深夜一時。ようやく仕事を終えて使用人室に帰ろうとした時、旦那様の部屋の水差しを新しいものに変えるのを忘れていたことを思い出して慌てて水差しを持って旦那様の寝室に向かう。旦那様はこの時間まだ執務室で仕事をなさっているはずだから急いで交換すればまだセーフなはずだ。
 旦那様の寝室の前に時、ふと違和感に気付く。いつもはきちんと閉じられているドアがほんの少し開いているのだ。とてもお急ぎだったのだろうか?と水差しを抱え直した時室内から物音が聞こえた。

「お゛ほ゛♡ほおおっ♡♡あ゛お゛ん゛ッ♡♡ほおおおおっ♡♡♡」

 獣の雄叫びが聞こえた。いや、獣にしては人間っぽいような────もっといえば聞き覚えのあるような。

「お゛あ゛っ♡♡♡お゛っお゛っ♡♡♡ほ゛お゛っ♡♡ん゛お゛お゛お゛お゛っ♡♡♡」

 ビシャビシャ、と液体がこぼれる音がしてよく聞くとギシギシとベッドが軋む音も聞こえて全身から血の気が引いていくのがわかった。奥様だ。中にいらっしゃるのは奥様だ。

「あっ……ごめんなさっ♡♡ん゛ほ゛っ♡♡粗相して、しまいました♡♡ほ゛お゛ん゛♡♡」

 あのお淑やかで清楚を形にしたような清廉潔白の奥様が獣のように汚らしい声を出すはずがない。これはきっと何かの間違いだ。

「おかしいな。犬が人語を話すなんて聞いたことがないな。いけない犬だね」
「ん゛ほ゛お゛♡ごっごめんなさっ♡わ゛お゛ん゛♡わ゛お゛ん゛♡わ゛お゛お゛お゛ん゛ッッ♡♡」

 ビシャビシャ、とまた派手な水音がした。一体、中で何が行われているのだろう。開いた隙間から覗けば楽になれるのに確かめる勇気が出ない。逃げようにも影を縫い付けられたように足が動かなくなって逃げられなくなり廊下に立ち尽くしたまま聞き耳を立てる。

「いけない犬だね。粗相したらどうするんだっけ?賢い犬ならわかるよね。知ってるだろうけど俺バカな犬は嫌いだよ」
「あおんッ♡♡お゛お゛ッ♡♡おほほおッ♡♡♡はっはひっバルコニーに出て淫乱雌犬の情けない姿を善良な市民の皆様に見てもらって躾てもらいましゅ♡♡」

 家具が壊れるんじゃないかってくらい激しい肌と肌がぶつかる音に身体の震えが止まらない。吐き気がする。
「わかってるならさっさと行動に移しなよ。雌犬らしくさ」
「わんわんッ♡♡わ゛お゛ん゛ッッ♡♡わおおおおおんッッ♡♡♡」
「歩きながらイッたの?ちゃんと自分が汚したところ教えた通りに舐めて綺麗にしておくんだよ」
「ほ゛お゛ん゛ッッ♡♡♡あ゛ぐ゛っ♡♡♡首輪♡♡くるしっ♡♡わ゛お゛ん゛ッッ♡♡♡」
「雌犬は人語話さないって言ったでしょ。ほら、自分で窓開けて」

 窓が開く音がしたような気がした。気のせいだ。あの奥様が、仮にも情事中に屋外に出るはずがない。気付けば勃起していた肉棒を扱いていた。

「わ゛お゛ん゛♡♡わ゛お゛お゛お゛ん゛ッ♡♡お゛ッほ゛ほ゛お゛お゛お゛お゛ッ♡♡♡」

 バルコニーにいるはずの奥様の声がしっかり聞こえる。先走りの液を肉棒に絡めながら奥様の下品極まりない声をオカズにしゅ、しゅ、と何度も扱く。

「おーっすっげえ。見てみなスピリア、潮吹きで虹がかかってるよ。下の花も喜んでるね。役に立ててよかったね」
「あ゛お゛ん゛♡わ゛ん゛ッッわ゛ん゛ん゛ん゛ッ♡♡♡お゛ほ゛お゛♡♡♡お゛っ♡♡♡お゛っ♡♡ほ゛っ♡♡ほ゛っ♡♡」

 ビシャビシャ。ビシャビシャ。ビシャビシャ。耳に張り付く嫌な水音。奥様、奥様、奥様。あのたおやかな胸に触れられたら、卑猥な女の部分を蹂躙出来たら────妄想の中では何度も奥様を抱いた。旦那様への愛を叫ぶ奥様を手篭めにして泣き叫ぶ奥様を無理やり自分の色に変えてやるのだ。そうして従順になった奥様の中に、たっぷり中出ししてやる妄想をもう何度したことか。

「お゛ほ゛お゛お゛お゛ッッ♡♡♡ん゛ほ゛お゛お゛お゛ッッ♡♡♡わたしはッだめな雌犬ですうう♡♡♡いい犬になれるようにわたしをッ躾てください♡♡♡」
「最初は恥ずかしがってたのにすっかりオホ声が板についちゃったね。まあ、そういう風に俺が躾けたんだけど」
「は゛ひ゛ッ♡♡♡もっと♡♡あなた好みのいい犬になれるように教えてくだしゃい♡♡♡」

 奥様。奥様。奥様。ああ、いやらしい奥様。奥様がこんな淫乱女だったなんて知りませんでした。知ってしまったからには使用人としてしっかり御奉仕させていただきますね奥様。