story.1

____ドレスローザのドフラミンゴの自室


今ドフラミンゴはベッドの上で横になり、一人の女性を抱き締めてゆっくりしていた。
ドフラミンゴは普段は自室にはファミリーでさえ入れないし、女性なんて以ての外なんだが、この今ドフラミンゴと共にいる女性だけは違った。ドフラミンゴの所謂恋人という関係の女性である。

雪のように白い肌、卵型の輪郭で小さい顔、すっと通った小ぶりな高い鼻、ぷっくりとした形の良い唇、この世界では珍しい白銀色の髪と薄い紫の瞳をしている。白銀色の髪は腰までの長さがありウェーブがかかっていて、薄い紫色の少しタレ目気味だが大きなアーモンド型の目を縁取る長い睫毛、神秘的でいて儚い雰囲気があり本当に生きてるのか怪しい程に人形の様に愛らしくも美しい顔立ちの女性で、そんな誰もが見惚れる程の容姿の持ち主の名前はシルヴィアという。

シルヴィアとドフラミンゴは2人が幼少期からの仲で、幼馴染とも言うやつだ。年齢も一緒だが、シルヴィアは今は滅んだ白狐一族の一人で20歳を過ぎれば見た目の成長が止まるため、いつまでも老いなく美しいままだ。

『ドフィ、どうしたの?』
「フッフッフッ!シルヴィアは昔からいつまでも見た目も中身も可愛いままだと思ってなァ!」
『もうドフィったら!恥ずかしいわ』

ドフラミンゴが何か考え事をしているのにシルヴィアが気づき、声を掛けて来た。なのでドフラミンゴは素直に思っていた事を言葉にすると、シルヴィアは頬を染めて照れていた。
そんなシルヴィアが可愛くて愛しくて仕方なくなったドフラミンゴは、その彼女の赤くなっている頬に触れるだけの口付けを落とし、次に美味しそうな形の良い唇に口付けをした。
すると、ドフラミンゴの目の前の可愛い女はもっと頬を赤く染めて嬉しそうに微笑んだ。

──シルヴィアが何より大事でそれこそ野望より大事で、失うなんて考えられねェなァ。

今は亡きドフラミンゴの実の弟ロシナンテもシルヴィアが幼少期の頃から好きで、良くドフラミンゴと二人で彼女の取り合いみたいなことをやっていた時のことを思い出す。その時は毎日苦痛で仕方ない時でも、シルヴィアがいた時は少しは幸せを感じていたのを覚えている。シルヴィアがいたからこそ、辛くても乗り越えられた時だってあったのだ。

恋仲になる前もシルヴィアだけはなんとしても失わないようにと思っていたが、恋仲になってからはその思いがもっと強くなったのをドフラミンゴは感じた。

──フッフッフッ!!絶対ェ誰にも渡さねェし手放したりしねェ!!コイツはおれのモノだ!!

そんな事を思っていると、この先のシルヴィアの一言によりドフラミンゴの思考は停止した。

『あのねドフィ、シャボンディ諸島に行きたいんだけど…』

シルヴィアのこの一言により先程までの甘かった雰囲気は消えた。
ドフラミンゴがシルヴィアに何時間か前に忠告したのにも関わらず、何を言い出すのかと少し彼女に怒りが湧いてきた。ドフラミンゴは抱き締めていたシルヴィアを離し、目を細めて睨む様に見下ろす。今はサングラスも外している為、威圧感が半端ない。

「…なんだと?おいおい、シルヴィアは何を言い出すかと思えば…フフフ!!シャボンディ諸島に行きたいだァ!?今あそこは天竜人が出歩いてやがるから危険だと言ったじゃねェか!!」
『それは大丈夫よ。わたしがそんな簡単に見つかるわけないし、それにちゃんと顔を隠して行くから!!』

シルヴィアは綺麗で可愛い。惚気でも彼氏だからそう見えるんじゃなく、誰が見てもそう思うだろう。
絶世の美女と言っても決して過言ではなく、見る人からしたら海賊女帝より上だとこいつを知るものなら思うはずだ。
そんなシルヴィアを見たら強欲な天竜人が手を出さないはずがない。何としてでも手に入れようとするだろう。ドフラミンゴがそうだったように。

──しかもこの目の前の女は自分の容姿の良さをあまり理解してねェ。実に可笑しい話だ。

だが、ここ最近ドフラミンゴが外に何日間も出さなかったせいか、いい加減我慢の限界なんだろう。普段なら直ぐ折れるが、今回は簡単には折れてくれない様だ。あまり言い過ぎて嫌われても困る。

──ここまで言われちまったら、変装するならとおれが折れるしかねェじゃねェか!!

そう思い内心舌打ちをした。
そして、未だにドフラミンゴの返事を待ち、鋭い目線に怯えることなく見上げているシルヴィアに言った。

「……変装するってんなら構わねェが、心配なことには変わりねェなァ!!なんせシルヴィアはおれの愛する可愛い女だからなァ、フッフッフッ!!
だがもし天竜人に見つかって攫われたってことになっちまったら大変だから、絶対顔を出すんじゃねェぞ?」
『ふふふっ、大丈夫よドフィは心配性ね。でもありがとう、十分気をつけるわね』

ドフラミンゴが許可を出すと、先程までの真剣な表情は消え、シルヴィアは嬉しそうに頬をほんのり染めて柔らかく微笑んだ。

ドフラミンゴは、離れていたシルヴィアを少し引き寄せ、顎を掬いゆっくり顔を近付けた。するとその先に起こること理解したのかシルヴィアが目を閉じた。
それを合図にドフラミンゴも目を閉じ、シルヴィアの形のいい艶やかな唇に先程と同じ様に、触れるだけの口付けをした。

──フフフッ、まだ足りねェなァ!!行かす前に1回抱くか。

そう思い、ドフラミンゴはシルヴィアに跨り、同じ触れるだけの口付けを何度かした後、今度は深いものに変えた。
舌を絡ませながら腕をシルヴィアの服の中に忍ばせ、ブラのホックを外し、服を捲り上げた。すると大きく形の良い胸が現れた。その胸をやわやわと優しく揉みしだき、時折飾りを弄ったりしながら、深い口付けを何度も角度を変えて激しく舌を絡め堪能した。

──チュッチュパッジュルジュルッ
『んっ…ハァッ…んぁッ…ど、どふぃ…ッ…ぁんっ…ま、まって…ッ』
「…ハァッ……なんだ?おれの可愛いシルヴィアチャン」

深い口付けはそのままに、ドフラミンゴは片手だけを動かしシルヴィアの下へと行き、服の上から潤い始めているそこを数回撫で回した後に脱がそうとすると、シルヴィアの腕が伸びてきてその行為を止められた。

彼女は一度そうゆう雰囲気になると止めることはない。珍しい事もあるもんだとドフラミンゴは思いながら、無視することも出来ないので渋々脱がそうとした手を止め、口付けていた唇を離した。

『うふふっ、ドフィともっとイチャイチャしてたいのもやまやまだけれど、そろそろ行くわね』
「なんだと?まだいいじゃねェか!事を済ましてからでも時間はあるだろ?」

そう言ってもう一度ドフラミンゴがシルヴィアに深く口付けようとすると──

『ダメよ、帰って来てからにしましょ。それにドフィは仕事が溜まってるでしょう?早く終わらせないとどんどん溜まって大変よ。』

唇が重なる前にシルヴィアに最もな事を言われて止められた。

──チッ!!こんなことならさっさと仕事済ませとくんだったなァ!!

そう思い内心舌打ちをした。
だが、何故ここまでシャボンディ諸島に行きたがる?おれとの行為を後回しにする程の価値があるのか?

微笑みを浮べているシルヴィアをドフラミンゴは探るように見ながら、疑問に思ったことを問うために口を開いた。

「フッフッフッ!!お前が言ってることは最もだが、何故そんなにシャボンディ諸島に行きたがんだァ?」
『うふふふっ、あのね前にわたしが欲しがってドフィに取り寄せをお願いした銃があるじゃない?』
「あァ、それがなんだァ?」
『うふふっ、シャボンディ諸島にそれが届いたみたいだから取りに行くの!!直ぐにでも取りに行って実践で試したくて!!』
「そうかついに届いたか、フッフッフッ !!よかったなァシルヴィアチャン!!そりゃァ直ぐにでも取りに行きてェ訳だ、フフフフフ!!」

ええ、とドフラミンゴの言葉に嬉しそうに満面の笑顔を浮べて頷いているシルヴィアを見て、自分まで思わず嬉しくなった。
そして、ドフラミンゴは思い出す。
確か少し前に、この世界で1つしか生産されていない超入手困難な銃が欲しいと彼女に珍しく強請られたのだ。しかも、その銃は双剣同様に白狐一族に伝わる物だ。

その銃は白狐一族に伝わる武器の一つで、2本セットの二丁拳銃なのだ。連射能力強化、海楼石で出来てるかのように悪魔の実の能力者にも通用できる武器で、殺傷能力が極めて高く、白狐一族の者しか使用できないようだ。

真っ白な銃に金色の牡丹の模様があり、以前白狐一族のものだと知ったシルヴィアに、滅多にしないお強請りをされて、ドフラミンゴはとても嬉しくなり探して取り寄せたのを覚えている。それが届くと言うならこれ程までに嬉しそうなのも納得するというものだ。

だが、だからと言っておれとの行為を後回しにされたのは不満だったが、それはまあいいだろう。


早速という感じで、ベッドから下りたシルヴィアは奥の方へと消えた。支度でもするのだろう。
それを見て、ドフラミンゴも気が進まないが溜まっている仕事を済ませないといけないため、ベッドから下りていつものピンク色のモフモフのコートを羽織り、机の方まで移動して椅子にドカッと座った。
机の上には、溜まりに溜まった書類がある。重なってる書類の1番上の書類を取り目を通した。


ドフラミンゴが何枚目かの書類の整理を終えた後、変装を終えたシルヴィアが奥の部屋から出て来たのか、シルヴィアの気配が近付いて来た。そちらに目を向けると変装を終えたシルヴィアが見えた。

服装は大きなフードがついて胸元が空いてる丈の長いピンク色のワンピースの様なパーカーで、その胸元にはドンキホーテファミリーのスマイルマークの刺青があり、胸元空いているので良く見える。これを見れば余程のバカじゃなきゃ手は出さないだろう。
そして、彼女の頭上にはサングラスが乗っていてる。

『これで大丈夫かしら?』
「フッフッフッ!!あァ、悪くねェ!!」

ドフラミンゴにOKを貰えたシルヴィアは、腰にベルトの様な物を巻き付けそこに白鬼一族に伝わる細長い双剣を差し込み、準備は終わったようだ。

するとシルヴィアは、机で仕事をしているドフラミンゴの側まで来て、彼の頬に口付けを落とした。本当に可愛い奴だ。

『それじゃ行ってくるわね!!』
「あァ、気をつけて行ってこい!!くれぐれもシャボンディ諸島についたら変装を忘れるんじゃねェぞ!?」
『ええ、もちろんわかってるわ。それじゃお仕事がんばってね』

シルヴィアの言葉に頷き、ドフラミンゴは近くに寄ってきていたシルヴィアを引き寄せ、その彼女の唇に触れるだけの口付けを1つ落とした。これ以上やると行かせたくなるので、一度抱き締めたるだけに留まった。

シルヴィアは部屋の扉の方に向かい、ドフラミンゴの方に振り向きもう一度行ってきますと言い、微笑みながら手を振っきた。
それを見たドフラミンゴはいつもの様に笑い、手を振り返した。
するとシルヴィアは今度こそ部屋を出て行ってしまった。部下にシルヴィアがシャボンディ諸島へと向かう事を伝え、再び仕事に取り掛かった。