これも、いい
とある空間にて、それは静かに行われていた。
「もうすぐ出来る……もうすぐだ」
カタカタカタ。歪な形をしたキーボードを叩く、タイピング音が空間に木霊する。
「………出来た」
暫くしてエンターキーを押し、手の動きを止めた一つの影。
「さて。あとは役者だが…」
そう言いながら鈍く光る歪んだ画面を凝視し、キーボードやマウスを操作しながら何かを見繕う。
「コイツではない」
「コレも違う」
「コレも」
「コイツも」
見付けては否定し、また見付けては違うと言って否定し何度も探す。次第に疲れてきたのか、影はハァ、と静かに深く溜め息を吐き出した。
「…ん?」
一度最初から検索しようとトップページに戻ると、最新の項目に堂々と文字が連ねられている部分があって気になり目を留める。そしてそれを開くと、目を僅かに見開いた。
「キセキの、世代?」
I・H(インターハイ)、WC(ウィンターカップ)、キセキの世代、幻の
六人目、、無冠の五将、各強豪校、白熱したバスケットボール大会。
その記事に視線を走らせながら、内容を読み込み理解してその影はニヤリと口角を上げてニヒルな笑みを浮かべる。
「…ふぅん。面白い」
そしてまたキーボードに何かを打ち込む。先程より手先がよく動き、これから起こる楽しい出来事を考えて期待に胸を膨らませ、影は自分がやや興奮状態にある事を自覚しながら打ち続けた。
「バスケか。その方面では考えていなかったからな。…うん、いい」
日本語でも英語でもない、不明な文字が並んでいる画面。それを眺めて影は満足げにほくそ笑む。
「それにしても、キセキの世代か。その強さは…と、」
強さの根源は何か。ただの興味本位で調べ始めると、出身中学校に目が留まる。
「帝光中学校…」
そして調べる。ネットサーフィンのように飛んで飛んで飛んだ先で、また新しい“興味”を発見した。
「…ふ、フフフ。これも、いい」
その画面には、一人の少女も映り込んでいた。
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