入出来、見込み通り沢山の屋台も出ているので屋台の美味しい食べ物を堪能しながら歩き回る。まあ三分の二くらいは屋台目的で来てるからね。今日休みだしやる事ないし暇だしと思って来たけど、美味しい物食べられて最高。クレープと唐揚げうまし。屋台最高。

「お?そらちゃんじゃねえか」

「ん?あー!リコぴんパパ!」

 不意に声を掛けられ振り向くとそこにはリコぴんパパ。テンション上がってハグをしに行くとしっかり受け止められた。

「こないだテレビにちまっと映ってたよね!ちまっと!」

「そこは強調せんでいい!」

「あのジャバジャバチームと知り合いなの?」

「ぶっふぉ!!適当に言うな!Jabberwockだよ!」

「そうそれジャバウォック」

 だって覚えにくい。訂正されながら聞いた話では、来日イベントを仕切っている人と知り合いらしく、通訳とガイドを兼ねてジャバの世話をしているらしい。

「誰も連れねーで来るなんて珍しいな」

「そう?結構一人で色々行くけど」

「そうか。お、そういやリコたんも来てるぞ」

 そんな話をしているともう直ぐ試合が始まると放送が鳴り、既に満員御礼の席を見て出遅れたと気が遠くなっていると一人では危ないし特別だと言って特設テントに招き入れてくれた。

 マジかよ。関係者以外立ち入り禁止区域に入っちゃったよ。やっぱりちょっとテレビに出た人はやる事が違ェな。

 上手い事言って入らせたリコぴんパパ凄い。お言葉に甘えて椅子に座りながら買い溜めした屋台の食事を頂く。
 何もしないのは申し訳ないのでカステラをその辺にいる人に分け与えたら喜ばれた。よかった飲食禁止じゃなくて。

《さあ!!長らくお待たせ致しました!!最早説明不要のアメイジングストリートバスケットボールチーム!!Jabberwockのエキシビションマッチ、いよいよスタートです!!》

「イエーイ!ヒューヒュー!」

「口笛出来ねえなら言うんじゃねえよ」

 言わせてくれよリコぴんパパ。

《初めに日本のスペシャルチームの紹介です!!チームStrky!!》

「イエー…ええええええええ!!?何という事でしょう!!!」

「少しは静かに出来ねえのか」

 だって叫ばずにはいられない。翔ちゃんと岡さんとゆっきーと清ちゃんと多分元洛山マネージャーだった人。名前は忘れた。
 その五人が出てきたら吃驚するでしょ。何よ、いつの間に有名人になったのよ!今日テレビも来てるんでしょ?狡いテレビ出て!あたしも出せ!!

 リコぴんパパによればStrkyは結構前から出来ていたらしい。何それ聞いてない。別にいいけどねフン!
 あと気になったのは大学デビューと共にイメチェンした岡さん以外にも翔ちゃんと清ちゃんの髪型が少し変わってるところ。何よ。テレビに出るからおめかししたの?相談してくれれば切ってあげたのに。まああたしが髪を切るなら坊主一択しか出来ないがな。バリカンでズバッとね。

《さあそして!!反対のコートに現れたぞ!!チームJabberwock!!》

 で、でけえええええええ!!みんなでけえし怖えよ!!
 ってあれ。やっぱりあの銀髪黒人の肩に黒い靄が見える。いや視えるだな。よ〜く目を凝らすといくつもの女の人の顔が視えてきたので慌ててやめた。怖いよ。絶対アレ生霊じゃん。沢山の女の人に恨まれているみたいだ。女性に恨まれる=女遊び激しい。納得。関わらないようにしよう。

「てかあれがあたしとほぼタメ…あり得んてぃ」

 岡さんですら小さく見える。あたしがそう慄いて呟く隣で、リコぴんパパが苦い顔をして頬杖を着いた。

 その表情の意味が直ぐにわかる事になる。

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