1.【遅咲き】


神様に与えてもらった加護。みにくいアヒルの子は磨けば光る原石だった。名前をくれた“ママ”の姿をいつも少女は夢に描いている。でも、一緒じゃなくても寂しくないと言えるほど大人ではなかった
仕方ないと自分を納得させてママを困らせないようにいい子にいたいと少女は思う。それで我慢できるほど少女の精神は大人ではない、子供が学ぶであろうそれは大人の存在あってこそ。少女は実の親に捨てられていたのだ。本人はそれをちゃんと覚えてはいないがわかっている。体の見た目と中身があってない。育つはずのつぼみは遅咲きでゆっくりと花を開こうと生きていた

「ママから手紙のへんじこなかった。」

ピンク色と水色の髪が目立つ少女はそう呟いた

「ブルーム、お使いに行ってくれんか?」

「わかった、まかせて。」




ママがいたところは町はういてなかったんだって。うみがあってそこに島が浮かんでて、時には島同士がつながってたりしていたってきいた。げんきかな?いまなにしてるんだろう






「うーん、これなんのことだろう?」

もらったメモの内容が時々わからないことがある。ブルームはこういうとき誰かに聞けばいいことを知っているのでまわりの大人を探した。多分食べ物の名前じゃないことを知っているがそれがなになのかはわからないのだ

「あのおじさん、これなにかわかる?」

「おじさんって俺はまだおじさんじゃねぇ…。これは燃料だな、騎空艇の。」

「なるほど、じゃあこれもふねをうごかすのにいるの?」

メモを指差して伝える。食べ物など生活品はわかる

「そうだな。しかし嬢ちゃん一人でこの量買うのか?」

「うん、たのまれたから。」

「でもなぁ…どこにいけば買えるのかもわかるのか?」

もちろん、知らない。でもブルームは大抵の人が悪いひとではないことを知っている。だから聞けば教えてくれる、それを頼りにお使いをこなそうと思っていた

「わからないけどもそういうときはだれかにきけばいいっておしえてもらったよ。おじ…じゃなかったおにいさんありがとう。」

バイバイ、とブルームは手を振った。待てという声が聞こえて来た気がするけども商人の人達も待ってる。ずっとこの島にいるわけじゃないのも知っている。止まってる暇はない



「たくさんいろんなひとがいる。」

にぎやかっていうのはこういうことを言うんだろうなとブルームは思った。こんなにたくさん人がいるからひとりじゃないはずなのになんだか自分だけ違う。誰かと一緒にいないから、わからないなぁ。頭をかしげてもわからない

「あっ、ダメダメ。お使いたのまれたんだから…。」

頭を横に振って、前に進む。今しなきゃいけないのはそういうことじゃないと。今日は調子がよくないなとは思う

「えーっと…ねんりょう。ねんりょう…。」

メモをみながら周囲を見渡す。普段頼まれるのは食料品なので全くもってわからない。ちんぷんかんぷんである。誰かに聞こうと思ってもみんな忙しそうだ

「なんだ!?煙があがってるぞ!!」

「向こうから火事らしいぞ。」

さらに騒がしくなってきた

「火だるまになった化け物が原因だって聞いたのよ、早く私たちも逃げなきゃ。」

目の前には人、人。目がまわりそうだった。人の流れに押されて進めない。ブルームはとっさのことで動けないままだ。ようやく動けるようになったときはもう人の流れはなかった

「おおきい波みたいだった…。」

もうここにいたのは店にいた店員か、逃げ遅れたほんの数人の人とブルームだけだった。確かに煙は向こうの方からのぼっているのはわかった。あんなに大勢の人が逃げるということはもしかしたら本当に大火事だったのかもしれない…

決まったことをするのは苦手ではない。頼まれていることもあるのに今自分がどうしたらいいのか…ブルームは少し迷っていた。突然のことは苦手なのだった

「キャーッ!!!」

「やめろ、娘に触るな!!!!」

声のした方を見る

『火だるまになった化け物が原因だって聞いたのよ、早く私たちも逃げなきゃ。』

火だるまがどういうものかピンと来ていなかったが今なら確実にそれが何か、なんなのかブルームにはわかった。目の前にいるのだから…
親子を襲おうとする燃えているナニカ

普通の魔物ではない。ブルームは商人の護衛をする代わりに生活していた。そのため魔物の判別は少しぐらいはつく。全く知らない船の燃料とかよりもだ。ただ目の前にいるアレはナニカ知らない。どういうことなのかわからない

ブルームはいつも魔物にするのと同じように杖を手に持った

「こっちだよ!!」

魔法でつくった水の玉を魔物に向けて飛ばす。ジュワッと一瞬で水は煙になった。魔物はブルームの方を向いている

「その子のお父さん、早くにげて!」

「魔物さんはこっち!!」

水ではなく氷へ手段を変える。魔法だけは自信があった。連続で魔法を使う。杖を振るう間隔が次第に速くなっていく。ブルームの魔法は確実に親子から距離を離していた。待ってくれとか危ないの声も聞かずにブルームは走り出した



「ほうきつかわないといけないかも…。」

走りながらブルームは魔法で魔物の注意を自分に向けていた。そのおかげで周囲の人間は魔物から安全ににげていた。とにかくあの親子を逃がすことだけに必死だった、それだけ。ブルームはそこまで考えてはいない。大人しいいいこが周りの評価だが…中身は子供である。同時に色んなことを考えれるほど思慮深いわけではない。
走り続けて足がもつれはじめた。このままじゃ逃げきれない。指をならすとどこからでてきたかわからない箒につかまる。宙に浮いた箒に片手でつかまり足がつかない不安定なままブルームはまだ魔物に魔法をつかっていた


「とりあえず空の方にいけばおいかけてこないよね?よし、“とべよ・ほうき”!!」

さらに箒は上へ上昇していく。民家の屋根が近くなるくらいにのぼってさすがにここまではこれないだろうと思った。ブルームの片腕も限界だ。今なら安心して箒またがって逃げれる。そう思っていたが

「えっ…!?」

メキッ、バキッ

燃えているナニカは、その魔物は地面から音をたてて飛んだ。これは予想外のことだった、そんな予感しなかった。どうしよう、どうしよう
頭の中がぐるぐるしてきた

「このままとんで!!まっすぐ!!」

箒にブルームは命令するように言う。どうなるかわからないけども逃げなきゃ。混乱するブルームの頭にはそれしかなかった







































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