1 ほしにくでござる
「がうがう。エル! おいら、がう! 来たぞ! 」
「あ、ガウいらっしゃい。丁度よかった。今からお昼にしようと思っていたの」
がらんとした洞窟に、少年の声はよく響く。
エルは黒い髪を頭の高い位置でひとつに束ねた。白いブラウスを腕まくりして、腕に掛かる短いマントを払う。そしてガウの分のリンゴを取りに立ち上がった。
「エル、ほしにく、やる」
「ええ? くれるの? 『くれ』じゃなくて? 」
ここは獣ヶ原。世界中のモンスターが集まると言われている。その獣ヶ原のとある洞窟に、エルは一人で住んでいた。
モンスターを倒しながら近くで取れる野菜や果物を採り、時折近くの町へ出て売る。そうして得た金でガウのために干し肉を買ったり、必要な物を買ったりしている。そうしてどうにか凌ぐ生活だ。
エルはリンゴを1つ手に取った。薄いピンク色のスカートでガウのリンゴをキュッと磨く。
ときどきやってくるガウという少年は、エルがここへ来るよりもずっと前から獣ヶ原にいるらしい。
エルは食べ物をガウに与え、ガウはここのモンスターのことをエルに教える。洞窟の中とはいえ決して安全ではないが、エルがつつがなく暮らせているのはガウのおかげだ。
「ねえ、ガウ。そのほしにく、どうしたの? 」
「ござる、くれた」
「ござる? 」
何の事だろうか、とエルは思わず聞き返す。
「きんにくもりもり! ござるござる! 」
「誰かにもらったのね? ござるってことは男の人かしら」
「がう! うまかったぞ! 」
その時、入口の方から声が聞こえてきた。だんだんこちらに近づいて来る。
「おーい、ガウ! 先に行き過ぎだぞ! 全くどこまでいったんだ……ぶつぶつ」
「ガウ殿ー? どこでござ……お? こ、こ、こ、これは失礼。ご婦人の部屋だとは存じませなんだ。面目ない」
そう言いながら、男2人が入って来た。
ひとりは壮年の侍風の男で、腰に立派な刀を提げている。
もうひとりは若いモンク僧だ。空のような青い瞳を真ん丸にして、エルを見ている。
どちらの男も筋骨隆々といった風体だ。若い方は特に身体が大きい。
思わぬ来客に、エルは目をぱちくりさせた。男達も、まさか人がいるとは思っていなかったようで、目を丸くして驚いている。
「あ、あのう、どちらさま? ガウ? この人達は、お友達? 」
「ガウ! ござるとカイエンだ! 」
「だから、おれはござるじゃねえって! 」
若い方が否定した。と、いうことは「ござる」というのは壮年の方だろうなとエルは思った。なるほど、「ござる」と「きんにくもりもり」ね、と一人で納得する。
「悪いな、いきなり入って来ちまって。俺はマッシュ。で、こっちがカイエン」
「俺はござるじゃない」と言った男はマッシュと名乗り、彼は「ござる」の男をカイエンだと紹介した。
「お初にお目にかかり申す。突然押し掛けるご無礼をお許しくだされ」
カイエンが折り目正しくお辞儀をし、後頭部できっきり結われた白い髪紐がチラリと見える。エルもつられて頭を下げた。
「ガウが三日月山に行くって言うから付いて来たら、ここに来ちまったんだ」
「い、いいえ。わたしは大丈夫。ええっと、わたしはエル。今からお昼にしようとしていたの。大した物はないけど、一緒にいかが? 」
マッシュに簡単ないきさつを聞き、そういうことならとエルは昼食の提案をした。
「それは流石に悪いよ。なあ? カイエン」
「左様でござるな。急に来てしまった故」
遠慮がちな大人たちを後目に、ガウは余程空腹だったのだろうか。食事の催促を始めた。
「がうがう。エル! はやく! おいら、はらへった! 」
「おまえなあ」
「いいのよ。ガウね、時々家に来て一緒に食べるの。ちょうど沢山作りすぎてしまったところだから、よかったら食べて行ってよ。ね? 」
その後も再三誘われ、マッシュとカイエンも席につくことにした。その日は、いつになく賑やかな昼食となった。
20140725
FF6はその昔、はまりにはまりました(おこんにちは内more参照)
あれから20年
以来一度もしていませんが、まさか20年後にこんなことして遊んでいるとは思ってもみませんでした
陛下に口説かれてみたい一心で?(笑)書いて行こうと思います
ああ、またしたいなあ、FF6
SFCのクオリティがいいです
綺麗すぎないくらいが好きです
それを言ってしまうと、当時から美しいグラフィックに力を入れていらっしゃる原作さんを否定することになるかもしれませんが笑
だだのわたしの好みです
FF-D D+S m-ds New!夢物語
- 2 -
start * next
しおりを挟む
MODORU