カエル治療



「ただいま。帰ったよ。」

「セシル!、帰りなさい。遠征お疲れ様!」

「お帰り。あれ?カインは?」

「ここだよ。」


 セシルは自分の手のひらを広げて見せた。手には青いカエルが一匹。 


「ゲロゲロ(今帰った。)」

「カインはカエルになっちゃったんだ。生憎、万能薬も乙女のキッスも切らしてしまってね。仕方がないからこのまま帰ってきたんだ。」

「ゲロゲーロ、ゲロゲロ(全く、ひどい目にあった。)」

「陛下も労って下さったけれど、城でも丁度在庫が切れているらしくてね。」


 青いカエルはしょんぼりしている。


「城下のお店で売っていたかしら。」

「ゲロゲロゲーロ(ローザ。一晩休めば治るぞ。)」

「うーん。どうだったかなあ。いずれにしても、今日はもう遅いから無理だろうね。」 

「ゲロ、ゲーロゲロゲ(いや、だから休めば治ると。)」

「・・・困ったね。カイン。」

「・・・ゲーロゲーロ(・・・通じていないな。)」

「あ!そうだ!」

「どうしたの?」「何か名案が?」

「うふふ。わたしも乙女の端くれよ!わたしが治してあげるわ!カイン!」

「おお!それはいいね!」

「なら、セシル。わたしたちは部屋に戻りましょう。」

「そうだね。おじゃま虫は退散しよう。」

「ゲッゲロゲロゲーロ!(お、おいちょっと待て!)」


 セシルはカインを近くにあったテーブルに移した。カインは後ずさりする。


「ちょっと、カイン。逃げることないでしょう!ひどいわ。」

「ゲロ、ゲロゲ。ロゲーロゲロ……。(いや、違う。そう安売りするものではないと……。)」


 唇がカインに近づくごとに、カインの動揺は増していく。


(しまった。こんなことならきちんとリップクリームを塗っておくべきだった。いや、今はカエルか。潤いは余りある……。しかし、そもそもカエルではどうにもできんではないか!)


 しかし、キスされたのは額だった。辺りは霧が立ちこめはじめる。
 カインは人間に戻った!


(ひ、額・・だと。やられた・・・・。)


 カインは真っ赤になってその場に倒れた。鼻血が噴水のように吹き出している。


「きゃー!カイン!どうしたの!セシル!ローザ!戻って来て!」





「カインには刺激が強かったようだね。」

「お、おれはしょうきに・・・・」
 

 カインは意識を失った。
     

 そう簡単に、唇にはさせないわ。それはあなたからして欲しいもの。もちろん人間のときに。

 俺はてっきり唇にかと思ったぞ。焦っていたのは俺ばかりなのは詰まらないが、少し安心もした。次こそは人間の時に。


 ウブなカインへのアピールは続く。
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