明烏

おあと


 ああ、どうでした? さっきの明烏。いやぁ、素人寄席だっていうのに、結構聞く人がいるんですね。
 おや、ご贔屓なんですか? ありがたい。いえ、こっちの話で。
 あれ、彼の実体験なんですよ。本気で兄を騙して吉原に連れて行くんだから、困ったモンですよね。まあ、キッチリ痛い目見せましたけど。
 ……ええ。僕がその兄ですよ。イメージと違いました?
 そうですね。僕が堅物だなんて思ってるのは、ジェイソンと父くらいじゃないかな。
 子供は好きだし、一緒に遊ぶと楽しいですけど、そうじゃない遊び方だっていろいろ知ってる。
 はは、じゃあ楽屋話のひとつでも話しましょうか。
 僕が女と長続きしないのは、目当てが他にいるからで、吉原は以前何度か行ったことがある。弟が僕を連れてきたら、なんであれ調子をあわせてくれとお願いしてありました。
 あの時の花魁とは昔なじみで、僕の要望ならたいてい聞いてくれる子です。
 
 そもそも、あいつが話した馬鹿みたいな堅物なんて、本当のこの世にいると思います?
 少なくともあいつの兄は、明烏の時次郎みたいな世間知らずではなかった。

 いやなに、簡単な話ですよ。単純明快なオチでして。
 
 結局、騙されて吉原につれてこられたのは弟の方で、知らない遊び方をのも、弟のほうだったていう――ただ、それだけの話です。

 あはは。それじゃあ僕は、弟を迎えに行きますね。
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美しくなんて死ねると思うな