story.22

 すっかりやる気を取り戻した海賊達を見てか、1人の男が前に出た。ミホークだ。ミホークは、その背中に背負っている世界一と呼ばれる黒刀を抜いた。

「! フフフッ、何だやんのかお前・・・」
「推し量るだけだ・・・近く見える。あの男と我々の本当の距離を・・・」

 ドフラミンゴの問いに、ミホークは前を見詰めたまま答え、剣を構えた。そしてそのまま一振りすると、凄まじい斬撃が放たれた。

「!!!」
「“鷹の目”!!!」

『!! 凄い・・・!! さすが世界最強の剣と呼ばれてるだけはあるわね・・・素晴らしい剣撃だわ・・・・・・!!』

 その凄まじい斬撃は、地を引き裂く様にして真っ直ぐ白ひげの方へ向かっている。その世界最強と呼ばれる剣の斬撃を目のあたりにしたシルヴィアは、感心してそう呟いた。

 だが、その世界最強の斬撃が白ひげに届く事はなかった。斬撃を止めた者がいたのだ。

『! あら・・・』
「止めた!!! 世界一の斬撃を!!!」
「・・・・・・・・・」

 止めたのは身体の半分をダイヤモンド化させた、白ひげ海賊団の3番隊隊長の"ダイヤモンド"・ジョズだった。ジョズはミホークの斬撃をその身体に受けたというのに、涼しい顔をしている。まるで効いていない様子だ。


 それから暫くの間は、海軍側と海賊側の攻防戦が続いていた。
 そして戦争は進み、エースを奪還する為に巨人族よりも遥かに大きなオーズの子孫の、リトルオーズJr.が姿を現した。

「行けェ、リトルオーズJr.!!!」
「エースぐんは優しいんだ。絶だいに死なぜねェ」

 リトルオーズJr.はそう言い、雄叫びを上げた。そんなリトルオーズJr.を見て、海軍側が湾内への侵入を阻止する為に動き出した。

「キシシシ!!! オーズの子孫!!? 白ひげの傘下にいたのかァ!!! 欲しい!!! アイツの死体が欲しい!!!」
「・・・・・・・・・」
「フッフッフッフッフッ!!! ウズいて来るぜ・・・・・・」
『ドフィを狙って来たらわたしが殺るわ』
「白狐姫、殺るなら身体をバラバラにはするんじゃねェぞ!!! アイツの死体で最強のゾンビを作るんだァ!!!」
『ええ、わかったわ』

 シルヴィアは、モリアの言葉に1つ頷いた。すると、モリアはシルヴィアが頷いたのを確認して満足そうにキシシシと笑った。

 そして、七武海の間でそんな会話が繰り広げられている中、リトルオーズJr.に海軍側の巨人部隊が向かって行った。他の海軍達はリトルオーズJr.に狙いを定め、大砲などを撃って湾内への侵入を阻止するべく攻撃をしている。

「オーズ駄目だ!!! お前のデカさじゃあ標的にされるぞ!!!」

 処刑台にいるエースが、リトルオーズJr.に向かってそう叫んだ。確かにエースの言う通り、海軍達にとってはその大きさの所為でいい的になってしまっている。ここはエースの言う通り大人しくしてるのが良いだろうとシルヴィアは思った。
 だが、リトルオーズJr.はそんなエースの忠告に耳を貸す事はなかった。

「エースぐん!!! 今そごへ行ぐぞォオオ!!!」
「!!?」
「うわああああああ!!!」

 リトルオーズJr.はエースの忠告を無視すると、持ち前のパワーで湾内への突破口を塞いでいた大きな軍艦1つを沈めた。凄まじい破壊力だ。

「オーズが湾内への突破口を開いたぞォ!!! 続けェ〜〜〜!!!」

 今まで突破口を塞いでいた軍艦が沈んだ事により道が出来たので、海賊達が湾内へ攻め入ってきた。
 その事により、海軍達は海賊達が湾内に存在する処刑台がある広場へ侵入しないよう、阻止する為に動き出した。

「“熊の衝撃(ウルススショック)”」

 海兵達が巨体過ぎるリトルオーズJr.とどう戦おうかと戸惑っていた時、七武海のバーソロミュー・くまが、巨大なリトルオーズJr.の身体を超える程の大きな肉球型の衝撃波を作り出し、リトルオーズJr.に攻撃した。強い衝撃波を喰らいリトルオーズJr.は血を流しその場に倒れた。

『! 凄い衝撃波ね・・・あの巨体を相手にあそこまで・・・・・・』
「バーソロミュー・くま・・・七武海の中で1番謎が多い奴だ」

 シルヴィアの呟きに、隣にいるドフラミンゴがそう返してきた。確かに、バーソロミュー・くまは謎が多すぎるとシルヴィアは思った。それは、何度かドフラミンゴの付き添いで海軍本部に来たことがあるにも拘らず、バーソロミュー・くまと会話した記憶は殆どないし、誰かと会話をしている姿をあまり見た事がない所為もあるだろう。

「やめろ・・・!!! ここへは来れねェ・・・!!!」

 立ち上がろうとしているリトルオーズJr.に、エースが叫ぶように悲痛な声を上げた。だが、リトルオーズJr.はエースを助け出したいという想いが余程強いのか、立ち上がった。そんなリトルオーズJr.に容赦なく大砲が放たれた。

「オーズ!!! やっぱりまだダメだ格好の的だぞ!!」

 真正面から大砲を喰らってしまったリトルオーズJr.を見て、海賊達がそう叫んだ。

「ハァ・・・ハァ・・・せめて・・・七武海一人でも・・・!!」

 倒れたリトルオーズJr.のそんな呟きが聞こえた。彼は1人の七武海に目をつけたようだ。だが、その相手がいけなかった。

「ん?」
『彼、ドフィに目付けたのね・・・。ドフィに手を出そうってなら容赦しないわよ・・・!!』

 そう、リトルオーズJr.はドフラミンゴに目を付けたのだ。よりによってドフラミンゴに目を付けられ、シルヴィアは鋭い目付きでリトルオーズJr.を見詰めた。
 すると、リトルオーズJr.はウオオオという叫び声を上げながら、その重い拳を振り上げ、ドフラミンゴに向け下ろしたのだ。


TO BE CONTINUED

prevbacknext