story.14

風呂場へ向かったシルヴィアを見送り、ドフラミンゴは自分とシルヴィアの分のご飯を手配した。因みに、ドフラミンゴはシルヴィアが起きる前に既に済ませていて、昨日汚れたシーツも新しい物と交換済みだ。

そして、考えるのはやはりと言うべきかシルヴィアのことだ。
幸せそうな顔で寝てたからいい夢でも見てたのだろうが、起きたらその反対でしんみりした顔をしていた。

そういえば、センゴクの話じゃ昨日シャボンディ諸島で天竜人に危害を加えたルーキーの中に、トラファルガー・ロー率いるハートの海賊団がいたと聞く。

──まさかと思うが、シルヴィアはローと接触したのか?

だとしたらシルヴィアは昔のことでも夢で見たのだろう。そして、シャボンディ諸島からこちらに向かってる時に電伝虫越しに話した時の様子のおかしさ。
シルヴィアは隠し事は上手いが、長年彼女を見てきたドフラミンゴにはわかっていたのだ、確実に何かあったと。

その"何か"がローと接触したことだとしたら、納得が行く。昔シルヴィアが、ローの幼い頃はドフラミンゴの幼い頃と似ていると言って特別可愛がっていたのを思い出す。
そして、その特別可愛がっていたローがいなくなったと言った時、裏切りったロシナンテを殺した事も重なりシルヴィアは何日間も泣いていた。

そんなシルヴィアを見兼ねてドフラミンゴが殺したロシナンテは戻らないが、ローは必ず自分の右腕にするために連れ戻すと言うと、やっと少し元気を取り戻しあれから何10年以上経った今、すっかり元気になっていたというのに…。

──チッ!!やはり行かすべきじゃなかったか!!

子供じみた嫉妬だと思うが、シルヴィアがドフラミンゴ以外の事を考えているのが、心底気に食わない。シルヴィアにはいつだってドフラミンゴの事だけを考えていてほしい。ドフラミンゴがそうなように、シルヴィアにもそうであってほしいのだ。

そこまで考えていると、風呂に入っていたシルヴィアが出てきた。バスローブ姿で、ドライヤーとかは既に済ませたのか、髪は濡れていなかった。

とりあえず、先程まで考えていた事を本人に聞くことにした。

「シルヴィア、お前に話がある」
『…なにかしら?』

ドフラミンゴの真剣みを帯びた顔を見て、シルヴィアが只事ではないと察して、ドフラミンゴの側へとやってきた。
そして、シルヴィアを抱き上げ自分の膝へ乗せ、向かい合うような形をとった。

「単刀直入に聞くが…
お前シャボンディ諸島でローに会ったろ?」
『っ!!……』

質問にビクッとして、ドフラミンゴの膝から離れようとしたシルヴィアの腰を掴みそれを阻止した。この反応は肯定と見ていいだろう。

「で、10年以上ボスのおれに沙汰無しなアイツは、おれ達の元へ戻る見込みはあるのか?シルヴィア」
『っ!!それ、は…っ』

ドフラミンゴは理解した、ローが戻る気がないと。そしてシルヴィアは恐れてる、ローがドフラミンゴに殺されるのを。

「…まあいい、ローが本当に裏切ったのかはおれが直接見極めようじゃねェか!!」
『っ…!!』

ドフラミンゴの言葉に、シルヴィアが息を呑んだ。裏切りだと判断したら、ドフラミンゴはローを始末しなくちゃならない。

「ハートの席も今まで通り残しておく。ロー以上に相応しいヤツはいねェからな」
『……ええ、そうね…』
「ローを始末するかしないかの判断は、おれが見極めてからだ…!!それまでおれァ手は出さねェ!!」
『……ローが戻って来てくれることを願うわ…』
「おれもローは自分の右腕にしようと可愛がってた奴だ。戻って来ることを願うさ」

ドフラミンゴがそう言うと、シルヴィアはやっと少し笑顔を見せるようになった。だが、一つ言わないといけないことがある。

「だが、もしアイツが裏切ったと判断したときは…わかるな?」
『っ…』
「シルヴィア、お前にとって一番は誰だ?」
『わたしにとっての一番は今も昔もドフィ、あなたよ。』

ドフラミンゴの目をサングラス越しに見つめて、はっきりそう言ったシルヴィアの言葉は嘘ではないだろう。ドフラミンゴはシルヴィアの言葉に満足して、彼女を愛しげに見つめ頬を優しく撫でた。

「なら、いつまでもアイツのことを考えるな。お前はただおれだけ見ていればいいんだ──わかったな?」
『ええ、わかったわ。』
「いい子だ。──シルヴィア、愛してる」
『わたしも愛してるわ』

ドフラミンゴは頬を撫でていた方手をシルヴィアの後頭部へ持って行き、引き寄せて彼女の形のいい唇に食いつき深い口付けをした。

──シルヴィアにはおれという存在ただ1人いればいい。他は必要ねェし、誰にもシルヴィアを渡さねェ。渡してなるものか。

熱い想いのままシルヴィアに荒々しい口付けをしていると、口付けに酔った彼女に限界を訴えてくるように服を弱々しく掴まれた。
仕方なく放してやると、瞳を潤ませ頬を紅潮させ息を乱したシルヴィアが胸に倒れ込んできた。

『ハァハァ…ッ!!』
「フッフッフッ、可愛いなァシルヴィアチャン。このまま食っちまおうか」
──モミモミ
『あっ…ドフィ…ッ!!』

シルヴィアの色っぽい表情に欲情したドフラミンゴは、彼女のバスローブの間に手を入れ2つの柔らかい膨らみを揉みほぐした。
そして、更にその先へ進もうとしたその時─


──コンコンッ
『!!』
「あん?…(チッ!)…入れ。」

扉がノックされた。
いい所で邪魔されドフラミンゴは内心舌打ちしたが、仕方なしに部屋に入れる事にした。

「失礼します!…っ!?」

入ってきたのは、見たこともない海兵の男だった。海兵は、部屋に入って最初に目に写ったドフラミンゴの膝の上で乱れてるシルヴィアの姿を見て、頬を真っ赤にして焦っていた。

「フッフッフッ、なんだァ?」
「あ、あのっ!!…お食事を…お持ち……しました……っ!!」

海兵の初心な反応にドフラミンゴはニヤリと笑いながら、要件を伝える様に求めた。すると、吃りながらも要件を伝えてくれた。

その言葉に海兵の手元に視線を向けると、その手には確かにドフラミンゴとシルヴィアの分と思われる食事を持っていた。

「そうか、ご苦労だったな。だが──フッフッフッ、見ての通りおれァ手が離せねェんだ。悪ィがその辺に置いといてくれ」
──モミモミモミモミ
『ぁんっ…!ちょ、っと…ドフ「しっ、し失礼しましたァァァ!!!!」…っ』
──バッタン!!

海兵はドフラミンゴの言動と、シルヴィアの嬌声にこれ以上ない程全身真っ赤に染め上げ、大慌てで素早く食事をテーブルの上へ置き、扉を大きな音を立てて部屋を出て行った。
初心な彼の様子に笑い声が自然と出てきた。

「フフフフッ!!初心なヤツだなァ!!」
『もうっ!!ドフィったら酷いわ!!見せつけるようなことして!!』
「フッフッフッ、悪かったなシルヴィアチャン。そんなぷりぷりしても可愛いだけだぜ」

瞳を潤ませ赤く染まった頬を膨らまして睨みつけてくるシルヴィアは、可愛い以外の何物でもない。自然と柔らかく頬を緩ませ、柔らかい笑みが浮かぶ。

『ドフィのバカっ』
「おいおい、酷い言いようだなァ」

まだぷりぷり可愛らしく怒ってるシルヴィアを抱き上げ、今日の朝に交換済みの新しいシーツが敷いてあるベッドへと運んだ。既にサングラスは外し済みだ。