ハロウィン
「おはよう、サンダルフォン。」
部屋を訪ねてきたのはピンクと水色の髪をした少女だ。なにかあるときは俺を訪ねてくるのでいつものことと言えばいつものことだった
「トリック オア トリート〜!今日ハロウィンだよね?」
「わかっているのになぜ疑問系なんだ。」
「なんとなく?サンダルフォンも団長たちみたいに遊んだりしないの?」
「いや、いい。君こそついていかなかったのか?」
そんなことならわざわざ俺を訪ねて来なくてもいいのに
「うん、べつにいいの。あのね、サンダルフォン。トリック オア トリートのいみわかる?」
「お菓子と渡さないと悪戯をするだろ、それくらいわかる。」
「じゃあね〜、いたずらしちゃうね。」
「待て、さっきのは挨拶じゃなかったのか?」
「おかしもってないでしょ?」
確かにお菓子は持っていない。急に言われて用意などできない。考える俺をよそになんのいたずらをしようか考える目の前の少女はお気楽そのものだった
「ああ、そうだ。仕方ないが、君の悪戯くらいどうってことない。」
「じゃあ、えっとね〜。いっしょにハロウィンであそぼ!」
「……ナンセンスだ。君は悪戯の意味がわかっているのか?」
「いたずらって人のめいわくになることでしょ。わかるよ。」
「わかっているなら悪戯でもなんでもないじゃないか。」
人間の行動は理解しかねることが多い。この少女…ブルームも例外ではなく、他の人間達よりも幼い。時によってはあの蒼の少女よりもだ。初対面の俺のことを母親に似てると言い出したときから突拍子もないことを言うのは変わらなかったが
「……さびしそうなかおなんでしてるの。」
「そんな顔してないさ。」
「さびしくないかもしれないけど、なんかわたしがいやだっておもった。」
「気にすることはない。2000年も一人だったんだ、孤独には慣れてるさ。」
「ダメ!!そんなこといわないで!!」
大声なんて滅多に出さないのに
「ひとりぼっちになれちゃダメだよ。ひとりはさみしいよ……。」
まるで自分のことのように怒るのはなぜだ。自分のことのように悲しい顔をするのはなぜだ。
「さむいし、くらいし。ここがねいたくなるの、ひとりはいいことないよ。だから、わたしサンダルフォンといっしょじゃなきゃいやだ。」
「本当に仕方ないな…。」
「いいの!?やった〜!!」
俺が椅子から立ち上がると嬉しそうにぴょんぴょん跳ねる姿が見える。まるでうさぎのようだ
「おきがえしたりはしないの?」
「仮装……俺はいい。きみは?」
「むっ、ダメ!サンダルフォンもいっしょっていったもん。わたしもするからサンダルフォンもしよ〜!」
「今から間に合うのか?」
「まにあう、まにあう。」
そういって走っていく
「そんなに走ると転けるぞ。」
「そっか、そうだね。」
ハロウィンの飾り付けが輝く街の中を二人で歩いていく
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